それは、突然消えてしまった。
近所のショップにショーウィンドウがあり、1台の黒のRZが飾られていた。
夜になるとRZはライトアップされ、流麗なタンクに反射された光が、まるでマシンそのものが光り輝いているような錯覚をおこさせていた。
「俺はコイツに乗るんだ。」
深夜のアルバイトの帰り、何度もショーウィンドウの前で立ち止まった。
あと、もう少し。今月のバイト代が入れば、コイツに乗れる。
そう思っていた矢先だった。
「君がなかなか買わないから、他の人が先に買っちゃったよ。」
店長はそういった。
「黒のRZは限定カラーだから、悪いけどもう、ウチには入ってこないよ。」
落胆した。他の店を数軒回ったが、黒のRZはなかった。
最後の店にはスカイブルーのRZがあり、店長は「黒はウチにも入らないから、この青いのにしときなよ。」と勧めた。
イヤだ。黒のRZでなければダメなんだ。
俺は、ここで妥協はできないんだ。
金は揃った。
しかし突然、目的を失ってしまった心は、空虚な様相を呈するだけだった。
近所のショップにショーウィンドウがあり、1台の黒のRZが飾られていた。
夜になるとRZはライトアップされ、流麗なタンクに反射された光が、まるでマシンそのものが光り輝いているような錯覚をおこさせていた。
「俺はコイツに乗るんだ。」
深夜のアルバイトの帰り、何度もショーウィンドウの前で立ち止まった。
あと、もう少し。今月のバイト代が入れば、コイツに乗れる。
そう思っていた矢先だった。
「君がなかなか買わないから、他の人が先に買っちゃったよ。」
店長はそういった。
「黒のRZは限定カラーだから、悪いけどもう、ウチには入ってこないよ。」
落胆した。他の店を数軒回ったが、黒のRZはなかった。
最後の店にはスカイブルーのRZがあり、店長は「黒はウチにも入らないから、この青いのにしときなよ。」と勧めた。
イヤだ。黒のRZでなければダメなんだ。
俺は、ここで妥協はできないんだ。
金は揃った。
しかし突然、目的を失ってしまった心は、空虚な様相を呈するだけだった。