日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

活動回顧録 - 花見の旅

2016-03-10 23:31:07 | 旅日記
前年の秋から続く旅の暮らしも、桜の開花とともに終盤を迎えます。桜前線を追いかけて列島を北上して行く花見の旅の始まりです。
昨年の花見においては誤算が三つありました。一つは西日本と関東の開花がほぼ同時となり、これまで前哨戦となっていた四国・九州での花見ができなかったことです。もう一つの誤算は、四月の前半が悪天候の連続で、日照時間が異例ともいえるほどに短かったことです。そして最大の誤算は、東北、とりわけ北東北が異例の早咲きとなったことです。例年ならば四月の第三週まで信州にとどまり、大型連休から東北地方を北上して行くところ、この年は北東北で続々開花が始まり、大型連休を待たずして桜が散ることも十分考えられました。異例の早咲きに鑑み、一時は大型連休の花見を諦め、九州への振り替えを決断したつもりが、土壇場の急展開を経て、大型連休前半までは花見に注ぎ込むという経過です。

・花見の旅in信州 2015(4/11-12 2日間)
都内の桜が散った後、お約束の信州を訪ねました。真打ちの高遠だけでなく、隣町の春日城跡に伊那公園という名脇役が揃い、少し足を延ばせば松本、安曇野などもあって、一泊二日では回りきれないほどの見所がある信州です。今年も休みをとって三日を注ぎ込むつもりでした。しかるに、四月に入ってからというもの来る日も来る日も曇か雨の冴えない天候が続いて、金曜、月曜いずれの天候も期待できないという状況に至り、不本意ながらも暦通り二日の日程となりました。
初日は勝沼の甚六桜に始まり、日本三大桜の一角である神代桜など、自身にとって初見となる甲州の桜の名所をいくつか回り、高遠の夜桜を見物してから伊那に泊まりました。翌日は奇跡的に快晴となり、高遠周辺の桜を眺めて、夜桜の消灯とともに終了という結果です。
日程が一日短縮された上に、そのうちの一日も甲州に注ぎ込んだため、松本と安曇野は切らざるを得ず、その他の場所にも十分な時間を割けたわけではありません。とはいえ、数少ない晴天が週末に重なり、しかもそのとき高遠の桜が満開だったのは幸運といってよいでしょう。特筆すべきは、高遠城址はもちろんのこと、高遠市街も伊那市街もことごとく満開だったことで、開花状況がここまで完璧だったのは空前絶後でした。短い時間ながらも最高の桜を見られたことについては満足しています。

・花見の旅in信州 2015Part2(4/17-18 2日間)
信州の次は会津へ転戦するのが定跡にもかかわらず、天候不順が長引き多くを期待できない状況にありました。そこで浮上したのが、信州を二週続けるという五年ぶりの奇策です。
往路に初見となる小諸の懐古園を訪ねて松本に一泊し、翌日は安曇野に回り懐古園の夜桜で締めくくるという流れです。依然として天候はよろしくなく、安曇野ではあいにくの雨に降られました。松本の桜も大分散っていました。しかし、初日はまたしても快晴に恵まれ、最後の夜桜までには雨も止みました。早咲きと悪天候に振り回される中、小諸の桜だけは最高だったと断言できます。
実は、この時点では大型連休の花見を諦め、代わりに九州へ行く方針を固めていたところでした。しかし、前年は五月下旬の北海道、さらには六月上旬の八幡平まで桜を追ったこともあり、信州で花見が終わるという実感が一向に湧きませんでした。釈然としないまま二転三転した挙げ句、翌週末には結局東北へと旅立つことになります。

・東北縦断花見の旅(4/25-29 5日間)
一時は見送りを決断した大型連休の花見でしたが、土壇場で急遽決行という結論に至りました。ただし、どう考えても連休後半までは持たないのが明白だったことから、例年の約半分となる前半五日のみの短期戦です。必然的に日程は詰め込み型となり、例年通り夏井の千本桜を振り出しにした後、会津の宿泊を飛ばしてまず米沢に泊まりました。翌日も、例年の流れならば仙台に泊まるところを、夜通し走って翌日の昼前には弘前に着きました。例年一週間近くかけてたどり着く弘前へ、今年はわずか二日半で到達したことになります。
そうまでして詰め込んだ価値があったかといえば、開花状況を見る限り決してそうとはいえませんでした。道中を通じて見頃だった桜は、初日に訪ねた猪苗代の観音寺川、翌日に訪ねた米沢の上杉神社、四日目に訪ねた岩木山麓といったところがせいぜいでしょうか。弘前の桜は、既に八割方散っており、赤湯に小坂など、散るどころか食害によりそもそも花が咲かなかったところも散見されました。しかし、それでもなお行ってよかったと言い切れるのは、ただ桜を眺めるだけでなく、桜を追って北上する過程にこそ花見の旅の醍醐味があるからに他なりません。車中泊とカプセル泊を繰り返しての強行軍は、その愉しみを再発見させてくれました。今季も早咲きの可能性こそあれ遅咲きになる可能性は低いでしょう。大型連休を丸々注ぎ込んでの花見はまたもお預けとなりそうですが、限られた日程をやり繰りしつつ、再び弘前まで北上できればと考えています。
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