岐阜で列車を降り、不要な荷物をロッカーに預け、自転車を借りて市内へ向かうと、「丸デブ」に着いたのが開店3分前でした。既に見切りで開いているのはこの店の常です。その時点で席があらかた埋まっていることについても。わずかな空席に相席で滑り込むと、それから10分も経たないうちに、今度は相席すら難しくなり、店の外に待ち客が出始めました。あとは混む一方かと思いきや、30分経った頃にはお客が一巡し、一瞬とはいえ空いたテーブル、小上がりも出てくるという経過です。
こちらが入った時点で既にそばをすすっているお客がいたということは、定刻の5分、あるいはそれ以上前から店を開けているのが実態なのでしょう。それに加え、開店前から並んだお客が殺到する結果、開店直後は混む一方、それが一巡すれば多少は落ち着くということも分かりました。そうだとすれば横須賀の「銀次」と同様、開店時間をあえて避け、お客が一巡するのを見計らって行った方がよさそうではあります。しかし、あまりに引き延ばすと今度は昼時に重なって混み合うのが必至です。落ち着くとはいっても気休め程度の違いでしかないだけに、いずれにしても早めに行っておくのが賢明なのかもしれません。
今回は懸案だったワンタンを中華そばとともに注文。まずワンタンが出て、それを半分弱いただいたところで中華そばが運ばれてきました。同時に出せば一方が冷めるのを見越した上で、あえて時間差をつけているのでしょうか。何分初見だけに真相は不明ながら、結果としては助かりました。
巷で耳にした通り、ワンタンはの具はかなり控えめであり、具よりも皮の味と食感を楽しむものなのは明らかです。つまり極論すればワンタン自体が炭水化物そのものということであり、品書きにワンタンメンがない理由についても納得できます。これなら一個、二個というより一枚、二枚と数えた方が適切でしょう。ただし中華そばと同様丼から溢れんばかりにスープが満たされ、その中に大量のワンタンが折り重なっているため、実際に何枚あるかは数えようがありません。ワンタンで腹が満ちるものかと半信半疑だったところが、中華そばと比べても物量感に全く遜色はありませんでした。それ故に終盤は飽きてくるのが実情で、どちらか一方で十分というのが率直な感想ではありますが、両方いただくことで気付いた事実は少なくありませんでした。
もう一つ気付いたのはチャーシューの秀逸さです。味付けが濃く、歯応えと肉の旨味も十分で、大量のワンタンとそばをすすって単調になりがちな中、このチャーシューが絶妙な変化を与えてくれました。とびきりおいしいわけではない、しかし時折無性にいただきたくなる中毒性こそ「丸デブ」の真骨頂というのが私見ではありますが、このチャーシューには万人受けする普遍性があります。これほどのチャーシューを作りながらチャーシューメンすら一切置かず、中華そばとワンタンの二品だけで勝負する潔さも天晴れです。
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丸テブ総本店
岐阜市日ノ出町3-1
058-262-9573
1100AM-1800PM(売切御免)
6・16・26日定休
中華そば・ワンタン各400円