こんなにゴチャゴチャ書く気はなかったのに、なぜか書いてしまった「ひとこと感想」その3。
観た直後に会場で書くアンケートには、「映像がとてもきれいで、ベル・エポックの時代のパリを、少女と一緒に観て回ってる気がした…」といったことを、一応書いた記憶がある(違ってるかも)
それはそれで正直な感想だったのだけれど… 帰宅後書いたメモを今探してみたら、「とても美しく、最上級の技術を感じるけれど、どこか退屈。この教育臭?」などとあって、正直さに我ながらちょっと笑った。
この監督が、フェミニズムの作品を作る人とは知っているけれど、その啓蒙の仕方?にいつも疑問を感じるのは本当。そのせいで『キリクと魔女』以来、ずっと好きになれずにいる。
「男性優位社会である『現実』とは、女性から見たらどういうものなのか」ということを真剣に考えようとした場合、今回の「四つん這いで歩き、椅子として用いられる」女性(少女?)たちの姿は、ショッキングな比喩とだけ言って済まされるようなものではないことは、私にもわかる。それは、年を取るほど「ガマンする必要などなかった」ことが判ってきて、腹立たしさの増すことでもあったからだ。
逃げろと言われたときでも四つ足で逃げようとする女性たち。その根の深さを、作り手はちゃんと見ているのだと。
でもでも、それでも…
という風に、アニメーション作品としての面白さ、様々なデザインの洗練のされ方、何度も言うけれど「本当に美しい」映像などに、夢中になるのを妨げられるのが悔しい。
アニメーション大好き人間の私なのに、今回も結局「楽しんで観た」とは言い難く、「記憶に残る」作品にもならないだろうと思うと、残念でたまらない自分もいるのだ。
どれほど「美しいものが好き」でも、美しさだけで陶酔することはできない。陶酔に浸ることを求めてアニメーションを観ているような私にとっては、そんなことを考えさせてくれる作り手も必要なのかもしれないけれど。
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