本日の晩酌 - 王祿

王祿に等級があるのは愛飲家の間で知られた話です。本生、生詰、原酒限定、直汲の順に出荷が少なく、最も希少な中汲みには五つ星がつきます。昨日の春季限定は世間でいうところの新酒にあたり、星三つの原酒限定に含まれるものです。あれに比べてしまえば物珍しさこそないものの、300mlの小瓶が旅の友には好適でした。沖縄へ向かう船上でいただいたのが無濾過本生です。
超辛と名乗っていた当時は、とにかく辛いという印象しかありませんでした。しかし、歳を重ねることによってこちらの嗜好も変わってきます。豊かな酸、繊細な熟成感、わずかに残る発泡感には、山陰の典型的な地酒とも、流行の酒とも一味違う個性があります。春季限定のような華やかさこそないものの、蔵の一家言がありありと感じられる名品です。

★超王祿 無濾過本生
王祿酒造(島根県東出雲町)
精米歩合 60%
アルコール分 15.5度
杜氏 石原丈径
広島県広島市 酒商山田にて購入