土壁

2013年05月19日 | 田園
ときどき通りかかる場所に、このような所があります。



右手は舗装道路でして、車も人も通る広い道ですが 以前は左手の丘の斜面を削ってつくられた農道であったと思われます。長い年月かけて竹や木の根がしっかりと食い込み、苔や地衣類が生え、風雨によって下の方を少し削られて オーバーハング気味のみごとな 土壁 になっております。
 大昔は川であったのでしょう、下の部分には小石が目立ち、角が丸いことからそこそこの流量があったことが想像できます。
そこから上の部分は粘土質の赤土が堆積しているように見てとれますので、地形などの変化によって比較的ゆるやかな水流に運ばれてきたものなのではないでしょうか。
このように地層面が露出しますと、侵食作用により次第に露出面が変化していきます。
岩石土砂以外にも、植物がそこに関係してきますので、これはあくまで想像ですが、(1)風雨・雨水が崖の表面の細かな砂を運び去る。(2)崖下層部に多い丸石が脱落して穴があき、侵食が進む。(3)上部から中間層には植物の根が進入していくので、侵食の速度が小さくなる。
このようにしてオーバーハング土壁ができていくのでは。



土壁建築もこれに倣ってか、木や竹の骨組みにワラ簾さを練りこんで発酵させ粘りを出した 壁土 を塗りつけて整形していきます。古い民家の、崩れかけた土壁は ある種の貧乏くささや寂寥感を感じさせるものですが、目を転じて こういう天然の土壁状態 に評価を与えてみましょう。

なかなか、味わい深いと思いませんか。



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