日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

年の瀬の会津を行く 2016 - 籠太

2016-12-17 21:54:43 | 居酒屋
「麦とろ」と「鳥玄」で心行くまで盃を傾け、今回会津へ来た目的はおよそ果たされましたが、その一方で代償が発生してしまいました。寝過ごしてしまったのがたたり、「鳥玄」を出てから間髪入れず「籠太」に入らざるを得なくなったからです。
「鳥玄」のおまかせの充実ぶりは相変わらずで、今回も最後の方は息切れしました。しかるに二時間の出遅れにより、本来予定していた腹ごなしの間合いが一切なくなってしまいました。あと一時間でも遅ければ、どちらか一方を切らざるを得なかったわけで、はしごできただけでもありがたいとはいえるのですが。
このような状態だけに、注文できるものは限られます。冷蔵庫に「飛露喜」の生原酒が鎮座していたためまずこれを頼むとして、あとは半合ずつ二品ほどいただければよしといったところでしょうか。自身「三種の神器」と位置づけている焼鳥、豆腐、塩辛も全ていただくわけには行かず、どれか一つとおでんでもいただくのが限度でしょう。そう思っていたところで、鰺のたたきがおすすめだとの案内があったため注文すると、果たしてこれが見事な鰺です。その結果、あとは塩豆腐だけ選ぶのが限界となり、酒も一合半で打ち止めとなりました。好意で出してもらったお新香には手をつけることができず、土産に持たせてもらうという顛末です。短時間とはいえ立ち寄れたのはよかったものの、店に対しては申し訳ない結果となってしまいました。
やはり理由は腹ごなしの間合いをとれなかったことに尽きます。予定通りに二時間、せめて一時間置くことができれば、結果は大分違っていたはずなのですが。この借りを返すのが次回の最重要課題となりそうです。

籠太
会津若松市栄町8-49
0242-32-5380
1700PM-2300PM
日曜定休

飛露喜・花春
お通し(なめこおろし)
アジのタタキ
塩とうふ
お新香
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年の瀬の会津を行く 2016 - 鳥玄

2016-12-17 19:29:43 | 居酒屋
「麦とろ」での昼酒と同様、今回の行程でなければできないことがもう一つあります。会津の至宝「鳥玄」で呑むことです。
実は、あの後宿に退却して小休止をとりました。しかし誤算だったのは、前夜ほとんど休めなかったこともあり、小休止のつもりがすっかり眠りこけてしまったことです。五時の開店に合わせて入るつもりが、目覚めたときには七時を回っていて驚きました。早仕舞いも珍しくないと聞いており、一抹の不安を抱きながらも店へ向かうと、幸い炭火の前の特等席が今回も空いていて、どうにか事なきを得るという顛末です。

おまかせの充実ぶりについては前回長々と語ったため、同じことを繰り返すのはやめにします。その代わり今回語っておきたいのが器、とりわけ漆器についてです。酒器、陶器について一家言を持つ店は多々あるものの、ありそうでなかなかないのが漆器を活かした店で、自分が知る中では仙台の「かん」が思い浮かぶ程度でしょうか。しかしここでは会津塗の器が贅沢に使われます。本日出たものの中でいうなら、手拭きを納めた竹筒、お通しの蒸し鶏の小鉢、茄子漬けの受け皿、デザートの抹茶アイスの皿と匙、最後に出るお茶の湯呑みに漆器が使われており、七味と山椒も漆塗りの小さな茶筒に入っています。つくねを焼く竹筒も漆塗りの大皿に整然と並べられるなど、食器はもちろんのこと、さまざまな什器までが漆塗りです。しかも、贅沢でありながら華美なものは一つもなく、店内の色合いと調和しています。地産の酒と肴を出す店は数あれど、器も地産というのは天晴れというほかありません。
今回もう一つ気付いたのは、給湯器、暖房機が細い桟を渡した扉で隠されていることです。席は丸太の長椅子になっていて、そこに並んだ座布団には、酒林を上下に二つ並べたような紋所が。先日の「原模型」にも引けを取らない、細部まで徹底的に造り込まれた店内です。お冷や一つにしても、大きな氷をかち割って提供されるなど、きめの細かい接客にも感心させられます。
店内も客あしらいも、紛うことなき高級店のそれでありながら、腹一杯飲み食いしても四千円行くかどうかという良心価格なのは恐れ入ります。これで商売になるのかが毎度ながら不思議ではありますが、こちらにとってありがたい話には違いありません。延々二時間、心行くまで呑ませていただきました。

ちなみに今回は極めつけともいえる一幕が。「麦とろ」を通り過ぎて店へ向かうと、鐘撞堂の裏手の斜面に雪が積もっていて、それが店の行灯で仄かに照らされていたのです。機材を置いて出たことを、強く後悔させられました。次回会津を訪ねるのは早春の頃になるでしょうか。その頃にまだ雪が残っていたとすれば、行灯に浮かび上がった鐘撞堂を是非とも眺めていきたいものです。

鳥玄
会津若松市栄町4-46
0242-24-9663
1700PM-2200PM(売切御免)
日祝日定休

栄川三合
蒸し鶏辛子和え
茄子辛子漬け
蕪漬け
酒粕
厚揚げ
カシラ二本
つくね
豚バラしそ巻
トマトベーコン巻
とり蒸し
蒸し餃子
いものバター焼
抹茶アイス
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年の瀬の会津を行く 2016 - 麦とろ

2016-12-17 12:51:21 | 居酒屋
空前の暖冬だった去年でさえ、会津に着いたときには寒さが肌身に染みたものです。ましてや今日の気温は1度、湿った雪まで降っています。その中を歩いて「麦とろ」にやってきました。
「籠太」とともに毎度必ず世話になる当店ですが、昼に来て定食だけいただくか、「籠太」の後で軽く一杯やるかのいずれかがほとんどで、腰を据えて呑む機会はなかなかありません。それだけに、万全の状態で呑める機会は貴重です。今回二匹目のどじょうを狙ったのは、快速列車の旅のみならず、ここでの昼酒が秀逸だったからでもあります。
まずお通しにいか大根、次いでお約束の身欠き鰊が出てきました。あとは久々に馬刺をいただこうかと考えていたところ、それにも勝る恰好の肴が登場。「名倉山」の大吟醸の粕を使った筋子の粕漬けです。これだけあれば最低二合は酒が呑めます。これらと定食を組み合わせ、正味二時間の昼酒と相成りました。馬刺はこしあぶらの天麩羅ともども、花見の頃までお預けです。
ちなみに今日はこちらと同様昼酒の先客が。その先客の御仁と意気投合し、酒を二杯もごちそうになってしまいました。お名刺を頂戴すると、恐れ多くも社長だそうで、気前がよいのも宜なるかなです。歌謡曲が好きなところなど相通ずる部分もあり、おかげさまで心地よく酒を飲ませていただきました。ごちそうさまです。

麦とろ
会津若松市栄町4-9
0242-24-9886
1100AM-1400PM/1700PM-100AM

会津娘二合・花泉
身欠き鰊山椒漬
筋子粕漬け
麦とろ定食
身知らず柿
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年の瀬の会津を行く 2016 - 中町フジグランドホテル

2016-12-17 12:28:42 | 東北
午前いっぱいかけて若松にたどり着きました。去年の焼き直しだと出発前に申しましたが、宿については例外です。本日は中町フジグランドホテルの世話になります。
汽車旅という条件を考えれば、駅前のフジグランドホテルを選ぶのが順当であり、去年も当然のごとく駅前を選びました。しかし、昼に着くという条件も考慮すると、必ずしも正解とはいえないことに気付きました。というのも、「麦とろ」で一献傾けた後、夜の部が始まるまでに間が空くため、一旦宿に退却すべき局面が出てくるのです。したがって、駅前に宿をとってしまうと市街との間を二度往復しなければなりません。その教訓を活かし、今回は中町を前進基地として活動します。
ちなみに、田島方面から来るのであれば、七日町で降りた方がわずかとはいえ近道でした。そうしなかったのは、終点まで乗り通したかったのに加え、湿った雪が降っており、重荷を担いで歩くには少々面倒だったからです。足下がよろしくないため、「麦とろ」で一杯やった後は宿に戻って小休止する形になるかもしれません。
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年の瀬の会津を行く 2016 - 雪景色

2016-12-17 10:55:45 | 東北
列車を乗り継ぎ若松へ向かいます。去年は異例の暖冬により雪が全くなかった会津ですが、会津田島のホームには膝下まで埋まるほどの雪が積もっていました。冬晴れの関東平野を北上すると、今市で雪化粧した日光連山が現れ、鬼怒川を過ぎた頃から路面に積雪し始め、先へ行くほど雪が深くなって、青空はいつの間にやら雪空に変わっていたという展開です。上越国境とは対照的な、少しずつ移り変わる車窓が印象的でした。
若松までの運用につくのは単行の規格形気動車です。単行の列車というと、先へ行けば行くほど立ち客が増えていくのが相場のところ、去年は最後まで適度な乗車率を保ったままでした。その状況は今回も変わりません。本来あるべき姿に回帰しただけとはいえ、編成をとことん切り詰め、乗客が立ち通しになろうがお構いなしという悪しき慣行が全国的に蔓延している昨今、普通列車で悠然と行く時間が何物にも代え難く感じられます。駅長のおばちゃん、お姉さんがホームで手を振る光景も情緒的です。

★会津田島1004/2310D/1117会津若松
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年の瀬の会津を行く 2016 - 快速列車

2016-12-17 06:21:29 | 関東
浅草から始発の快速列車で旅立ちます。会津田島まで三時間半の長旅です。
今回またも汽車旅を選んだ理由の一つとして、東武の快速列車に乗るという目的がありました。国鉄急行形を彷彿させるビロード地のクロスシートも、今や生きた化石のような存在です。先般会津方面直通の特急列車の新設が発表され、この快速列車の去就に不穏な空気が漂いつつある中、騒がれ出す前に乗れるだけ乗っておこうと考えました。
東の空が少しずつ朝焼けに染まってきました。冬晴れの関東平野から、雪空の会津へと移り変わるであろう車窓も楽しみです。

★浅草620/33レ→133レ→133M/945会津田島
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