
ルフィは、クジラの頭に、麦わらの一味のマークをでかでかと描いた。
「んん!!よいよ!!これがおれとお前の"戦いの約束"だ!!!おれがグランドラインを一周して、また戻ってくるまで、頭をぶつけたりして、このマークを消すんじゃねェぞ!」

ルフィとの約束に、ラブーンは「ブオ」と素直に返事をした。
ルフィとラブーンのそのやりとりを、クロッカスさんは感慨深けに聞いていた。
各自が再び出航の準備に取り掛かりだした時、ナミが叫んだ。「どうしよう!羅針盤が壊れてる!!」
クロッカスさんは「お前たちは何も知らずにグランドラインに来たのだな」と少し呆れて、グランドラインについて説明した。
グランドラインの島々は鉱物を多く含むため、通常の羅針盤が効かない。
だが、点在する島がある一定の法則で引きあっている為、島と島が引き合う磁気を『記録指針・ログポーズ』と呼ばれるグランドライン専用の羅針盤に記録させ、それが指し示す方向を頼りに航海するのだ。
己の位置すらわからぬこの海では、『記録指針・ログ・ポーズ』の示す磁気の記録だけが頼りとなる。

初めは"この山"から出る7本の磁気から1本を選べるが、最終的に1本の航路となり、最後に行き着くのが『ラフテル・最後の島』だ。
だが、その島を見た者は海賊王ただ一人。今となっては本当に実在するのかは誰にもわからない伝説の島だ。

だが、ルフィは平然と笑った。「そんなもん、行ってみりゃわかるさ。」

『記録指針・ログポーズ』は幸いな事に、先ほどの二人組が落とした物をルフィが拾っていたが、不幸な事にルフィに壊されてしまった。
ログポーズがない事に焦るナミに、クロッカスさんは自分のログポーズを譲ってくれた。
「ラブーンの礼もあるしな。」
一段落ついた所に、先ほど海に捨てたはずの謎の二人組が、ルフィ達の元へ来て「ログポーズも船もなく帰郷できません。私達を『ウィスキー・ピーク』に連れて行ってください」と頭を下げた。
頼んでおいて、自分達は"謎"がモットーの秘密結社の社員の為、素性も事情も説明はできない、と言う。
実は二人組は、ルフィ達に捨てられた後、クジラ捕獲作戦失敗が社にばれて、社の制裁担当者である、謎のハゲタカ「Mr.13サーティーン」と、謎のラッコ「ミス.フライデー」から爆弾の制裁を受けていて、もう背に腹は代えられない状態だった。

そんなムシのいい話に、ルフィはあっさり「いいよ」と承諾した。
クロッカスさんが、こんな適当に初めの航路を決めてしまっていいのか、と心配するも、ルフィは「いいよ、気に入らない時はもう一周する」と気にしていない豪語に、クロッカスさんはそれ以上何も言わなかった。
クロッカスさんにいろいろ教えてもらい、いざ出航!!
「行ってくるぞ クジラァ!!!」と元気に出航していく”麦わらの一味”に、ラブーンは大きな声で見送った。
その声は、もう悲しげではなかった。
船を見送った後、クロッカスさんはつぶやいた。
「あいつらは、わしらの待ち望んだ海賊達だろうか・・・、何とも不思議な空気を持つ男だ。なぁ、ロジャーよ。」

クロッカスは、伝説の海賊王ゴールド・ロジャーを知っているようである。
クロッカスさんの最後のセリフには、大きなヒントが隠されてありました。
ロジャーとは、海賊王ゴール・D・ロジャーの事で、船医の経験があると言うクロッカスさんが海賊王と親交があったことがわかります。
そして海賊王が、”新たな海賊”を待ち望んでいた、という事がわかります。
何の為に”新たな海賊”の登場を待ったのかは、新世界編まで持ち越される謎となります。
クロッカスさんが、海賊王の船医だとすると、海賊王が見た”最果ての島、ラフテル”を共に見ている可能性もあるのだけど、それにしては
ラフテルの説明が曖昧なのも気になります。
また、ラブーンが「西の海」にしかいない「アイランドクジラ」であること、約束した海賊がいたことも、物語の重要な要素となっていくようです。
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