宴会の酔い覚ましの為、テラスに出ていた”麦わらの一味”に、ジンベエが話しかけた。
その先の世界を進む為に知っておくべき、世界の2つの変化を、ルフィが知っているかを確認したのだ。
まずは、赤犬と青キジの大ケンカと海軍本部の新元帥について。
2年前の「頂上戦争」直後、センゴク元帥が職を降り、海軍元帥の席が空いた。
センゴクは部下かりの信頼厚い「青キジ」を推したが、政府上層部からは「赤犬」を推す者が多く、「赤犬」が有力となった。
普段はやる気を見せない青キジが、赤犬が元帥になる事には強く反発し、二人は対立し、前代未聞の大将同士の抗争はついに”ある島”での決闘に発展し、海軍の指揮は勝者に委ねられることとなった。
---ジンベエ回想 二人対立
10日に及ぶ死闘は、もはや世界の語り草、実力はほぼ拮抗したが勝者は「赤犬」!!海軍の新元帥はサカズキじゃ!!
---ジンベエさかずきじゃ
赤犬の名を聞いたルフィは、胸の古傷がズキ・・と痛むのを感じた。
両者壮絶な深手を負い、目の前で立ち上がれぬかつての同士に、さすがの赤犬も情けをかけて殺すことはせず、青キジはそのまま海軍を出た。今青キジがどこで何をしているのかは、誰も知らないのだと言う。
ジンベエはここまで言うと一息ついて、”麦わらの一味”に「ええかお前たち、この2年で新世界でも最もデカイ変化を2つ覚えておけ」と念を押すように前置きをして、話しを続けた。
青キジの穴を埋める為に政府がとった”策”は、「海軍」に思わぬ力を与えた。
サカズキ元帥率いる「海軍本部」は、もより強力な正義の軍隊になっておるということ。
もう一つは、”黒ひげ海賊団”の進撃。
頂上戦争に参加していないチョッパーも、その名に恨みはあった。「おれの故郷を一度潰した奴!!」
ナミは、モックタウンの酒場であった男を思い出していた。
元々奴は”白ひげ海賊団”の古株。オヤジさんのナワバリを熟知しており、オヤジさん亡き後、くしくも彼から奪った【グラグラの実】の能力を使って、瞬く間にその海域を制覇した。
世間ではすでに『赤髪』『カイドウ』『ビッグ・マム』に並び”四皇”の一人と位置づけられている。
---じんべえ、四こうの一人に
噂によると、奴らは今『能力者狩り』に奮起しているという。どういう訳か能力者を殺して、その能力を奪い取る術を奴らは持っているのだ。
黒ひげの前では、能力者こそが危ない・・・とジンベエがルフィを見ると、ルフィは話しも聞かずに肉を食うのに夢中になっていて、ジンベエは怒ったがそんなことで聞くわけがない。
ルフィの仲間達は、ルフィが話を聞かないのは当然として慣れた様子で、ジンベエは仲間達の苦労を慮った。
---おれ出たとこ勝負すきだし
ジンベエの話は聞いていなかったルフィだが、城の中の異変にはいち早く気づいた。
竜宮城内で一人になったしらほし姫を、****が捕まえて連れ去ろうとしていたのだ。
---しらほしずぶずぶ
---ルフィたすける
****は竜宮城外にぶっ飛ばしたが、奴は城の全財宝を盗んでおり、財宝に執着しない国王から、***か財宝を取り返したならそれを全部やるとの約束を取り付けたナミは、ルフィ、ゾロ、サンジの3人に****を追わせた。
****が盗んだ財宝のうちの一つ、国宝「玉手箱」の中は、10年前にホーディ達によって盗み出されていた。
中に収められていた財宝とは、一説には千人力の力を得る薬、また別の説ではただ歳をとる薬と言われていた曖昧な物であった。
国宝というには異な物・・・おそらく危険な効力を「封印」する意味で固く守られてきた凶薬なのだろう、と王は推測していた。
ホーディ達は、あけてはならない箱を開け、薬によって力を得たとのまやかしの愚かな夢を見たのだ、とネプチューン王は断罪した。
そのホーディ達は、牢獄の中で薬の副作用によって、急激に老化し、見るも無残な姿と化していた。
---ホーでぃ老化
牢内で老化し、よぼよぼになっても尚減らず口を叩くホーディ達に、フカボシ王子が言った。
「母を殺したお前たちを、私は恨まない・・・。だから頼む、もう黙ってくれ。島の子供達に聞こえるといけない」