花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

フクジュソウ(福寿草)・ガンジツソウ(元日草)・ツイタチソウ(朔日草)

2008年10月21日 | 草花・植物

☆:*:.☆.:*:・''  フクジュソウ(福寿草) キンポーゲ科フクジュソウ属  ☆:*:.☆.:*:・'' 

春到来を実感できる花の代表。
春の気配を少しでも感じると、花芽がいつ顔を出すか、ひたすら待ちわびる。
雪を割って咲き出す光景は、山へ行かないとお目にかかれないが、花の後に雪が降るのは、目面しくない。
ひょっこり出てきた小さな花は、まだまだ寒さが残るうちに黄色に輝いて、春の到来を教えてくれる。
「陽が当たると開き、曇ると蕾む」を繰り返しながら、キンポーゲ科の特徴の美しい葉が育ってくると、春は確実なものになる。

やがてその葉も消え、初夏を迎え、また翌年まで、土の下でひたすら眠る。一年のほんのちょっとの地上部生活なのに、多くの人に待たれ、愛でられる花でもある。

「難を逃れる」といわれる「南天」と共に、正月を飾るようになったのは、江戸時代から。
正月に開花するように、園芸店で調整されているが、自然界では、2月から3月にならないと開花しない。
江戸時代の園芸書『花壇地錦抄』に、花金色、葩(はなびら)多く菊のごとし.葉こまかなる小草なり。花朝に開き、夕にねむり、その花又朝にひらきて盛り久しき物なり。元日草ともふくづく草ともいふ。祝儀の花なり」とある。

≪別名≫     ガンジツソウ(元日草)・ツイタチソウ(朔日草)・ふくづくそう

≪名前の由来≫ 
「フクジュソウ」(福寿草) : 旧暦の元旦のめでたい時期に、雪を押し上げて開花。開花の期間も長いことから、「福」と、「寿」」をあてて、福寿草(ふくじゅそう)の名がついた。


2008/3/18仙台市

・-:☆:-・薬草と毒草・-:☆:-・

根と根茎は、強心、利尿の薬効があるが、、劇薬なので、民間での使用は絶対にいけない。
☆☆ 開花前の地面から出てきたばかりの頃に、フキノトウと間違えやすい。昨年(2007)には、TVの料理番組で、誤って食用として紹介されたこともあるが、毒性が強く、死亡することもあるので、注意が必要。
全草有毒)嘔吐、激しい痙攣、呼吸麻痺など薬草はこちらを


。o○○o。.  .。o○○  o 福寿草と俳句  。o○○o。.  .。o○○o

新年の季語。「秩父紅」は、秩父にあるオレンジ色の福寿草。
  蕾太く 咲かぬを愛す 福寿草       正岡子規
   朝日さす  老師が家や  福寿草        与謝蕪村
    日のあたる  窓の硝子や  福寿草         永井荷風
               


オウレン(黄蓮)・カクマグサの名前の由来

2008年10月17日 | 草花・植物

☆.:*:・''・:*:.☆.:* オウレン(黄蓮)  キンポウゲ科オウレン属 ・雌雄異株 ・''・:*:.☆.:*:・''''・ 

薬草として知られている。、雪が解ける前から咲き出す「早春花のなかの早春花」。
「キクバオウレン」は、常緑。
「セリバオウレン」葉細い葉で、涼やか。実もまた観賞できる。
中国から薬草として渡来した時点で、在来種の「カクマグサ(加久末久佐)の名がすたれ、漢名の「オウレン」で呼ばれるようになった。

≪別名≫ カクマグサ(かくま草)
       「かく」は「固い」の意味で、根が固いことから「固い根の草」に由来する。
≪名前の由来≫ 根茎を切ると黄色でやや肥厚して、筋状に球が連なっていることから。
  同種のものは、葉の形状から「クキバ」「セリバ」「コセリバ」と区別される。            
  「バイカオウレン」は、梅に似た白い花を咲かせる

      2008/3/17仙台市                オウレンの実20086/24

        

≪薬草としてのオウレン≫
漢方では「三黄丸(サンオウガン)」日本でも古くから薬効が、知られていた。
健胃・整腸剤として、消化不良や下痢止めに用いる。成分の「アルカノイド」は有毒。
薬草サイトhttp://www.e-yakusou.com/yakusou/070.htm

.。o○○o。.  .。o○○o。  和歌に詠まれたカクマグサ  .。o○○o。.  .。o○○o。

うもれける 水際隠れのかくも草 葉末もみえず 行きかくれなむ 
 古今和歌六帖

「かくま草」。この和名が使われなくなったのは残念な気がします。
                                                      


ショウジョウバカマ(猩猩袴)・カンザシソウ(簪草)

2008年10月16日 | 草花・植物

☆.:*:・''・:*:.☆.:*  ショウジョウバカマ・カンザシソウ  常緑ユリ科ショウジョウバカマ属☆.:*:・''・:*:. 

平地から高山まで広く分布する。花期は生育地により3月から7月までと長いが、「晩春」の季語。
花の数は3~10個。花の色は濃紫から淡紅色までいろいろ。九州に自生する筑紫猩猩は、白が多い。
猩猩色の時期が過ぎても、散ることがなく、きれいな花形を保ったまま庭を賑わせる。開花後も茎はかなり伸び続ける。

≪別名≫ カンザシバナ(簪花)。ただし、「キブシ」も「カンザシバナ」の別名を持っている。

≪名前の由来≫「猩猩」は、中国の想像上の怪物で、形は猿に似て、顔は人のよう。酒を好み、赤面赤毛をしている。花の色が猩猩色。また、能装束の赤い頭の毛に見立てたともいわれる。、下に広がった葉を「袴」に見立てた。  
2007/4/10撮影(仙台市)                      2007/6/24の花

  

    


「猩々緋」は、染色で黒みがかった濃い赤を指す。
「猩々菅(ショウジョウスゲ)」は「カヤツリグサ科」の一年草。赤茶色の花が咲く。
「猩々草(ショウジョウソウ)」は、「トウダイグサ科」の一年草。最上部の葉が赤く花のように見える。
「猩々木(ショウジョウボク)は、クリスマスの時期によく見る「ポインセチア」のこと。

ショウジョウバカマの挿し芽≪挿し芽≫園芸書で「挿し芽可能」とあったので挿してみた頂上部や、地際にたくさんの不定芽が出来たが、頂上部のものは枯れ、地際からの芽が育っている。

2007/9/30
                                           


ニリンソウ・イチゲ

2008年10月16日 | 草花・植物

・━★::ニリンソウ(二輪草)・イチゲ(一華)キンポウゲ科イチリンソウ属::★━ 

春に芽を出し、清楚な花を付け、葉が消えるまで、僅か2か月足らず。残りの夏、秋、冬の長い期間を地下で眠り続ける。
「イチリンソウ属」の仲間には「二輪草、三輪草、蝦夷姫一華、雪割り一華、東一華、菊咲き一華」がある。

≪ニリンソウの別名≫  ソババナ、ヤマソバ(地方によってはエンレイソウをヤマソバと呼ぶ)

≪名前の由来≫
イチリンソウ(一輪草) :名前のとおり、一つの茎に一輪の花を咲かせる。
ニリンソウ (二輪草) :   〃            二輪    〃
サンリンソウ(三輪草) :   〃            三輪    〃

イチゲ    (一華)  :これも名前のとおり一つの茎に、一つのを咲かせるが、その気高さを持った花の様子から「華」を使ったと思う。

  
  2007/4/27仙台市 ニリンソウ                2007/4/3仙台市キクザキイチゲ

 ◆◇◆◇◆◇◆一華◆◇◆◇◆◇◆
「一華(一華)五葉を開き、結果自然(じねん)になる
開くのは心の花。結果は清浄無垢な心。

≪山菜 ≫ 
ニリンソウは、地域によっては、束ねて「山菜」として売られているらしい。癖も苦味も無く、しゃきしゃきとして美味しい。葉と茎をおひたしや汁の実にする。ただし葉は、猛毒として知られる「トリカブト(キンポウゲ科)によく似ているので、採集に当たっては、十分注意しなければならない。
                          
               


レンギョウ(連翹)・イタチグサ・名前の由来

2008年10月15日 | 草花・植物

・‥━★:::レンギョウ(連翹)・イタチグサ   モクセイ科:::::★━…‥・
黄金という名がふさわしい花の色。レンギョウが好まれるのは、この花色故ではないだろうか。 闌春の季語である。

        行き過ぎて 尚連翹の 花明り   汀女

日本への渡来は古く、平安時代ともいわれる。江戸時代前期には栽培されている。

≪別名≫
連翹空木(レンギョウウツギ) : 枝の中が空洞なことと、「トモエソウ」との区別をするために、呼称した。
鼬草(イタチグサ)  :奈良時代に書かれた「和名抄(わみょうしょう)によると「イタチグサ」の名前で生薬として売られていた。

≪名前の由来≫漢名の「連翹」を音読みしたものである。しかし、連翹は誤用である。中国で連翹と言えば、「トモエソウ」もしくは「オトギリソウ」のことであり、日本の連翹のことは「黄寿丹」というらしい。どちらの実も薬草として売られており、日本で売られる時に間違って「連翹」として売ったため、いつの間にか「連翹」として認識されてしまった。「連」は連なる。「翹」は、鳥の尾の長く突っ立った毛。

≪連翹の仲間≫
レンギョウ
 :芽の出る部分以外は中空。枝葉は弓なりに長く延びて下垂。花が咲いた後に葉が開く。花色は仲間の中では最も黄金色。花弁は卵型。母種は「シナレンギョウ」
チョウセンレンギョウ :シナレンギョウの変種。レンギョウに比べて、花が少し大きく細長い。
シナレンギョウ:花が下向き。枝が上に直立。
ヤマトレンギョウ:一部の石灰岩地に自生している。花期が遅い。「ショウドシマレンギョウ」も日本原産種。

園芸では枝の特性から「シダレレンギョウ(ツルレンギョウ)」・「キダチレンギョウ」と呼ばれることもある。

☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・  ≪薬草としての連翹≫  ☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・
成熟した果実を蒸して乾燥させる。解熱剤、消炎剤、利尿剤、排膿剤として利用される。

薬草サイトhttp://www.e-yakusou.com/yakusou/890.htm

.。o○○o。.  .。o○○o。 高村光太郎と連翹 ・連翹忌 .。o○○o。.  .。o○○o。


光太郎の終焉の地である東京中野のアトリエの庭に連翹が植えられていました。光太郎はこの連翹をこよなく愛し、彼の告別式にはいと枝の連翹が棺の上に添えられました。以来命日である4月2日を「連翹忌」と呼ぶようになりました。


花を食べるヒヨドリはつがい?
                                    

                                           


アケビ・ムベ

2008年10月14日 | 草花・植物

・‥…━★::::::アケビ(通草)・ムベ(郁子) アケビ科::::::★━…‥・  

秋の風物詩のような、アケビの実。ゴヨウアケビもミツバアケビも同じ種類で、混埴すると実付きが良くなる。
食用としての実はよく知られているが、花も美しい。どちらも紫の小花をこぼれるように付ける。花も実もそれぞれの時期で、季語になっている。
薬草としても用いられ、蔓は細工ものとしても用いられる。
ムベはその実がアケビによく似ているが、熟しても裂けることがなく、花も異なる常緑。触ってやわらかければ食べごろ。
果実は種が多いが、美味。冷たくして食べると「アイスクリーム」のように、なめらかで、非常に甘い。
アケビ:葉が5枚。葉のふちに波がない。果実は紫。
ゴヨウアケビ:葉が5枚。葉のふちが波型。果実は黄土色。「アケビ」と「ミツバアケビ」の交配種。
ミツバアケビ:葉が3枚。実は紫で、一番大きい。
ムベ:常緑なので、「トキワアケビ」とも。花は白緑色。関東以西に分布。

≪名前の由来≫

アケビ  熟すと実が裂けることから、「開ける実」→「あけみ」→「アケビ」が定説である。また、「ムベ」と比較して「開けむべ」→「アケビ」の説も。漢字の「通草」は、蔓をきり、片方から息を吹き込むと空気が通り抜けることから。
ムベ  天智天皇が近江に出かけた折、老夫婦に出会った。「なぜそのように長寿なのか」と訊ねたところ「不老長寿のこの果物を食べているからです」と答えて、差し出したのが、この果実。感心した天皇が「むべなるかな」(なるほど、もっとも)と言ったことから、「ムベ」と呼ばれるようになった。

ミツバアケビ・ゴヨウアケビ 葉の枚数による名前

アケビの花ミツバアケビの花2008/4/20仙台

2008/9/26仙台アケビの実ミツバアケビの実    

★。.:*:・'゜☆。.:*:・  アケビのレシピ  ★。.:*:・'゜☆。.:*:・

≪新芽≫ 春先にどんどん伸びる。やわらかい部分を摘み、茹でておひたし、あえもの、天ぷらに。ゼンマイの替わりにビビンバに入れても美味しい。山菜おこわにも入れられる。程よい苦味がある。
≪皮≫白い綿の部分を落としたほうが、苦みが少ない。
詰め物の炒め焼き:具は糸コン、ひき肉、ニンジンなどを炒めて醤油と砂糖で味付けする。 皮に詰めて油で炒め焼きにする。油炒め:皮を細く切り、油で炒めて、醤油や、味噌で味付けする。
オーブン焼き:皮に味噌や、チーズなどをのせ、オーブンで焼く。

≪保存≫皮を冷凍して。または乾燥させて保存。

≪薬草としてのアケビ≫
木質化したつる性の茎を晩秋に採取。乾燥させたものは「木通(もくつう)」煎じて、利尿剤に。
実を乾燥させたものは「木通子(もくつうし)」は利尿剤に。
薬草の詳しい記述はこちらから  http://www.e-yakusou.com/yakusou/016.htm

★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜俳句と和歌★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜

吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐というらん  文屋康秀      この歌の「むべ」は、「なるほど」の意味。
ますらをが 爪木に通草さしそへ て暮るれば歸る大原の里    西行  
             
仲秋の季語   林ゆく 雨や通草(あけび)が ぬれしのみ     秋櫻子
          老僧に あけびを貰ふ 暇乞                 
闌春の季語   海鳴れり 通草も黒き 花を垂れ             瓜人
仲秋の季語   郁子(むべ)呉れし 人老ゆまたは 逢はざらん     悌二朗
晩春の季語   郁子咲けり 捨てて久しき 家の門             元

★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜ アケビ細工  ★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜アケビとクサギ

アケビの蔓細工蔓、特に「ミツバアケビ」は、蔓細工に向いている。地を這うようにまっすぐに延びたものの方が、細工がしやすい。乾燥する前なら、そのままでも編めるが、いったん乾燥させたときは、水につけて柔らかくしてから編む。

★右ははリースにしてクサギと合わせたもの。
★左は簡単にできるカゴと乾燥アケビ。

              


ヨモギ(蓬)、モチグサ、モグサ、ヤイトバナ、さしもぐさ・名前の由来

2008年10月07日 | 草花・植物

・''・:*:.☆.:*   ヨモギ(蓬)  キク科 ☆.:*:・''・  

和歌にも多く詠われ、早春の象徴でありながら、その季節に美しい花が咲くわけでもなく、花が咲くころになると、汚い雑草として疎まれる。
誰でも知っている植物で、古くから親しまれているのに、山菜・薬草として以外は、さして大事にされることもない、不思議な顔を持つ「ヨモギ」。ヨモギ 
 
  花は秋に咲くので、「秋の花」に分類されるが、季節感としては、「春の草花」である。
  春になり、「フキノトウ」を収穫する時期になると、「ヨモギ」が出ていないか、気になる。昔は端午の節句のころになると、ショウブとともに屋根に載せたりもしたが、今はそんな習慣もない。その後は、「雑草」でとして、邪魔になる。よもぎ

 

2007/9/5仙台市

 

≪別名 ≫ モチグサ、モグサ、ヤイトバナ、さしもぐさ
≪名前の由来≫
ヨモギ 
四方に根茎を伸ばして繁茂するという意味から、四方草(よもぎ )という説。他に、「よく燃える草」の「善燃草(よもぎ)」とか、「よく萌えでる草」の「善萌草(よもぎ)」という説。

モグサ・ヤイト 灸の原料として燃やすので、「燃え草」から艾(もぐさ)。ヤイト」
モチグサ    草餅の原料に用いられることから。

★。.:*:・'゜☆。.:*:・  ヨモギの使い方  ★。.:*:・'゜☆。.:*:・'

若葉を茹でて水にさらしたもの  刻むかすりつぶし、「草餅・草だんご・蒸しパン・豆腐和えも、おひたし、炒め物、汁の実。天ぷら      
少し伸びた葉  先ヨモギ酒    
根 300グラムを1.8リットルの清酒に漬けて半年以上熟成してからこす。
ヨモギ風呂  木綿袋に入れて煮出し、沸かした風呂に入れてヨモギ風呂に。
塗布      切り傷、虫さされ、かゆむ止めに生の葉を絞り塗布。ヨモギと適量の水をトロ火で数時間煮つめて湿疹などに使用
      若葉を天日で良く干して、からからに乾燥したものをよくもんだもの。
「もぐさ」という。
ヨモギ石鹸 端午の節句   蓬で作った人形を飾ったり、菖蒲酒を飲んだりする風習があった。蓬や菖蒲は邪気を払う作用があると考えられていた。現代の日本においても菖蒲や蓬を軒に吊るし、菖蒲湯に入る風習が残っている。

◆◇◆ト若葉を天日で良く干して、からからに乾燥したものをよくもんだもので、「艾(もぐさ)」という。◆◇◆
薬草「艾葉」http://www.e-yakusou.com/yakusou/884.htm

★。.:*:・'゜☆。.:*:・  長歌・和歌    ★。.:*:・'゜☆。.:*:・ 

 春の蓬は、いち早く芽を出し、芽出し、生命力も強く、山菜、薬草としても用いられる。「蓬」「蓬摘み」とともに、早春の季語。

あやめ草 蓬 かづらき酒(さか)みづき 遊び和(な)ぐれど   万葉集 家持


夏過ぎて、荒れ地のようなところに、茫々として生える「蓬」は、源氏物語の「蓬生(よもぎゅう)」に詠われています。源氏が末摘花を訪ねると、屋敷には蓬が深く生い茂り、ぼろぼろの屋敷になってました。

たづねても われこそとはめ 道もなく 深き蓬の もとの心を      光源氏
 深い蓬にうもれていたあなたの深い心のもとに、これからは訪れます。

道もなき 蓬(よもぎ)をわけて君ぞこし 誰(たれ)にもまさる 身のここちする
  与謝野晶子が、現代訳「源氏物語」に付けた歌です。

百人一首 には「さしもぐさ・させもぐさ」として、詠われています。下野(栃木県)の伊吹山はその産地として有名。

かくとだ にえやはいぶきのさしも草 さしもしらじな 燃ゆるおもひを    実方
  こんなにしたっているのです。燃えるようなような私の想いご存じないでしょうね。 

契りおきし させもが露を命にて あはれ今年の 秋もいぬめり    藤原基俊
  あれほど約束して下さったのに、それを頼みにしていましたのに……今年の秋も空しく過ぎます。