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苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

PS3世界同時障害のニュースを目にして、火の鳥のロビタを思い出した

2010年03月02日 | 日記
 非常に面白いなあ、と思ったニュースがありました。3月1日から発生したPS3の世界同時障害です。PSN(PlayStation Network)に、3月1日から世界中のPS3が一斉にログインできなくなったそうです。調査の結果、PS3内部の時計機能が2010年をうるう年として認識していたため、2月末から3月になったタイミングで不具合が発生したそうです。
 不謹慎で申し訳ないのですが、このニュースを知ったとき「ロマンを感じるなあ」と思いました。
 頭に浮かんできたのは、手塚治虫の名作『火の鳥』でした。『火の鳥 復活篇』という話にロビタの集団自殺という印象深いエピソードがあります。ロビタとは未来の地球で広く普及しているタイプのロボットです。主婦業の手伝いをしたり、子供の遊び相手をするような、人間に身近で愛されているロボットです。
 そんなロビタに変化が起きます。31世紀、あるロビタが自分の家の放射能農場に迷い込んだ子供を殺したという疑惑をかけられます。実は、子供がなついていたロビタを探して会いに来たため放射能農場で迷ってしまい死んでしまったという事故が真相です。数十年間続けられた裁判の結果は、ロビタの個体ナンバーを特定できないという理由のため、農場で働いていた全てのロビタを溶解処置するというものでした。ロボットは本来、心を持っていません。怒りも悲しみも感じないはずです。しかし、同胞をそのような形で失ったため、世界中の全てのロビタが、一斉に溶鉱炉へ投身自殺するという現象が起きました。あたかも、人間に対する反旗のような現象です。ロボットであるロビタに心があるのか。ロビタに人を殺せるのか。集団自殺の原因は一体何なのか。ロボットが人間のような自殺という行為を行なうことができるのか……。『火の鳥 復活篇』は25世紀の少年レオナと、量産型事務ロボットであるチヒロの愛の物語です。大河ドラマである火の鳥の中でも、このロビタのエピソードはかなり印象的で、悲しくて、大好きな話です。
 PS3の世界同時障害のニュースを目にして、このロビタのエピソードを思い出しました。原因はうるう年に関する時計機能の不具合でしたが、心がないはずのゲーム機が世界中で一斉に壊れたと考えると、ロマンやなあ、と思ってしまいました。「PS3 ロビタ」というキーワードでブログ検査してみましたが、記事はまったくヒットしませんでした。こんなことを考えたのは私だけだったみたいです……。これを妄想と言うのですね(反省)。

 以下、蛇足です。「火の鳥」と「ロボット」の話が出てきたので、Wikipediaに書かれていた『火の鳥 アトム編』の話に少しだけ触れます。『アトム編』は、手塚治虫の死去により実現しなかった『火の鳥』の話の一つです。Wikipediaから、そのまんま転載します。

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アトム(再生?)編(構想のみ)

初出:連続ラジオ小説「火の鳥 乱世編」(NHKラジオ第1放送 1980年3月21日)、その他にも証言複数有り。
本編OA後に手塚治虫自身が21世紀が舞台であるので『鉄腕アトム』の外伝を描いてみたいと構想を語っている。具体的な構想があったわけではないが、断片的なアイデアとして、「アトムはロボットであり、不死の存在と言える。その魂は、最終的には、火の鳥に救われるのではないか」と言うことと、「意識していたわけではないのだが、お茶の水博士はその容貌からして、猿田の血を引いていると思う。彼はアトムの最期を見届けることになるだろう」と語っている。長く手塚のチーフアシスタントを務めた福元一義によれば本編が完結編となる予定だったとある。
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 ≪その魂は、最終的には、火の鳥に救われるのではないか≫

 この文章を読んだだけでも心にグッときて、ゾクゾクします。手塚治虫が考えていた火の鳥の物語の最後、そしてアトムの最期の物語は、どのようなものであったのでしょうか。『火の鳥』完結を待たずの、手塚治虫の死去は本当に残念で仕方がありません。