夕日が落ちる頃、ようやくウソップが目を覚まして一味は安心した。
ウソップは自分の体の事より、メリー号修理の為の2億ベリーを心配し、一味に謝罪した。
あの金がないとメリー号を修理してやれない、と心配するウソップに、ルフィは明るく言い放った。
「いや、それがウソップ。船はよ!乗り換える事にしたんだ。
ゴーイングメリー号には世話になったけど、この船の航海はここまでだ」
ルフィの言っている意味が飲み込めずに、キョトンとするウソップに、ルフィは続けて言った。
「ほんでな、新しく買える船を調べてたんだけど、カタログ見てたら中古の・・・」
ウソップは、ルフィの言葉を遮った。
「待てよ、そんな冗談キツイぞ、バカバカしい。やっぱりあの2億ベリー取られて金が足りなくなったのか?」とまくし立てるウソップを、ルフィは止めた。
「違うよ、あの金が盗られたこととは関係ねぇんだ!!!!」
ウソップの怒りが収まらない。
「だったら!!!なんで乗り換えるなんてくだらネェ事言うんだ!!!」
もう、どなりあいだった。
大切な話なのだから、順序立てて話さないとならないところなのに、もう無茶苦茶だった。
そしてとうとうルフィは叫ぶ。
「メリー号はもう、直せねェんだよ!!!!」
その言葉にウソップが黙った。
ルフィも怒鳴るのをやめて落ち着きを取り戻して言った。
「どうしても直らねェんだ。じゃなきゃこんな話しねェ!造船所でそう言われたんだ。もう次の島にも行きつけねェって!!」
だがウソップは再び怒鳴りだした。
「今日会ったばかりの他人に説得されて帰ってきたのか!!!
一流大工がダメだと言っただけで!!!今まで一緒に旅してきた大事な仲間を、お前はこんな所で・・・見殺しにする気かァ!!!!!!この船はお前にとっちゃそれ位のもんなのかよ!!!」
みんな、こうなることはわかっていた。
この船に、故郷の思いやカヤとの約束を積んで、人一倍大事にしているウソップの気持ちは痛いほどにわかっていた。
ゾロとサンジは、じっと黙って二人のやりとりを聞いていた。ウソップを説得するのは、船長の役目なのだ。
ウソップは、血を吐き、立ち上がることすら出来ない体で、メリー号の修理に向かった。
「だったらいいよ!!今まで通りおれが修理してやるよ!!もともとそうやって旅を続けて来たもんな!!」
そんなウソップをルフィは怒鳴りつけた。
「お前は船大工じゃねェだろう!!!ウソップ!!!」
だが、ウソップは止まらない。
ルフィ達のように本職に筋道立てて説得され、考える時間があったわけでもなく、唐突に信頼していた仲間から切り出されたショックは大きかった。
「絶対におれは見捨てねェぞ、この船を!!!おれの知ってるお前なら、そんな奴らよりこのメリー号の強さを信じたはずだ!!!船長風吹かせて、何が"決断"だ!!!!見損なったぞルフィ!!!!!」
ルフィも再びヒートアップする。
「これはおれが決めた事だ!!!今さらお前が何言ったって意見は変えねェ!!!」
もう説得ではなく喧嘩状態のこのやりとりに、見かねたナミとサンジが止めに入ったが、二人は聞く耳を持たない。
わめくようにまくし立てるウソップに、ルフィはとびかかった。
「いい加減にしろお前!!!お前だけが辛いなんて思うなよ!!!全員気持ちは同じなんだ!!!」
「だったら、乗り換えるなんて答えが出るハズがねェ!!!」
「・・・・!!じゃあいいさ!!そんなにおれのやり方が気に入らねェなら、今すぐこの船から・・・」
と言いかけたところで、サンジがルフィを力いっぱいに蹴り飛ばした。
「バカ野郎がァ!!!ルフィてめェ、今何言おうとしたんだ!!!滅多な事口にするもんじゃねェぞ!!!!」
さすがにルフィも「・・・ああ、悪かった。今のはつい・・・」と謝ろうとしたが、ウソップはルフィの謝罪を遮った。 「いやいいんだ、ルフィ。それがお前の本心だろ」
そこでウソップの限界が爆発した。
「使えねェ仲間は、切り捨てて進めばいい、この船に見切りをつけるなら、おれにもそうしろよ!!!
前々から考えてた・・・。正直、おれはもうお前らの化け物じみた強さには、ついて行けねぇと思ってた!!!
今日みたいに金の番すらできねぇ・・・、この先もまた迷惑かけるだけだ・・おれは。
弱ェ仲間はいらねェんだろ!!!ルフィ、お前は海賊王になる男だもんな。おれは何もそこまで"高み"に行けなくていい・・・。
思えばおれが海に出ようとした時に、お前らが誘ってくれた、それだけの縁だ・・・・、意見が食い違ってまで一緒に旅をする事ねェよ!!!おれは、この一味をやめる」
そう言って、ウソップは船を降りて行ってしまった。
ルフィはウソップの言葉に、何も言い返さなかった。
船を降りたウソップは、振り返ってルフィに言った。
「この船は船長であるお前のもんだ、だからおれと戦え。おれが勝ったら船は貰って行く!!!
モンキー・D・ルフィ・・・・・おれと決闘しろォ!!!!!!」
ゾロだけ一切喋らずにみてるのが
(一度だけ注意はしたが)