日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

キャンプ総括 -施設編-

2014-11-20 22:57:01 | 旅日記
キャンプ総括の第二弾は「施設編」です。今季泊まったキャンプ場に、北海道で世話になったライダーハウスを加えて回顧します。

・海浜公園キャンプ場(富山県朝日町)
仲間内で「北陸本線キャンプ場」と呼ばれ、十年来夏の恒例行事の舞台となってきたこのキャンプ場ですが、北陸新幹線の開通により輸送体系が一変することに伴い、少なくとも「北陸本線キャンプ場」としては終焉を迎えることになりました。線路から遠からず近からず絶妙な距離を置き、行き交う列車を一望できるところが最高だっただけに、それが今季限りで見納めとなってしまうのが残念でなりません。
もちろん、他社に移管されるだけであり、線路がなくなるわけではないのです。列車が見えるキャンプ場なら、探せば他にもあるでしょう。しかし、行先も形式も様々な列車が、深夜までひっきりなしに行き来するという条件を加えると、そのような路線自体がほとんどなくなってしまいました。少なくとも趣味的見地からは、ここを超えるキャンプ場が現れることはなさそうです。
とはいえ、簡素ながらも必要にして十分な設備が揃うところはソロキャンプに好適で、富山平野が広がるまさにその始点に位置し、近辺に温泉、湧水、漁港など見所が点在する立地も秀逸。いつの日かもう一度世話になりたいと思うキャンプ場です。

・萱野駅ライダーハウス(北海道三笠市)
四度にわたって世話になったこの宿なくして、今季の北海道は成り立たなかったでしょう。かつての駅舎に泊まれるというありがたみもさることながら、その駅舎が塵一つなくこぎれいに手入れされ、寝具と炊事道具は使い放題、洗濯機とシャワーも揃うという至れり尽くせりの内容は文句のつけようがなく、これなら千円の料金も納得です。道央道と12号線が近く、岩見沢で買い出しもできて利便性は最高、それでいながら駅周辺には目立った明かりもなく、静かな雰囲気は好ましいものがあります。駅舎の裏手にホームと車掌車が残り、その向こうに広々した芝地が広がるという眺めには、いかにも北海道らしい開放感があり、ここで眺めた仲秋の名月は最高でした。

・計呂地交通公園(北海道湧別町)
かつての駅の跡地にあるのは萱野と同様ながら、趣は若干異なります。その名の通り公園として整備されているのが一つ。石狩平野の開けた場所に位置する萱野駅に対し、サロマ湖畔の小さな町にあるのが一つです。北海道の骨格をなす238号線沿いにありながら、夜になれば五分十分車が来ないという静けさが印象的で、耳を澄ましてようやく聞き取れるほどか細い虫の声も、秋の虫が大合唱していた道央とは好対照でした。
客車に寝袋を持ち込んでの雑魚寝だけに、快適性にかけては萱野駅に一歩譲るものの、炊事場とシャワーが揃い、キャンプ場との比較では何ら遜色なし。屋内で休めて300円なのですから、ここを利用しない手はありません。C58と客車が橙色の明かりに浮かび上がるのを眺めつつ、ベンチ付のテーブルで晩酌できるところも秀逸で、結局連泊してしまいました。

・ウスタイベ千畳岩キャンプ場(北海道枝幸町)
上記の通りライダーハウスが快適で、上陸七日目にして道内最初のキャンプとなったのがここです。その名の通り切り立った岩場の上に広大な芝地があり、その気になれば数百人は同時にキャンプができるでしょうか。芝生はそのまま寝転んでもよさそうなほど柔らかく、枝幸市街が至近で風呂と買い出しには不足なし。崖の上の岬という立地から樹木がほとんどなく、吹きさらしになるのが唯一の難点といったところでしょうか。とはいえ、それもよほどの強風でなければ問題はありません。屋根付のテーブルとベンチを借り切り、寒さに震えながら晩酌したのが印象に残っています。

・天塩川温泉リバーサイドキャンプ場(北海道音威子府村)
ウスタイベの翌日に泊まったのがこちらです。長距離移動を翌日に控え、名寄まで距離を稼いでおくのが賢明のところ、途中で下見に立ち寄ったこのキャンプ場が秀逸で、そのまま泊まってしまったという顛末でした。何がそこまで秀逸だったかといえば、そのまま寝転べそうなほど手入れされた芝生、街灯の明かりもない暗闇の中、旅人たちがテントのそばで火を灯す雰囲気、そして頭上に広がる満天の星空です。遠くから時折聞こえてくる列車の音も旅情を誘いました。その名の通り温泉も目と鼻の先にあり、これなら旅人からの人気も宜なるかなと得心した次第です。

・横沢公園(秋田県大仙市)
北海道からの帰り道、八戸、盛岡を起点にした二度の一時帰京を経て、九月の末に泊まったのがここでした。海岸、岬、川沿い、湖畔、林間など、キャンプ場の立地が様々ある中、ここは野球場を備えた町中の公園で、立地という点では目立った特徴がなさそうにも思えます。しかし、ここで眺めた天の川のような星空は、萱野で眺めた仲秋の名月と並ぶ、今季最高の夜空でした。ベンチ付のテーブルを備えた広い炊事場は、無料のキャンプ場としては破格の充実ぶりです。

・園家山キャンプ場(富山県入善町)
北海道と東北を一周し、再び北陸に乗り込んだとき、当てにしていた「北陸本線キャンプ場」こと海浜公園キャンプ場が断水で使えないという誤算に見舞われ、そろそろ日付も変わろうとする頃に逃げ込んだのがここです。
距離にすれば10kmほどしか離れておらず、松林のサイトと海岸の眺めはお互いよく似通っています。そのような中、このキャンプ場最大の特徴といえば、何といっても湧水が常時流れる炊事場でしょう。キャンプ場が無数にある中でも、名水百選に数えられる湧水が流れるキャンプ場ということなると、ここが唯一無二ではないでしょうか。海浜公園キャンプ場に比べると線路からやや遠く、列車が見渡せないのを最初は物足りなく感じたものの、何だかんだで三泊してしまったのは、それだけここの居心地がよかったからでもあります。西入善の駅までどうにか歩け、酒場めぐりとキャンプの掛け持ちという難題を可能にしてくれたのもこのキャンプ場でした。

・大池いこいの森キャンプ場(新潟県上越市)
10月の三連休の翌週、米山のお立ち台で日がな一日撮影した後、長岡泊との二者択一で逡巡した末キャンプを選択。ほくほく線の駅名ともなった、二つ並んだ人造湖のほとりにあるキャンプ場の世話になりました。期待した星空こそ思ったほどではなかったものの、静かな湖畔の雰囲気は最高でした。コンビニは至近、温泉も車なら10分ほどの距離にあり、さらには交通の要衝直江津にも近いため、何かにつけて使えそうなキャンプ場です。

・多田良北浜海岸キャンプ場(千葉県南房総市)
一昨年初めて訪ね、今回で三年連続となりました。今季泊まった中では最も簡素で、何の変哲もない海水浴場にテントを張るというのが実態ながら、期間外でもキャンパーを受け入れてくれる地元の人々の善意には感謝しなければなりません。彼方に点々と散らばる三浦半島の明かりを眺め、内房の静かな波音を聞きながらの晩酌は最高です。晴れれば富士山が見えることを今回初めて知りました。

こうして振り返ると、たかだか三ヶ月の間によくこれだけキャンプができたものです。今秋の天候は最高だったと改めて思います。次にキャンプができるのは、気候的には東北で花見をする大型連休の頃でしょうか。花見とキャンプを両立した経験はないだけに、実現のほどは未知数ながら、一度試してみる価値はあるかもしれません。それでは、また来年…
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