日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

中国九州縦断ツアー 2016続編 - サンライズ出雲

2016-12-25 23:58:03 | 中国
岡山駅のホームに降りると「サンライズ瀬戸」は既に入線しており、併結作業の準備をしている最中でした。その後定刻より遅れて「サンライズ出雲」が入線し、7分遅れで岡山を発車。姫路を出てから一風呂浴び、只今ラウンジで休憩中です。
九州からの帰りに「サンライズ」を使うという奇策を今回初めて採ったわけですが、何故もっと早く気付かなかったかと少し後悔させられます。新幹線で帰っていた今までの場合、下関の「三枡」で一杯やれば帰りの列車の時刻が来ていたわけです。しかし今回は115系と500系を乗り継いで岡山まで悠然と移動し、さらに駅前で一杯やってから帰るだけの時間が残りました。最後の移動は無味乾燥な新幹線から今や貴重な夜行列車に変わり、料金もグリーン車に乗り通すより割安です。自由席との比較では五千円ほどの差が出てくるとはいえ、個室の寝台と比較すべきは普通車でなくグリーン車でしょう。九州からの帰りは毎回これでいいとさえ思えてきました。
列車は西明石を通過して複々線区間に入ろうとしています。しばらく走れば明石海峡大橋が、次いで須磨浦の海岸と大阪湾の明かりが見えてくるでしょう。明日のことを考えると夜更かしは禁物ですが、最後の停車駅となる大阪まではこのラウンジから車窓を眺めるつもりです。

★岡山2234/サンライズ出雲(5032M)/708東京
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 鳥好

2016-12-25 21:04:57 | 居酒屋
二時間半の乗車を終えて岡山に着きました。待ち時間の合間に一献傾けます。訪ねるのは「鳥好」です。
「三枡」にあれほどこだわったのは、これはという店の心当たりが岡山にはないからだと先ほど申しました。しかし、手がかりが全くなかったわけではありません。実は、先月岡山に立ち寄ったとき、駅前に大衆酒場が二軒並んだ一角があり、これなら高知からの帰りに寄ってもよさそうだと思っていたのです。連休最終日だけに開いているかどうか未知数な部分はあったものの、幸い二軒のうち一軒が開いていたため、迷うことなく暖簾をくぐりました。

間口の広さからして大店なのは想像がつきました。果たして収容力はかなりのものです。暖簾をくぐると右側に長いカウンターが一本延び、中央に相席の大きなテーブルが三つ並んで、左の壁際には小上がりが。二階に座敷もあるとすれば、ざっと百名以上入れるのではないでしょうか。その店内は地元客であわや満席の大盛況。揃いのポロシャツ姿の青年とお姉さんが忙しく立ち回り、大衆的な雰囲気はまことに好ましいものがあります。
通されたのはカウンターの一番奥、店主らしき人物の正面でした。ならば特等席かというとそうでもありません。というのもカウンターが非常に長く、玄関側の半分にネタケースが、奥側の半分に大皿が並んでいて、中央に品書きの短冊と経木があるため、一番奥では大皿もネタケースも品書きもよく見えないのです。手元にも品書きはあるものの、大店の常としてとにかく品数が多く、何枚もある品書きをいちいち見ていくのが面倒に感じられます。そのような中、店内を見回して気付いたのが、玄関の上に掲げられた日替わりのおすすめでした。その日の一押しを最も目立つところに、当店の名物を短冊にそれぞれ掲げ、その他は手元の品書きから選ぶというのが当店流のようです。

屋号からして焼鳥の店かというと全くそのようなことはなく、刺身、天ぷら、揚物、焼物から一品、鍋物、ご飯物に至るまで、品書きにはありとあらゆるものが揃って死角がありません。焼鳥を売り物にして始めたはずが、お客に応えて品書きを増やしていくうちにそうなったのでしょうか。玄関の脇に生簀が鎮座していることからしても、刺身にはとりわけ期待をしてよさそうです。こうして注文した鰹のたたきは、楕円の深い皿に焼きたての鰹を気前よく盛り、大量の薬味を添えたもので、650円は破格といってよいでしょう。隣客が注文していた鰆も見るからにうまそうでした。
この鰹に限らず、肴はどれも安くて量が多く、二人で分けても十分な量です。これは一人だと持て余すということでもあり、小イワシと鍋物の二品を追加したところですっかり満腹。この手の大衆酒場の場合、酒については二の次というところも多い中、県外では滅多に聞かない地酒が何種類か選べるなど、酒の揃えについても申し分ありません。これから列車に乗るという状況では、駅前の大衆酒場こそ理想的であり、かような観点からも渡りに舟の一軒だったことになります。岡山で呑むなら、ここを選んでおけば間違いなしと言い切れる名酒場でした。

鳥好
岡山市北区本町5-8
086-233-1969
平日 1600PM-2330PM(LO)
日祝日 1600PM-2230PM(LO)

武蔵の里・神代
カツオたたき
小イワシ天ぷら
魚ちり
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 伝説の名車

2016-12-25 20:26:19 | 中国
東京行の最終列車「のぞみ64号」に道を譲ってから福山を発車しました。岡山まであと20分少々です。
以前山陽新幹線で細々と余生を送る100系に乗車したとき、かつては速く思えた220km/hがゆったりしたものに感じられたという記憶があります。しかし今回、少なくとも駅間の走りについては往年と比べてもさほどの遜色がありません。通過待ちの合間にホームへ下りるのも息抜きには好適で、新岩国では500系が上下線のホームに並ぶという名場面がありました。一駅ごとに通過待ちを繰り返し、中には10分以上の停車もあって、さすがに退屈してくるかと思いきや、全くそのようなことはありませんでした。九州から「サンライズ」で帰るという奇策をとったからこそ、このような余裕綽々の行動を採り得たわけであり、まさに一石二鳥ということになります。
伝説の名車も来年で登場から20年を迎えます。新幹線車両の寿命からすれば、そろそろ引退してもおかしくない年代です。そうなれば乗車目的の連中が相当数出てくるでしょう。気兼ねなく乗れるうちに乗っておきたいものだと思います。
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - こだま756号

2016-12-25 18:48:27 | 中国
本日の活動の目玉は「サンライズ」ですが、その前にも千両役者が控えています。新山口から500系の「こだま」に乗り込みました。
在来線を上って行くには時間が足りない、だからといって新幹線で直行すると早すぎるという状況の中、時刻表を見ていて目に留まったのが「500系」の文字です。連休最終日で「のぞみ」も「さくら」も混み合うと予想される中、上りの「こだま」に500系が立て続けに入ると判明。小倉から乗れる列車に始まり「サンライズ」へ乗り継げる最後の列車まで、五本中四本が500系という状況の中、新山口まで在来線で先行し、そこから終点の岡山まで乗るという選択に落ち着きました。下関を一時間後に出て厚狭から後続列車に乗るという選択肢もあり、この場合「三枡」で軽く一杯やれることから、どちらをとるかが最後まで悩ましかったわけなのですが。

昨年の改正で東海道新幹線の最高速度が引き上げられ、最速列車は博多から東京までを4時間47分で駆け抜けるようになりました。しかしそれより20年近くも前から、同じ区間をわずか2分違いで走破していた、我が国の鉄道史上における伝説というべき名車がこの500系です。この事実からしても、本形式がどれだけ時代の先を行く存在だったかが分かるというものです。
あまりに突出した性能が経済性、合理性の観点からはかえって嫌われ、性能をわざわざ落とした700系が後継となり、さらに後継となるN700系でようやく同等以上の性能に追いついたとはいえ、時代を10年先取りした点において、この形式を超える車両は後にも先にも現れないでしょう。今は山陽新幹線に追いやられ、「こだま」で地道な下働きをこなしているこの名車に、久々に乗車するには今回が絶好の機会と考えました。

福山に寄る時間がどうしても捻出できなかったと先ほど申しましたが、実は徳山まで一区間だけ乗り、そこから「さくら」に乗り換えれば難なく寄れてしまうのです。しかしもちろんそのようなことはしません。500系の乗車には、福山で呑む機会を一回棒に振っても余りある価値があります。新尾道の12分を筆頭に、「のぞみ」と「さくら」に何度も道を譲りつつ、岡山まで延々二時間半の長旅ではありますが、長い通過待ちは撮影にむしろお誂え向きでもあります。終点まで退屈する間はなさそうです。

★新山口1823/こだま756(756A)/2047岡山
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 未練

2016-12-25 17:34:25 | 中国
九州方面からの接続を図り、二分遅れで下関を発車しました。しかし「三枡」で呑むかどうかについては最後まで迷いました。一時は悪魔のささやきに負け、駅前の歩道橋を途中まで渡ったものの、最後の階段を下りる手前で踏みとどまり、そのまま引き返して列車に乗り込むという顛末です。車窓から店の行灯が見えたときには、何とも切ない気分でしたorz

福山の「自由軒」に寄ることができれば、迷うことなく「三枡」を切っていたと思われます。しかし列車の時刻が噛み合わず、どう足掻いても福山で一杯やる時間を捻出できませんでした。そのことが判明するに至り、「三枡」で呑むという選択肢をにわかに捨てがたくなったのが真相です。
最終的な決め手となったのは、一昨日心ゆくまで呑んだばかりなのが一つ。明るいうちは乗車に使った方がよかろうという考えが一つ。もう一つの理由として、岡山に着いてから発車までの間に、一時間強という帯に短し襷に長しの半端な時間が残ってしまう点が挙げられます。今年岡山は乗り継ぎの合間に短時間滞在したに過ぎず、実質行っていないに等しいこともあり、あちらで一杯やれる程度の時間が残る方を選びました。
もっとも、これはという店の心当たりが岡山にはないことを考えると、「三枡」に行くのが最も手堅い選択ではあったのです。下関で一献傾け、岡山ではラーメンだけいただくという使い分けも考えられ、そうすればよかったのではないかと今も未練がましく考えていますorz

死んだ子の歳を数えるのはここまでにしておきましょう。運用についたのは117系から改造された3500番台です。今回の道中で115系に四度乗車し、いずれも異なる番台に一通り乗車できたのは幸運であり、「三枡」を切った甲斐は多少なりともあったことになります。

★小倉1614/2346M/1619門司1625/5188M/1632下関1653/3356M/1800新山口
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 北九州駅弁当

2016-12-25 16:15:54 | B級グルメ
様々な選択肢を検討の結果、「三枡」は見送るということで一応の結論が出ました。この先長くなることも想定の上、小倉でかしわうどんをいただいていきます。
鳥栖駅のうどんのパサパサしたかしわに対し、こちらのかしわは適度にしっとりしていて、具材に関していえば明らかに上回ります。とはいえ駅全体の雰囲気は鳥栖が断然勝っており、総合評価はどちらも甲乙つけがたいものがあります。駅そばの画一化が年々進んでいく地域もある中、味、雰囲気のどちらをとっても楽しめるのは天晴れです。

★北九州駅弁当
小倉駅7-8番ホーム
かしわうどん390円
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - ソニック35号

2016-12-25 15:21:55 | 九州
博多に到着後、向かいのホームの「ソニック」に乗り継ぎました。6分という微妙な間合いながらも毎時二本の輸送力は大きく、再び狙い通りの席を確保。しかし発車までに窓側は完全に埋まったため、連休の影響はここにも現れていることになります。
このまま乗り継いでいくと、小倉、下関、岩国での乗り換えだけで岡山まで行くことができます。しかし着くのは0時過ぎであり、「サンライズ」へ乗り継ぐためにはどこかで新幹線に乗らざるを得ません。今のところ下関の「三枡」で一献傾けてから山陽本線で行けるところまで行き、そこから乗り継ぐつもりですが、朝方申した通り福山か岡山まで先行しておき、そちらで一杯やるという選択も可能です。どちらをとるか、移動の合間に考えておきます。

★博多1519/ソニック35(3035M)/1605小倉
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - かもめ24号

2016-12-25 13:44:20 | 九州
ひとしきり撮影してから「かもめ」が発着するホームへ向かうと、自由席の乗車口には早くもかなりの長さの列ができていました。しまった油断したかと一瞬身構えたものの、狙い通りの海側に首尾よく席を確保。昨日と同様、雲仙と有明海が車窓を彩ってくれるでしょう。ただし進行方向が変われば眺めも当然違ってきます。このところ長崎から沖縄へ飛ぶという行程が続いたため、上りの乗車は久々です。新鮮な感覚で楽しむことができそうです。

★長崎1320/かもめ24号(2024M)/1513博多
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 長崎駅

2016-12-25 13:16:55 | 九州
浦上まで移動してきたことにより、帰りの列車にどこから乗るかという問題が浮上してきました。行きの列車を浦上で降りるのは、佐賀からの料金がわずか一駅違いで300円上がるからであり、博多まで戻るなら浦上から乗っても長崎から乗っても差はありません。全区間乗り通せる点と、着席を確実にする点では長崎からの乗車に利がある一方、すぐ乗れるという点では浦上に利があります。
ここで悩ましいのが連休最終日という特殊事情です。当然混むだろうとは予想されるものの、下り列車は佐賀から目に見えて空いてくるのが経験上分かっています。新大阪から先が混む帰りの新幹線と同様、佐賀までは余裕で着席できるのではないかという期待がありました。たとえば「ソニック」が大分から満席だったことは一度もありません。一時間に二本ある「ソニック」と、一本しかない「かもめ」の違いを考えても、始発から満席にはならないだろうと予想しました。その結果浦上からの乗車を選択したわけなのですが、楽観的な予想はものの見事に覆されました。
窓側が全て埋まっているのが車外からでも分かる上に、デッキにも立ち客が出ていたのです。通路側でよければ座れる可能性もあるとはいえ、二時間近い乗車なら好みの席を選べた方がよいに決まっています。交換する普通列車が頃よく滑り込んできたため、急遽そちらに乗り込み長崎駅へ移動してきた次第です。

これにより一時間遅れたことになりますが、結果としては怪我の功名でした。というのも、久々に来た長崎駅の雰囲気がよいのです。駅舎こそ駅なのか商業施設なのかも分からない代物に建て替えられたとはいえ、ホームは往年のままであり、古い上屋がよい味を出しています。頭端式のホームは旅路の果てを実感させ、隣にある留置線ではここでしか見られないキハ66と67が休憩中。その向こうに稲佐山が鎮座する眺めも秀逸です。それらを記録するうちに、小一時間の待ち時間はたちまち過ぎていきました。

★浦上1223/829M/1226長崎
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 大八ラーメン

2016-12-25 11:58:19 | B級グルメ
一時間少々粘ったところで、最初に撮った電車が再びやってきました。ここが潮時と見て切り上げ、最後にちゃんぽんをいただいて締めくくります。手近なところで探した結果、行き着いたのは「大八ラーメン」です。
昨日世話になった「ひぐち」の向かい、つまり浦上駅の至近という立地は、これから列車に乗る状況では渡りに舟です。手早くいただけるのが第一であり、それ以上を求めていたわけではありません。しかしこの選択は結果として吉と出ました。
暖簾をくぐると左側に赤く塗られたカウンターが一本、中央から左側にテーブルが整然と並んだ店内は、地元客御用達の虚飾なきラーメン屋の趣で、白衣白帽姿の職人二人組が調理を、頭巾に前掛けのお姉さんが接客を担当。カウンターの頭上と反対側の壁に掛かった品書きは、ラーメン各種に、ちゃんぽん、皿うどん、焼そば、餃子にご飯ものと一通り揃って過不足がありません。カウンターの中央ではおでん舟が湯気を立てており、軽く一杯やるにもよさそうです。お待ちかねのちゃんぽんは豚肉、ゲソ、牡蠣、蒲鉾、ちくわ、もやし、野菜にキャベツ、白菜、ニラを使った具沢山で、なおかつ600円の良心価格。腹も心も満たされる一杯でした。

大八ラーメン
長崎市岩川町2-20
095-849-0430
1130AM-2200PM
月曜定休
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 長崎電軌

2016-12-25 10:52:40 | 九州
僥倖です。こちらが宿を出るやいなや空が晴れてきました。只今大学病院前の停留所で電車を撮っています。この快晴なら長崎に終日滞在するにもやぶさかでないところではありますが、連休最終日だけに午後は列車が混むかもしれません。午前いっぱい撮影し、ちゃんぽんでもいただいてから出ようかと考えています。
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - ドーミーイン長崎

2016-12-25 08:43:06 | 九州
昨晩は毎度おなじみドーミーインのカプセルルームの世話になりました。聖夜だけに宿代を奮発するにやぶさかではなかったものの、かなりの酒代を消費することを考えると、宿に使える金は七千円が限度です。市内の相場からしても、その予算の範囲内でここを大きく超える快適さを求めるのは難しいものがありました。ならば宿泊は慣れたところで済ませ、浮いた予算を酒代に回した方が、自分にとっては理にかなっているというわけです。
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 三日目

2016-12-25 08:27:03 | 九州
おはようございます。昨晩の夜更かしが響き、今朝は少し遅めに目覚めました。只今朝風呂から上がったところです。本日も日中いっぱい晴れるとの予報ではありますが、朝日がまだ昇りきっていないのか、この時間になっても鈍い日が射しているにすぎません。もうしばらく様子を見てから宿を出ます。
先月九州から帰るとき、最終の新幹線の代わりに岡山から「サンライズ」に乗り継ぐという奇策を思いつきました。今回は早速それを実行します。岡山の発車時刻から逆算すると、博多を八時過ぎに出る「さくら」が最終の接続列車となりますが、一時間後の「みずほ」に乗って姫路で乗り継ぐというさらなる奇策もあり、福岡で一献傾けてから帰るという選択も十分可能です。とはいえ、日曜の福岡の貧弱さについては先日思い知らされました。日が暮れ次第福山か岡山に移動しておき、あちらで呑むのも一案でしょう。
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中国九州縦断ツアー 2016続編 - 雲龍亭

2016-12-25 00:35:14 | 居酒屋
思ったほどにはしごできないのは那覇ですが、その対極なのが長崎で、今夜だけでも四軒を訪ね歩きました。しかも腹具合にはまだわずかな余裕があります。最後はおにぎりをいただくつもりで「かにや」へ向かうと、斜向かいに「雲龍亭」の看板が。目標を急遽切り替え飛び込みました。
長崎の特徴として、老舗と暖簾分けの店が相当数存在していることが挙げられます。「桃若」「一二三亭」「宝雲亭」に加え、教祖推奨の「はくしか」も然りです。「雲龍亭」についていえば、思案橋横丁にある本店と、電車通りの反対側にある支店はかねがね承知していたものの、自分の知らないもう一つの支店があったわけです。
店内はわずか三席のカウンターと、二人掛け、四人掛けのテーブル席がそれぞれ一つ。つまり9人までしか入れないというささやかさながら、その店内をベテランの店主と女将ともう一人の職人が仕切っていました。「宝雲亭」の丸い餃子に対して紡錘形をしているという違いこそあるものの、味わいは非常に似通っていて、続けざまにいただいても明確に区別することができません。強いていうならこちらの方がやや薄く、その分パリッとした食感がする程度でしょうか。とはいえそれは単なる気のせいかもしれず、宇都宮の「正嗣」「みんみん」両店の違いよりもはるかに小さいという印象です。
このことからいえるのは、餃子の味より店の雰囲気を宗とするのがよさそうだということです。たとえば「正嗣」と「みんみん」の場合、餃子の味には決定的な優劣がないものの、家族経営ならではのよさがある「正嗣」に対し、「みんみん」では杓子定規な接客に興ざめさせられる場面があり、総合すると「正嗣」に僅差で軍配が上がります。しかしてこちらについていえば、いかんせん店が狭すぎるのと、現代的で安普請な店内もあり、「宝雲亭」を差し置いてまで訪ねるには及ばないというのが率直なところです。ただし、地酒が選べるところはあちらにない特長だったことを付け加えておきます。

雲龍亭銅座店
長崎市銅座町13-11
095-824-1311
1800PM-130AM
不定休
一口餃子400円
地酒一合800円より
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