日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

九州沖縄縦断ツアー 2015 - 一富

2015-11-02 22:24:39 | 居酒屋
二軒目は中洲に河岸を替えます。訪ねるのは人形小路の「一富」です。
こちらも教祖の古い著作にひっそり登場し、「居酒屋味酒覧」には掲載されていない隠れた名店でした。「でした」というのは、昨年グルメ番組で取り上げられた途端、予約のとれない人気店に一変してしまったからで、前回は敬遠せざるを得ませんでした。しかし一年経てば多少なりとも落ち着くだろうという期待もあり、お客が一巡しそうな遅い時間を見計らって乗り込んだ次第です。

結論から申しますと、予想通りというかなんというか、かなり俗化してしまったのが現実ではあります。まず店先に立つやいなや聞こえてきた大声で、かなりの賑わいなのは容易に想像できました。それでも意を決して暖簾をくぐると、カウンターの角に二つだけ空席ができており、片付けが済むのを待って着席。混んでいるのもさることながら、日頃通っている店とは客層が明らかに違います。有り体にいうなら、古い酒場で呑むなどという習慣を持たない人々が、評判を聞きつけてやってきたかのようなのです。教祖の著作に載ったからといって、雰囲気がここまで一変することはないような気がします。これがTVの影響力なのでしょう。
これでは店主一人で仕切れるはずもなく、今日は女将と思しきおばちゃんが加わっています。時間が経つにつれて店内も落ち着いてきたとはいえ、後から入ったお客の注文もあり、店主は終始忙しそうです。唯一救いだったのは、慌ただしく立ち回る中でも、いつぶりかとの一言が店主から咄嗟に発せられたことでした。要はこちらの顔を何となく覚えていたということでもあります。
一昨年の聖夜、先客一人の状況で、軽妙洒脱な店主相手に酒を酌んだのはよき思い出です。今夜の状況を見る限り、そのような古きよき時代が戻ってくるかどうかは微妙ながら、予約満席という一時の盛況から、飛び込みでどうにか入れる程度にまで落ち着いたことを考えると、時間が経てばさらに落ち着くのではないかという期待もあります。次回博多を訪ねるときにも、この店を遅い時間にのぞいてみるつもりです。

一富
福岡市博多区中洲4-1-193
092-281-5120
1800PM-100AM
日祝日定休

酒二合
突き出し(なまこ酢)
鰺ごま
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 酒房 やす

2015-11-02 20:43:05 | 居酒屋
福岡に立ち寄る機会が次第に減り、近年は年に一度限りが通例となっています。貴重な機会にどこへ行くかは少なからず重要な問題です。その点今回は当たりをつけていた店がありました。教祖おすすめの「酒房 やす」です。
教祖の推奨店とはいっても「居酒屋味酒覧」には掲載されておらず、それより前の「全国居酒屋紀行シリーズ」の時代に登場した店です。しかし、一貫して推された店ほどよい店というわけではなく、古い著作にひっそり登場する店にも至高の名店はあります。活動仲間の一人がこの店を絶賛していたのに加え、近年主戦場にしている中洲以東、すなわち博多の街にあることなどから、一度訪ねてみようと考えていたのでした。

宿との位置関係でいうなら、櫛田神社と冷泉公園の前をまっすぐ北上し、明治通りを渡った少し先という分かりやすい場所です。しかし繁華街とはおよそ関係のない、よそ者はまず足を運ばない場所でもあります。飲食店の明かりもまばらな通りへ向かって建物からトタンの屋根が延び、そこに目印の赤提灯が下がっていました。玄関には扁額と白い暖簾が架かり、扉の磨りガラスには切り抜き文字の屋号が入って、そこからうかがう店内の様子も上々。暖簾をくぐると接客の青年が迎えてくれ、右手に四つ並んだ長テーブルの玄関側、店内を対角線上に見渡す特等席に案内されました。
テーブルの反対側には互い違いになったカウンターもあるものの、事前の情報通り惣菜の大皿が占拠しており、よほど混んだとき以外は使わないようです。そのカウンターの手前側には店主、奥側にはベテランの板前が立ち、中央の切れ目の部分に青年が立って接客するという布陣です。テーブルの頭上からは六角錐のような形をした木組みと和紙のランプシェードが一つずつ下がり、カウンターの上には行灯が並んで、古びた店内をほどよい明るさに照らしています。壁面を埋め尽くした山笠のポスター、写真、垂れ幕などが博多ならではです。
ビールはヱビス、酒は喜多屋一本と潔く、なおかつ高価な刺身はありません。カウンターに並んだおでんと惣菜、あとは壁の経木に書かれた一品料理からいくつか選んで行くという仕組みで、このあたりは虚飾のない大衆酒場の趣です。選んだものはどれも安くておいしく量も十分、麺類、鍋物なども充実しており、地元客が日参するなら最高でしょう。

教祖が近年推している店の多くに共通する特徴として、小洒落ていてややお高いけれども上質の仕事をこなし、一人客でも心地よく呑めるという点があり、その典型が大阪、神戸の若い店主による店です。逆に、近年さほど推さなくなった店として地元客御用達の大衆酒場があり、先日訪ねた名古屋の「末廣屋」はこの手の店でした。この店はもちろん後者の部類に属する店です。博多の街で日参できる大衆酒場といえば、いの一番に思いつくのは中洲の「酒一番」ですが、一人で静かに呑めるという条件まで加わると、この店に軍配を上げたくなってきます。博多でまた一つ通える店が増えました。

酒房 やす
福岡市博多区下川端町8-17
092-291-7408
1700PM-2230PM

ヱビス・喜多屋
おでん二品
じゃこ天
ごまさば
特製牛すじスープ
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 博多の夜

2015-11-02 19:07:17 | 九州
バスを二本乗り継ぎ市街に入りました。本日世話になるのは定宿の西鉄イン福岡、ではなくキャナルシティのワシントンホテルです。
他と比較するまでもなく、半ば無条件で選んできた西鉄インから宗旨替えしたのは、早い話が価格です。これまではWebからの予約で五千円前後だったところが、今回に限って七千円超の設定で、立地、設備、眺望などの様々な利点を考えても、自分の金銭感覚では出しづらい出費でした。そこで代わりを探した結果、キャナルシティに五千円台の中盤で泊まれると分かったため、こちらを選んだ次第です。
全国チェーンのビジネスホテルの中でも随一の安定感、信頼感を誇るワシントンホテルの、それも旗艦店の部類に属する宿だけに、内容もさすがといった感があります。部屋の広さと眺望は西鉄インに譲るものの、安い宿が真っ先に簡素化する照明、窓回り、ユニットバスといった箇所には抜かりがありません。福岡で近年主戦場としている中洲周辺も至近で、酒場めぐりの拠点としても申し分ありません。一風呂浴びてから早速出発します。
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 福岡到着

2015-11-02 18:13:29 | 九州
福岡に着きました。気温は15度、暑がりの自分には半袖でも十分耐えうる状況です。もちろん沖縄より肌寒くなったとはいえ、意外なほどに差がないものだというのが実感です。
混雑に辟易し続けた往路の搭乗に対し、復路はかなり改善されました。機材が変更されて収容力が上がった結果、通路側から窓側に回ることができ、なおかつ隣が空席だったため、快適性に関しては雲泥の差がありました。天草、雲仙、佐賀平野と移り変わる眺めもよく、とりわけよかったのがそこから着陸までの展開です。福岡までまっすぐ飛ぶのではなく、唐津から一旦玄界灘を北上し、沖合にある小さな島を中心に旋回してから、福岡市街へ北から入るという航路で、旋回が終わって機体が南を向いた瞬間、それまで反対側にあった西の空が窓の外に広がり、しかも今まさに夕日が沈もうとする瞬間だったのです。その後は茜色から次第に色褪せて行く西の空とそれを映した玄界灘、影絵になった島々を眺めつつ、海の中道を横切って滑走路に進入という結末でした。
もっとも、一瞬たりとも目が離せない錦江湾、津軽海峡などの劇的な航海に比べれば、これとて特段どうということのない眺めではあります。やはり、飛行機など乗らずに済めばそれに越したことはないというのが本音です。
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 沖縄の旅 完結

2015-11-02 15:08:48 | 沖縄
沖縄の旅はこれにて完結、ゆいレールに乗って那覇空港へ向かいます。完結と称するのは、空路は単なる移動であって旅ではないと考えているからに他なりません。福岡まで旅はしばしの中断です。
青空も束の間、空は分厚い雲に覆われ、今にも降り出しそうになってきました。しかし、こちらの滞在時間を見計らったかのように、おおむね晴れてくれたのは幸いでした。暑からず寒からず適度な気温で、晴れる日の割合も多いという点において、今が一番よい時期なのは間違いないようです。
10月の後半から11月にかけてといえば、全国どこへ行っても宿が混む時期です。かような観点からも、早くから日程を決め、宿と交通手段を押さえておく沖縄の旅を組み込むことは理にかなっています。沖縄に行くならこの時期が一番という考えが、今回の旅を通じてますます確立されてきました。

唯一問題なのは、往路でも大いに難儀させられた空路での移動です。フェリーで往復し、なおかつ現地での滞在時間を二日以上確保するには、最低でも六日の日程が要ります。つまり、土日に加えて平日を四日休まなければならないということです。四日も休むとすれば、いっそのこと五日休んで次の週末とつなげた方が得策ということになります。しかし、大型連休は東北での花見、秋は北海道でのキャンプという形で、長い休みの使い道が固定化されている以上、さらに重ねて長い休みをとるのが道義的にどうかという問題があり、それがフェリーで往復する際の唯一にして最大の問題点です。
この点、昨日も少し言及した通り、片道を空路で妥協することにより、従来と同様の五日間で、フェリーを利用しつつ那覇にも三泊できるという秘策が浮かんでいます。それを来年実行してみて、片道でさえ空路を苦痛に感じたときには、隔年で一週休んで往復フェリーという選択も考えるつもりです。
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - こどら

2015-11-02 14:28:27 | B級グルメ
レンタカーの拠点を那覇市街にしたのは、出発時のみならず返却時にもよい影響をもたらしました。返却次第空港に直行するしかなかったこれまでと違い、那覇市内で腹ごしらえしてから空港に向かうことができるからです。営業所と駅から歩ける場所にそば屋があったため、こちらでお昼を済ませて行きます。訪ねるのは「こどら」です。
文字通りの食堂だった「高良食堂」に対し、こちらはそば以外はじゅうしい、ご飯、キムチしかない純然たる専門店で、居酒屋の居抜きと思しき店内を、店主夫妻が二人で仕切っています。注文は三枚肉そば670円也。丼の中央に三枚肉を四枚並べ、蒲鉾とネギを添えた出で立ちが美しく、箸で掴んだまま立ち上がれそうなほど長い麺も専門店ならではです。一癖あった「高良食堂」の牛肉そばに対し、万人に自信を持って勧められる一杯でした。

こどら
那覇市壷川1-2-11 プロムナード壺川1F
098-831-9112
1130AM-1700PM
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 夏の終わり

2015-11-02 12:47:30 | 沖縄
南風原、与那原と東進してから海沿いを南下し、安座真の海水浴場にやってきました。ここを目指していたわけではなく、那覇からほどよい時間で行き来でき、なおかつ近年行っていない場所という条件から、南東の方角が消去法で浮上しただけのことです。しかし結果としてはこれでよかったのかもしれません。
まず、空が次第に晴れ出して、いつしか昨日以上の快晴になりました。こうなると浜辺の景色も俄然絵になってくるというもので、海の青さと砂の白さはまさに沖縄ならではです。気温は27度、しかし汗が吹き出すような暑さではなく、日陰で受ける風は心地よく感じられます。内地でいうなら、海水浴の時期が過ぎ去り静かになった8月下旬、9月上旬の季節感とでもいえばよいでしょうか。夏の終わりを連想させる印象的な光景です。
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 高良食堂

2015-11-02 10:19:00 | B級グルメ
朝食をどうするか思案した末、今回一度も出番がなかったそばという選択肢が浮上してきました。手近なところを探した結果、宿の近くの「高良食堂」に10時の開店を待って乗り込みます。
そばが主役の専門店とは違い、沖縄によくある、しかし他県にはなかなかない街中の食堂です。300円ぽっきりという激安のそばもある中、選んだのは牛肉そば500円也。牛肉そばといえば、思い出すのは大宜味の「前田食堂」ですが、こちらの牛肉そばも一風変わっています。牛肉ともやし、キャベツ、レタスを炒めた具もさることながら、平打ち麺が緑色を帯びているのです。フーチバーが一枚乗っていることからして、おそらくこれを練り込んだのでしょう。フーチバーの風味なのか、それともニンニクの風味なのか、独特な香りがするのも特徴です。万人受けする「前田食堂」の牛肉そばに対し、好き嫌いが分かれそうな一癖ある味わいでした。

高良食堂
那覇市若狭1-7-10
098-868-6532
1000AM-2230PM(日祝日 -2200PM)
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九州沖縄縦断ツアー 2015 - 四日目

2015-11-02 09:13:44 | 沖縄
おはようございます。雨との予報に反し、窓の外には薄日が差しています。またしても天候が直前で上振れしたらしく、最新の予報では日中いっぱい降雨はないとのことです。今回も天候には総じて恵まれたといってよいのではないでしょうか。
レンタカーの返却時刻は14時、去年並みの快晴ならば、高速道を飛ばしてでもとにかく眺めのよい場所へ行くところ、本日はそこまでするほどの好天でもありません。まず思いつくのは、首里にできた新規のMOSへ行くというものですが、今回図らずも「首里城祭」なるものに重なってしまったため、そちらの方面には近付きたくないという事情があります。帯に短し襷に長しの持ち時間を、どう使うかが思案のしどころです。
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