
ルフィから、海軍側の計画を知った白ひげは考えた。
海賊相手に処刑時間を律儀に守る必要はないというのもわかるが、『何かの準備の後』ということと、
あの智将センゴクが、うっかり敵の海賊に計画を聞かれてしまう、というようなヘマをするとは考えられない。まだ、戦局の様子を見る必要があった。
だが、ルフィに計画も罠も関係ない、ただエースの元に一直線に突き進むだけ。
そして、革命軍幹部イワンコフはそのルフィの命を守るのみ。
飛び出した”麦わらのルフィ”に対して出て来たのは大将黄ザルだった。シャボンディでの『天竜人』の件もある。黄ザルの光線に突っ込んでいくルフィを、イワンコフは光より早く【デスウィンク】で弾き飛ばし、一命を取り留めさせた。

黄ザルを交わしたルフィは止まることなく、ヒナの【袷羽織(あわせばおり)】の檻を俊足で逃れ、ぐんぐんとエースへと近づいてくる。
海賊達の先頭をきるルフィは、オーズ同様に海軍の総攻撃を受けることになる。
エースは叫んだ。
「来るな!!ルフィ~~~~!!!!わかってるハズだぞ!!!おれもお前も海賊なんだ!!!思うままの海へ進んだハズだ!!!おれにはおれの冒険がある!!おれにはおれの仲間がいる!!!お前に立ち入られる筋合いはねェ!!!お前みたいな弱虫がおれを助けに来るなんて、それをおれが許すとでも思ってんのか!!?こんな屈辱はねェ!!!帰れよルフィ!!!なぜ来たんだ!!!」


その言葉は、どうしてもルフィに届いて欲しかった。
頼むルフィ・・、お前まで道連れにならねェでくれ・・・!!エースは弟の無事を願った。
だがルフィも叫ぶ。
「おれは弟だ!!!!海賊のルールなんておれは知らねェ!!!」

兄弟の杯を交わした、血の繋がらない、だけど世界で唯一の肉親、兄弟・・・。
エースは「わからず屋が・・・」と唇を噛んだ。

エースの弟の登場に海兵達はどよめいた。
ゴールド・ロジャーはエース出生前に処刑されたのではなかったのか・・と。
そのタイミングで、再びセンゴクが電電虫を取って、世界に向けて説明した。
「その男もまた未来の”有害因子”!!幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は・・・”革命家”ドラゴンの実の息子だ!!!」

これには再び戦場とシャボンディの一般人達がざわめき動揺し、ルフィを知る者達はその血筋に納得した。
今までこの事実を隠してきたガープは「構わん、もう隠す意味はないわ・・・、ルフィはすでにそんなレッテル物ともせん程の無法者!!」と事態を冷静に見ていた。
当のルフィに、見たこともない父親の名など関係なかった。大事なのは共に育った兄エースだけ!
「エ~~ス!!好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォォ!!!」

これにはエースも返す言葉がなかった。ルフィは止まらない。昔からそういう弟だった。
白ひげは再びニヤリと笑うと、マルコに命じた。 「マルコ・・・、アレを死なすんじゃねェぞ」
白ひげもまた、ルフィに未来を賭けた瞬間だった。

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます