「かみゆき」は「冬の終わり頃、中南信及び佐久地方を中心に降る雪」の意。
例文
「きょうの ゆきゃー かみゆき だね」=「今日の雪は上雪ですね」
「かみゆきは しめって おもいゆきだで ゆきかきが たいへんせ」=「上雪は湿って重い雪なので雪かきが大変です」
「とうちゃん なんで かみゆきって ゆうだい」=「お父さんどうして上雪というのですか」
「むかしゃー みやこに ちかいほうを「かみ」、とおいほうを 「しも」っていってたもんでど」=「昔は都に近い方を「上」、遠い方を「下」って言っていたからだよ」
「そうなんだ。じゃあ しもゆき ってのも ある だかい」=「そうなんですね。では下雪というのもあるのですか」
「ああ、しもゆきは ふゆの つよいきせつふうの ふきだしによって ふる ゆきんことで ながのより きたの のざわ・いいやま・しなのまち・はくば あたりでまとまってふるゆきん ことだわ」=「ええ、下雪は冬の強い季節風の吹き出しによって降る雪の事で長野より北の野沢・飯山・信濃町・白馬あたりで纏まって降る雪のことだよ」
※「かみゆき(上雪)」と「しもゆき(下雪)」とについて
長野県では一般的に1月から2月にかけては等圧線が縦縞模様となる「西高東低」の冬型気圧配置となることが、また、2月から3月にかけては日本の南岸に沿って「南岸低気圧」が進むことが多くなります。
南北に長い長野県では冬型気圧配置による大雪や南岸低気圧による大雪が降り、前者を「しもゆき(シモユキ・下雪)」、後者を「かみゆき(カミユキ・上雪)」と言ったりします。
「しもゆき(下雪)」は日本海側で多く降る雪でさらさらして軽く、長野より北の北信や白馬あたりで纏まって降る雪のことです。
「かみゆき(上雪)」は太平洋側を中心に多く降る雪で湿っていて重たく、中南信及び佐久地方を中心に降る雪のことです。
「かみゆき(上雪)」の「かみ」、「しもゆき(下雪)」の「しも」については諸説ありますが、昔は都に近い方を「上(かみ)」、遠い方を「下(しも)」と言っていたためという説があります。
※「長野県百科事典(信濃毎日新聞社編 1981)」には上雪と下雪の二つの言葉が対語として記されています。
※「長野県方言辞典(信濃毎日新聞社編 2010)」には「かみゆき」は記されていますが、「しもゆき」は記されていません。