日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅二日目(16)

2010-05-16 23:47:49 | 旅日記
帰宅しました。ついに二ヶ月目に突入した花見の旅、最初は1時台だった帰宅時間が移動距離とともに少しずつ延びて、東北から戻った前回にいたっては翌朝5時前にまでずれ込んでいただけに、この時間に帰宅しているというのがにわかには信じられません。北海道で花見をした四、五時間後にはもうこの状況ですから、空路の時間感覚は他の交通手段とは全くの別物だと実感させられます。旅情など一切お構いなしに瞬間移動するかのような強引さが、これまで自分を空路の旅から遠ざけてきたわけですが、そのおかげで一泊二日というわずかな時間で北海道へ渡ることができたのですから、今回ばかりは文明の利器に感謝しなければなりません。

北海道と内地は別世界であり、それは花見の季節においても例外ではないということは、前回の旅で函館を訪ねた時に実感していたことですが、さらなる別世界である道央の花見は、やはり函館とは一味も二味も違うものでした。北海道の桜の違いを一言でいうなら、「内地では当たり前に見られるような光景が少ない」ということです。街路を彩る桜並木、城跡や神社仏閣の桜、校庭を囲む桜の木、民家の軒先の一本桜、しだれ桜の古木など、内地では当たり前のように見られる光景が少ないのです。そこらを適当に走ればどこでも桜が見られる内地とは違い、ある程度の事前情報がなければなかなか桜には出会いません。仮に出会ったとしても、桜というのは沢山の木々の一つに過ぎず、四方八方どこを向いても桜といった、内地の名所で見られるような光景は、北海道では決してありふれたものではないのだということに気づきます。
もっとも、北の大地と桜の組み合わせには、それはそれで違ったよさがあるものです。桜の名所とは、本数だけで決まるものではなく、むしろどれだけその土地の風土に溶け込んでいるかによると思います。北海道の広い大地の中で、長い冬に耐えた桜が遅い遅い花を咲かせる姿を見られただけでも、一泊という強行日程で北海道へ渡った甲斐があるというものです。
偶然の産物とはいえ、結果として三笠で終われたのも幸運でした。観光地でも何でもない寂れた炭鉱町であるこの町ですが、自分にとっては何度も訪ねた思い入れの深い土地でもあります。その町で地元の人々と触れ合い、最後は桜が満開の幾春別で締めくくることができたのですから、これでもう何も思い残すことはなく、ここで幕を引くなら最高の終わり方になるでしょう。

とはいえ、その気になれば翌週も花見ができるかと思うと、旅の虫がうずくのは事実です。前回の東北の旅にしても、道中ではこれが最後と思っていながら、終わってみるとそれまでは考えもしなかったその先の旅というものが浮かんできてしまいます。「全都道府県走破」と称し、何十万円もかけて沖縄へ船で行くという暴挙をはたらいた昨年にしてもそうなのですが、やり出すと歯止めがきかないというのが一人旅の厄介なところです。しかし、その翌週は年に一度の泊まりがけの生業が無情にも割り込んでおり、泣いても笑っても次の週末が最後だということは決まっているのです。あと一回と決まっているなら、いっそのこと最後の最後まで追いかけてみようという考えが浮かぶのは、旅人の性として仕方のないところではあります。

来週末に花見をするなら、日本列島で最も開花が遅い道東しかなく、そうなると一泊二日ではさすがに無理なので、土日の前後に一日か二日は休暇をとれるように交渉しなければなりません。航空券を押さえる関係で、遅くとも水曜までには結論を出す必要があります。どちらに転ぶかは自分にも分かりません。結果は後日…
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北海道花見の旅二日目(15)

2010-05-16 20:48:36 | 
二日間世話になった相棒と別れて新千歳空港に着きました。最初は勝手が分からなかったオープンカーでしたが、北の大地を二日走ってようやくそのよさが分かりかけてきたというのが実感です。オープンカーには洒落心が大事とは先人の言葉ですが、その言葉の意味が乗って初めて分かったような気がします。何冊もの地図と資料と撮影機材を助手席に積み上げ、脱ぎ捨てた上着を後部席に投げ込み、トランクは残りの荷物で満載といった乗り方は全く向きません。荷物を必要最小限に絞り、その中でも本当に必要なものだけを車内に持ち込み、あくまでスマートに乗りこなすという心構えが必要です。そんな不便さを楽しみにできる洒落心をもった人こそが、オープンカーにはふさわしいのでしょう。そうだとすると、自分はオープンカーには向かない人間の典型であり、やはり機能本位の4ドアセダンが合っているということになります。とはいえ、ルーフを開け風を切って走るのはたしかに爽快であり、年に一度ならこんな車もいいものだと思います。果たして次の機会は訪れるのでしょうか。
これから最終の一便前で羽田へ飛びます。帰宅は日付が変わる頃になりそうです。
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北海道花見の旅二日目(14)

2010-05-16 18:16:59 | 北海道
時間が押してきたため富良野は断念し、幾春別で引き返して萱野に戻りました。駅前に立つ若いソメイヨシノは七分咲きで、明日か明後日にも満開を迎えそうです。その姿を見届けたいのはやまやまながら、一泊二日の北海道はあまりに短く、ようやく北海道の空気に慣れてきたと思った瞬間に別れの時がやってきました。これまでと同様、今回も予定の半分しか回れないという結果に終わりましたが、おそらく今年最後となるであろう花見の旅を、何度も訪ねた思い入れの深い場所で終われたのは幸いでした。北海道の旅の多くにおいてそうだったように、この場所で風を受けながら道中最後の夕暮れを見届けた後、新千歳へ向かって移動します。
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北海道花見の旅二日目(13)

2010-05-16 16:37:53 | 北海道
一度聞いたら忘れられないその響き、幾春別の町に入りました。遅い春を待ちわびるかのようなその名の通り、町のいたるところで桜が満開の花を咲かせており、かつて東洋一とうたわれた炭坑の巻上機がそれを見下ろすように佇んでいます。とりたてて桜の名所というわけではないのですが、北国の遅い遅い春の訪れを感じる印象的な光景です。
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北海道花見の旅二日目(12)

2010-05-16 16:13:19 | 北海道
札幌が北限と聞かされたソメイヨシノですが、よくよく探すと空知にも少ないながらソメイヨシノがあることに気付きます。北海道にしては珍しい大きな一本桜が材木置場の裏手に立ちます。徐々に日も傾き、別れの時が近づいてきました。
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北海道花見の旅二日目(11)

2010-05-16 15:29:10 | 北海道
閉山から二十余年、北炭の立坑が風雪に耐えて残っています。これを含め、三笠の町には至る所にかつての駅や炭鉱の設備が残り、しかもそれらが荒れるがままに放置されているのではなく、だからといって観光地化されるわけでもなく、地元の人々に見守られながら静かに眠っています。
日陰には雪が残り、さほど高くない山もわずかに雪をかぶっています。四月の中旬に信州で雪が降った時には、これが見納めと信じて疑いませんでした。その一ヶ月後に雪が残っているのですから、日本列島にはまだまだ自分の知らない世界があるものだと実感させられます。
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北海道花見の旅二日目(10)

2010-05-16 15:25:55 | 北海道
結局鉄道記念館にも立ち寄ることにしました(オイオイ)
日曜ということで動態保存のSLが煙を上げています。一通りのものを見るにはそれだけで最低半日かかかってしまうため、今回はゆっくり見て回れないのが残念です。さらに山を分け入れば炭坑の遺構がいくつも見られるのですが、さすがにこれ以上の寄り道は難しく、屋外の展示車両とSLだけを眺めて早々に立ち去ります。
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北海道花見の旅二日目(9)

2010-05-16 14:45:56 | 北海道
お隣の三笠駅跡を訪ねます。かつての駅が公園になっており、そこに桜が咲いています。保存車としては全国でも稀に見る堂々たる6両編成の特急形車両が満開の桜に映えます。ちなみに、炭坑の方まであと少し足を延ばせば往年の名車が居並ぶ幌内の鉄道記念館がありますが、そこまで寄り道すると確実に日が暮れてしまいます。こちらはまたの機会に…
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北海道花見の旅二日目(8)

2010-05-16 14:12:54 | 北海道
高速を飛ばして三笠に着きました。三笠に来たらこの場所へ寄らずには終われません。萱野駅跡に立ち寄ります。
路線の廃止とともに放置され、長年の風雪に耐えかねて朽ちかけていた駅舎が地元の人々によって再生されてから今年で十年になりますが、その直後に初めて立ち寄って以来、定点観測で何度も訪ねているのがこの場所です。
この駅のよさは、かつての駅舎が見事に修復されているのもさることながら、それを含めた駅全体の雰囲気が秀逸なところにあります。石炭輸送で栄えた昔を忍ばせる広い敷地、その片隅に残る駅舎、ホームの脇に置かれた車掌車、駅前の農業倉庫など、レールこそないものの北海道の小さな駅の面影をそのまま残したロケーションが実に味わい深いのです。
もう一つのよさは、この場所が地元の人々によって今も大切に手入れされながら使われているということです。この日は町内会の花見ということで、地元の人達が七輪を囲んで宴を開いています。よくよく見ると、初めて訪ねたときには一面の草むらだった駅の構内に、桜の若い木が何本も植えられています。その光景からは、この駅が今も地元の人々に愛されていることがひしひしと感じられます。
自分は図らずもそのような場にいきなり訪ねるという無粋な真似をはたらいてしまったわけですが、地元の人は訝しげな素振りも見せず、それどころか通りすがりの自分を招き入れてくれました。結局お昼をご馳走になった上にゲームの賞品までいただくことに。何度訪ねてもこの土地の人達の親切さには感服させられます。結局一時間以上も滞在してしまい、後の予定はますます厳しくなりましたが、このような誤算は大歓迎です。
何度訪ねても小一時間は滞在したくなるような魅力がこの駅にはあります。駅裏の桜の木が立派に成長しても、この駅が末永く変わらずにいてくれることを願ってやみません。思いがけない出会いに感謝しつつ、また近いうちに再訪できることを願って駅を後にします。
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北海道花見の旅二日目(7)

2010-05-16 11:33:41 | B級グルメ
六花亭で土産を買います。内地の人間にとっては、北海道土産の定番中の定番「マルセイバターサンド」のイメージしかない六花亭ですが、直営店に足を運ぶとこの店のもう一つのよさが分かります。瀟洒な建物、安くておいしい洋菓子の数々、気持ちのいい接客、どれをとっても非の打ち所がありません。買った洋菓子を店内でいただけるのもこの店の特徴で、自分は10時のおやつ代わりにチーズスフレをいただきます。
予想通りというかなんというか、結局午前中は札幌滞在になってしまいました。午後の戦いがますます厳しくなりそうですorz

六花亭北大エルム店
札幌市北区北21条西8丁目3-5
011-709-6666
1000AM-1900PM
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北海道花見の旅二日目(6)

2010-05-16 10:34:53 | B級グルメ
中央市場で土産を買います。
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北海道花見の旅二日目(5)

2010-05-16 10:13:22 | 北海道
そろそろ桜が散ろうかという頃だというのに梅は満開です。ソメイヨシノともども、これが今年の見納めになるのでしょうか。
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北海道花見の旅二日目(4)

2010-05-16 09:58:03 | 北海道
北海道神宮を訪ねます。エゾヤマザクラは見頃ですが、やはりソメイヨシノは散り際を迎えています。見方を変えれば、道北や道東では来週も花見ができるということであり、来週再訪のプランが何度も浮かんでは消えます。とりあえず、帰ってから二、三日は天気予報に釘付けの日々になりそうです…
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北海道花見の旅二日目(3)

2010-05-16 09:29:50 | 北海道
夜更かしがたたって寝坊してしまいました。今日は時間との戦いになりそうですorz
空には薄く雲が出ているものの、昨日に続いての花見日和になりました。大通公園の桜が花吹雪を散らせています。最北のソメイヨシノにもいよいよ見納めの時がきたようです。
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北海道花見の旅二日目(2)

2010-05-16 02:25:38 | 北海道
長い一日がようやく終了です。明日は札幌市内で最北のソメイヨシノを深入りしない程度に見物してから富良野へ向かう予定です。札幌でゆっくりしすぎると、その後が時間との戦いになってしまうので注意が必要です。これまで同じ失敗を何度も繰り返したのは事実ですが、それはまあそれとして。
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