日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北関東廃線探訪 - 踏破

2016-12-10 15:50:33 | 関東
三時間弱をかけて終点の安比奈まで踏破しました。築堤を下りた後も田畑の中を一直線に貫き、さらにはその先にある雑木林も貫いて、それを抜けたところで緩やかな左カーブが始まり、河川敷の水道橋に突き当たって終わるという結末でした。結局最後まで線路が途切れることはなく、交通量の多い道以外では踏切までが埋められずに残っていました。境界標もそのままです。跡形もなく消え去っていてもやむなし、少しでも残っていれば儲けものと割り切っていただけに、あらゆるものがそのまま残っていたのは僥倖という他ありません。
それに加えてよかったのが、北風が吹きすさぶ冬枯れの中、西日を浴びた線路の跡が暮れていく雰囲気です。この光景が早晩失われてしまうのは残念でなりませんが、最初で最後になるかもしれない機会に、これぞ真骨頂といえる姿を記録できたことを幸いに思います。
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北関東廃線探訪 - 安比奈線

2016-12-10 13:57:36 | 関東
新狭山まで延々歩き、そこから一駅乗って南大塚で乗りました。本日の真打ち安比奈線の跡を辿っています。
結論から申しますと、今のところほぼ全てがそのまま残っています。線路は全区間、架線と架線柱も半分ほどの区間で残り、16号線を跨いでいた踏切には機器箱もありました。柵に囲われ、立入禁止の看板もあるにはあるものの、その柵はところどころで切れています。線路敷に花が咲いていることからしても、立ち入りは事実上黙認されてきたのが実態のようです。軒先をかすめるような生活感のある線路跡は、遊歩道化される前の手宮線をどことなく彷彿させます。
駅前から続いてきた住宅街が切れたところで、全体の三分の一ほどを歩いたことになります。行く手には田畑の中を貫く築堤が見えており、水路を跨ぐ鉄橋も残っていて、ここまでとは全く違う趣です。中盤終盤の展開も楽しみにしています。
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北関東廃線探訪 - モスバーガーベスタ狭山店

2016-12-10 12:20:13 | MOS
大宮で新幹線を撮った後、川越に移動して西武電車に乗り継ぎました。安比奈線を訪ねるかというとさにあらず。駅を二つ飛ばして狭山市で降り、新規のMOSを訪ねます。
新規といっても開店したのは四年前です。MOSの店舗があからさまに安っぽくなり、新規の店を訪ねる意欲がすっかり失せた頃でした。今回もここへ積極的に立ち寄ろうとしていたわけではありません。電車を撮るつもりで降りたはよいものの、適地を探しあぐねているうちに、店のある場所まで徒歩数分という状況になったため、お昼を兼ねて立ち寄ったというのが真相です。
このような経緯があるだけに、店にも過剰な期待はしていませんでした。そして実態はよくも悪くも予想通りでした。場所は線路と直交する片側二車線の幹線道路沿い、ベルクとケイヨーデイツーを中核にした郊外型商業施設の一角です。地図の上では狭山市と新狭山のいずれからもほぼ等距離に見え、歩けば二、三十分はかかるでしょうか。若かりし頃なら平気で歩いた距離とはいえ、今となってはわざわざ歩いて行こうと思う距離ではありません。歩くのが億劫になったというより、無味乾燥な商業施設を訪ねるのが時間の無駄に思えてきたというのが真相であり、快晴の今日にあってはなおさらです。
残念な立地に対し、店舗については「まあまあ」といったところではあります。道路に並行する側を高く、反対側を低くして屋根をまっすぐ下ろし、正方形をした明かり取りの窓を並べた造りは、二十年来変わらないMOSの伝統です。天井には白木の羽目板が整然と並び、それを風合いのよい角材の木組みが支え、二つの大きな照明客席全体を照らして、窓際の客席に円筒形のランプシェードが下がるという演出もてらいがありません。テーブルは相変わらずの張りぼてながら、暗めに塗装されているためか、安っぽさは多少なりとも目立たなくなり、同じく暗めに塗装された椅子、フローリングの色彩とも調和しています。特段感心する点はない、しかし眉を顰めるほど安っぽくもないところについては、先日訪ねた富士の店舗と同様でした。

モスバーガーベスタ狭山店
狭山市入間川1025
04-2999-5350
900AM-2400PM
第5164号
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北関東廃線探訪 - 出発

2016-12-10 08:04:55 | 関東
どうにか気力を奮い起こして出発しました。日中いっぱい活動し、終わり次第仲間と合流する予定です。
冬晴れの一日をどう使うかと考えたとき、最初に浮かんできたのは大宮で東北新幹線を撮るというものでした。しかしそれだけでは10時前には終わってしまうため、残り時間をどう使うかが思案のしどころでした。昨晩の時点で構想していたのは、熊谷に移動して秩父鉄道に乗るというものでしたが、快晴下でただ乗車するだけというのも芸がなく、悪くはないものの決め手には欠けました。しかし明け方に目が覚めると突如妙案が閃き、それが気力を奮い起こす原動力となりました。その妙案とは「安比奈線」です。
この路線の存在を知ったのは、「レイル・マガジン」の名物企画である「トワイライトゾ~ン」が初めて単行本化された二昔と少し前のことです。関東各地にあった砂利採り線の一つが、お役御免となった後も放置されているのをそのときに知りました。撤去されずに残ったのは、廃止ではなく休止扱いだったからで、旅客線としての復活がまことしやかにささやかれた時期もあったと聞きます。しかし少子高齢化時代の到来によりその夢も潰え、先月末をもって正式に廃止の手続が採られたのでした。
これは取りも直さず、線路の跡が早晩撤去されることを意味します。真偽のほどは不明ながら、廃止後は即撤去との噂もあり、既に跡形もなくなっている可能性すら出てきているのが現状です。もし事実であれば全てが後の祭りとはいえ、行くなら早ければ早いほど望ましいには違いありません。「今しかできないことは何か」という行動基準に照らし、選択肢は自ずと絞られた次第です。

それにしても、この路線を今まで一度も訪ねてこなかったのが我ながら不思議ではあります。一連の宮脇作品を契機にして廃線めぐりが一躍脚光を浴びてからというもの、自分も全国各地の廃線を訪ね歩きました。当時に比べて熱は覚めたものの、北海道では今なお廃線めぐりが活動の主題の一つとなっています。しかるに日帰り圏内にあるこの路線には見向きもしなかった理由が、自分でもよく分からないのです。仮に跡形もなく消え去っていたとしても、それは自業自得と割り切るしかないでしょう。少しでも残っていてくれればよいのですが。
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