むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

大阪では見つからなかった「東方台湾語辞典」(; ;)

2007-03-23 04:34:03 | 台湾言語・族群
大阪では見つからなかった「東方台湾語辞典」(; ;)
長らく絶版になっていた村上嘉英編著「現代ビン南語辞典」が、東方書店から「東方台湾語辞典」として20日発売だということで、当日大阪に滞在していた私は購入できることを楽しみにしていた。
ところが、東方書店の関西支店、大型のジュンク堂の堂島本店、東梅田の新阪急ビルにあるブックファースト、旭屋書店東梅田本店、京都の中文出版社などを駈けずり回ったが、どこも空振り。
東方書店支店も22日以降入荷といっていたし、旭屋も「あまり売れ行きが期待できないので取り寄せになります」。ジュンクやファーストも店内検索で書名が引っかからなかった。
うーむ、関西のほうが好きなのだが、もはや情報では東京のほうが圧倒的なのだな。まあもともと関西は書店という意味では東京よりも見劣りがしたが(京都の丸善がそこそこ良かっただけ)、最近はジュンクができて、東京池袋よりは小さいとはいえ、それでも新約聖書のネストレ各版をそろえるなど、やたらオタッキーな品揃えで期待したのだが、駄目だった。
それにしても旭屋が「売れ行きが期待できないので」という台詞を吐くとは思わなかった。電灯焼けした、やたら古くなった本を置いているくせにねw。
そういえば京都の百万遍にある中文出版社は婆がぽつんと店番していてさびれた感じだったな。かつては有名な中文関係の書店だったんだけど、最近はネット通販や中国語圏に行きやすくなったからなのか。

私は絶版になった前の版を2冊持っていて、1冊は保存用、もう1冊を常に手元において使い倒していて、新版に期待しているんだが、今回はお目にかかれなくて残念だった。(そいえば、台湾総督府の「台日大辞典」、実は私は原本を持っている。20年近く前に台湾の古本屋で購入したが、ほとんど最後に残った保存状態の良い美品で、掘り出しものだった。しかもすごいことに、後で武陵の復刻版を常用するまでは、なんと、その骨董品の原本を実際に単語調べに使うという恐ろしいことをやっていた(T T)(^^;))。

そういうわけで折角発売日に日本にいたにもかかわらず、買うことはできなかった、という次第(^^;)。
しかも、アマゾンやヤフーでは、在庫がない状態だし。これは、次回日本に行くときまで待つしかないか?まあ知り合いに送ってもらうのも手だが、すでに旧版も持っているし、今すぐに必要なわけではないからな。

何でも事前に聞いた話では語彙数は減って(あれ以上減らしてどうするんだという気も)、台南音ではなく台北音を主にする(実用的ではないような気も)、ということだった。もっとも、語彙数は減ったとしても、kong3-kuとか現代の常用語を補充したり、thiam2とsian7の訳語の間違いなどは改善されて欲しいとは思うが。
東方書店のホムペにあった見本ページを見る限りでは、さすが時代の進歩で印刷は見やすくなった感じだが、今挙げた点を含めてどうなったのだろう。
それだけは特に確かめたい気もする。
購入した人、旧版と比較してどうでしたか?

石原都政は横暴だ!

2007-03-23 01:14:42 | 世界の政治・社会情勢
都知事選まであと2週間あまり。石原慎太郎があまりにも傲慢横暴で老害をさらして醜悪だ。しかし、浅野史郎の勢いがいまひとつ弱いのが、頭の痛いところだ。浅野史郎本人は注目を集めるための作戦だったつもりかも知れないが、逡巡しすぎたうえで、あまりにも遅くなって出馬宣言したので、せっかくの「反石原勢力の結集」という気勢がずいぶん殺がれてしまった格好だ。
浅野については私も批判がないわけではないが、それでも石原や黒川あたりと比べたら、リベラルでしかも現実的である点は疑いようがない。
まして石原は2016年東京五輪誘致などという実現不可能な目標を掲げて、そのために中国の支持が必要なため、これまでの中国批判の姿勢をかなぐり棄てて中国にすりよろうともしている(もともと石原のお友達だった黒川紀章に至っては何をとり狂ったか「中国とロシアとの友好」を主張している)。これは最悪だ。

ただ、例によって共産党が独自に候補を出して、さらに浅野の足を引っ張っているのが困ったものだ。
これは左翼系掲示板を見ているとわかるのだが、共産党やその他旧左翼の支持層が「浅野は本当の弱者の味方ではない」などと頭の固い言いがかりをつけているのだが、これが共産党支持層の「気分」なのだろう。しかし、こういう頭の固い旧左翼がいるから、日本は相変わらず保守右派独裁になっているのである。
確かに旧左翼から見たら、官僚出身で現実主義者の浅野や、自民党の一部も合流している民主党は、リベラルとはいえ満足できないだろう。しかし、政治というのはあくまでも現実であり、最善ではなくて「次善」を目指さなければならない。
皮肉な言い方をすれば、共産党は官僚や自民党とともに東大エリート独裁原理があって、思考パターンが似ているから、「リベラルよりもむしろ自民党のほうがいい」とでも思っているのかも知れない。それが共産党をして、総選挙でも無駄に出馬させてみすみす自民党候補を通してしまう事態を招いているのではないか?共産党とそのシンパは結果的には石原や自民党右派の第五列ではないのか?(とはいえ、石原の不正を共産党が暴いた点は評価している)

とはいえ、浅野の出遅れと戦術ミスもあって、今回はやはり石原が3選されてしまいそうだ。しかし、どうして台湾と日本は揃いも揃って(実は韓国もそうだといいたいが)首都の首長はどうしょうもないのばかりが選ばれ、こうも選挙民のレベルが低いのだろうか?
考えてみれば、東京市時代も含めて、東京の首長で比較的まともだったのは後藤新平と美濃部亮吉だけだったのではないか?その後の鈴木はハコ物に無駄遣いして、青島は「革新」を気取ったが都市博をやめさせただけで、馬鹿娘を芸能界に入れるなど親馬鹿ぶりをさらけ出した。
美濃部については「福祉ばら撒き」などと保守から非難されてきたが、ドラ息子の情実人事とカラ出張やハコ物に税金を無駄遣いすることに比べたら(比べなくても)、はるかに健全だ。それに美濃部には良いブレーンがいた。

安倍首相は、年齢の割りに思考パターンが古くて観念的すぎる

2007-03-23 01:11:11 | 世界の政治・社会情勢
今回日本に戻ってびっくりしたのが、安倍首相のあまりのお馬鹿ぶりだ。年齢的に若手に属する割には思考様式が古く、あまりにも観念論で突っ走って失敗しているという印象だ。私とは思想的には違う右派ではあるものの、年齢的な若さやブレーンの清新さを見て、一時期は多少は期待する部分はないわけではなかったが、あまりにもひどすぎて目も当てられない。これは長くはもつまい。
特に日本に戻る直前にあった「従軍慰安婦の強制性否定」発言は、その後修正を迫られたものの、あんぐり。これは、その前の柳沢伯男が「女性は産む機械」などの女性蔑視発言などと合わせると、安倍晋三という人間のあまりにも反動的な体質と思考様式を示すものだといえる。

しかも、アホなことに、首相周辺は台湾政府外交部などすら抗議声明を発したことに「驚いた」らしいことだ(政府筋から聞いた話)。台湾の現政権与党民進党がリベラル左派政党で、人権・環境・女性問題にうるさいことを知らないで、「台湾は抗議するはずがない」とタカをくくっていたとしたら、それこそ馬鹿すぎる。首相周辺にはろくなブレーンもいないらしい。
台湾は確かに親日だ。これは疑いようがない。しかし、それはあくまでも台湾の主体性をもって、台湾の都合による「親日」なのであって、日本人右翼の基準に都合に合わせてくれる「親日」ではない。これは、実は韓国人の「反日」が単なる日本人右翼の「親日か反日か」の基準で決め付けられているが、韓国人は決して反日とはいえないことと通底する思い込みなのだが、日本の右翼の心の貧しさを示している(しかし右翼というのは心を重視するものなのだが)。要するに日本の右翼は、台湾が「親日」だから、日本がどんなに時代錯誤な主張をしても目をつむってくれると勘違いしているのである。
そういえば以前、日本人右翼学者のグループが民進党を訪れたとき、民進党の日本語パンフレットに「日本植民地統治によって台湾人は多くの苦痛を経験した」みたいな記述があったのに目くじらを立てたが、民進党の議員らが「日本も外来植民地政権であって、その点では台湾人にとっては苦痛だったことは間違いない」と反論して、かなり険悪になったことがあった。
これは民進党が西欧基準でいえば明らかに中道左派、日本でいえば民主党左派くらいのリベラル左派政党である点を考えれば、わかりきったことなのだが、どうも日本の右翼勢力はそれが理解できないらしい。どういうわけか台湾というクニについては、それに強く関係する大国である日本、米国、中国の権力者や右翼は、自分たちに都合の良い部分だけを見て、都合よく解釈して、都合の悪いことは見ないか抑圧しようとする傾向がある点ではよく似ている。困ったものである。

だから、今回安倍首相の「慰安婦強制性否定発言」が台湾の政権与党レベルで問題視されたのは当然のことである。もっとも民進党がリベラル左派だといっても、「反日民族主義」ではないから、慰安婦問題を「日本民族の残虐性の問題」などとするどこかの反日民族主義集団とは違って、それを普遍的な女性の尊厳に対する抑圧ととらえて、日本軍の性奴隷制度だけでなく、中華民国によるいわゆる831(パーサンヤオ)問題、戦後シナ人植民者による原住民強姦などついても同様の視点から追及しているのである(この点では、「反日」だけを眼目とした中国右翼や日本の旧左翼とも違う)。
そういう意味では、台湾のリベラル派の立場は、日本人の旧態依然とした「左右」両方から理解されないが、実はもっともまともだといえるのである。

ところで、慰安婦問題については、米国までが噛み付いた。これも安倍首相周辺にとっては想定外だったようだが、あまりにも愚かである。統治能力がないとしかいいようがない。そもそも安倍首相は右翼の癖して、新右翼の一水会などが問題にしてきた「ヤルタ・ポツダム体制」の問題について考えたこともないらしい。そもそも先の大戦における日本の罪について、これを追及してきたのは米国なのであって、その琴線に触れるようなことをして、米国が反発しないはずがない。
だからこそ、マイケル・グリーン、シーファーのような知日・親日派の重鎮ですら、慰安婦問題における安倍首相の軽率な発言を批判したのである。
ましてや、米国では昨年の中間選挙で民主党が勝利し、下院議長にはリベラル・人権派のナンシー・ペロシが選出されている。ペロシは昔から慰安婦問題にうるさかった。
しかも右派は愚かなことに、ペロシのような日本に批判的なリベラル派を「中国の手先」だと宣伝したがっている(たとえば産経新聞の3月15日付け朝刊一面の報道など)が、それは一部にそういうのがいるかも知れないが全体がそうだというのは誤りだ。なぜならペロシは同時に台湾やチベットの問題については、きわめて強硬な反中国派でもあるからだ。つまり、米国のリベラル人権左派は日本のそれとは違って、あくまでも人権については一貫しているのである。産経新聞はそうした側面を見誤って、日本の右翼を誤導させている。
そうした産経など右派メディアの誤った宣伝を鵜呑みにしているのか、安倍首相らは一方では「日米同盟」という実はかつては自民党ハト派が決定した路線を継承しながら、その一方では岸信介譲りの復古主義右翼思想を純化して進めようとしている。だからこんなトンチンカンな醜態をさらすことになるのである。
本気で「慰安婦強制性否定」「河野談話否定」をしたいのであれば、新右翼が言っているように「YP体制打破」つまり反米民族主義に突っ走る覚悟がなければならない。しかし現実にはそんなことは不可能だし、まして安倍首相は「日米同盟強化」も謳っているのだから、自家撞着もいいところだ。

確かに従軍慰安婦は、「軍による直接的な強制徴用」を示す物的証拠はまだ出ていない。だから(理由はこれだけではないが)慰安婦補償の訴訟では原告・慰安婦側は勝てないし、現時点では国家賠償はできないことは事実である(日韓協定などで請求権が放棄されている点はあえて捨象するとしても)。しかし、だからといって今後動かぬ証拠が出てこないのだから、一国の首相が「強制性はなかった」などと断言することは、「もし出てきたら嘘を言っていたことになる」のだから、政治的に明確に誤りだと言わざるを得ない。

今の自民党が右よりの天下になっているからといって、しかし若手議員と話している限りでは、ここまでの現実感覚の欠如と時代錯誤性は感じない。若手右派は基本的には戦後民主主義は否定しないし、北朝鮮や中国を語るときも人権を軸にして論じるからである。
ところが、安倍首相の場合、生まれ育った環境が岸と安倍という極右家族だったこともあってか、年齢から信じられないほど思考様式が古くさい。昔ながらの軍国主義・復古主義右翼である。しかも岸信介ほどの「ずる」がつく賢さもなく、政策論争ができないから、抽象的で短絡的なイデオロギーにばかり突っ走っている。だから、台湾からも米国からも評価されない。これが同じ右寄りといっても漫画をたくさん読みこなし経営にタッチした経験もある麻生太郎あたりとの違いか。

まあ、左翼も左翼で、旧左翼がまだまだ存在していて、こないだ東京で会った旧左翼学者はしきりに「知識人が大衆を導く役割」を強調していて、閉口した(笑)。ネット時代にネットをやれば誰でも簡単に知識が手に入れられる時代に「知識人の役割」とは恐れ入ったが(「おまえは丸山真男か?」)、それと同じくらいの古さが、安倍晋三にもあるのだ。だから、安倍晋三は駄目である。

本当はここで民主党に交代してもらうのが筋なんだけど、民主党も小沢一郎が代表になって精彩を欠いているのも事実だな。小沢って頭は良いことは認めるが、はっきりいって根暗でどうしょうもない(といっても岡田克也よりはマシだが)。前原誠司もちょっと「あんちゃん」という感じで頼りない。本当は菅直人がなればベストなんだが、菅はちょっと脇が甘くて女性とか年金とかで自民党に足をすくわれやすいところが惜しい。40代前半にはそれなりに人材もいるんだが、若すぎるからなあ。そういう意味でも、今すぐ民主党にというのも、さすがに私が民主党びいきといえども躊躇われる。