花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

ヨモギ(蓬)、モチグサ、モグサ、ヤイトバナ、さしもぐさ・名前の由来

2008年10月07日 | 草花・植物

・''・:*:.☆.:*   ヨモギ(蓬)  キク科 ☆.:*:・''・  

和歌にも多く詠われ、早春の象徴でありながら、その季節に美しい花が咲くわけでもなく、花が咲くころになると、汚い雑草として疎まれる。
誰でも知っている植物で、古くから親しまれているのに、山菜・薬草として以外は、さして大事にされることもない、不思議な顔を持つ「ヨモギ」。ヨモギ 
 
  花は秋に咲くので、「秋の花」に分類されるが、季節感としては、「春の草花」である。
  春になり、「フキノトウ」を収穫する時期になると、「ヨモギ」が出ていないか、気になる。昔は端午の節句のころになると、ショウブとともに屋根に載せたりもしたが、今はそんな習慣もない。その後は、「雑草」でとして、邪魔になる。よもぎ

 

2007/9/5仙台市

 

≪別名 ≫ モチグサ、モグサ、ヤイトバナ、さしもぐさ
≪名前の由来≫
ヨモギ 
四方に根茎を伸ばして繁茂するという意味から、四方草(よもぎ )という説。他に、「よく燃える草」の「善燃草(よもぎ)」とか、「よく萌えでる草」の「善萌草(よもぎ)」という説。

モグサ・ヤイト 灸の原料として燃やすので、「燃え草」から艾(もぐさ)。ヤイト」
モチグサ    草餅の原料に用いられることから。

★。.:*:・'゜☆。.:*:・  ヨモギの使い方  ★。.:*:・'゜☆。.:*:・'

若葉を茹でて水にさらしたもの  刻むかすりつぶし、「草餅・草だんご・蒸しパン・豆腐和えも、おひたし、炒め物、汁の実。天ぷら      
少し伸びた葉  先ヨモギ酒    
根 300グラムを1.8リットルの清酒に漬けて半年以上熟成してからこす。
ヨモギ風呂  木綿袋に入れて煮出し、沸かした風呂に入れてヨモギ風呂に。
塗布      切り傷、虫さされ、かゆむ止めに生の葉を絞り塗布。ヨモギと適量の水をトロ火で数時間煮つめて湿疹などに使用
      若葉を天日で良く干して、からからに乾燥したものをよくもんだもの。
「もぐさ」という。
ヨモギ石鹸 端午の節句   蓬で作った人形を飾ったり、菖蒲酒を飲んだりする風習があった。蓬や菖蒲は邪気を払う作用があると考えられていた。現代の日本においても菖蒲や蓬を軒に吊るし、菖蒲湯に入る風習が残っている。

◆◇◆ト若葉を天日で良く干して、からからに乾燥したものをよくもんだもので、「艾(もぐさ)」という。◆◇◆
薬草「艾葉」http://www.e-yakusou.com/yakusou/884.htm

★。.:*:・'゜☆。.:*:・  長歌・和歌    ★。.:*:・'゜☆。.:*:・ 

 春の蓬は、いち早く芽を出し、芽出し、生命力も強く、山菜、薬草としても用いられる。「蓬」「蓬摘み」とともに、早春の季語。

あやめ草 蓬 かづらき酒(さか)みづき 遊び和(な)ぐれど   万葉集 家持


夏過ぎて、荒れ地のようなところに、茫々として生える「蓬」は、源氏物語の「蓬生(よもぎゅう)」に詠われています。源氏が末摘花を訪ねると、屋敷には蓬が深く生い茂り、ぼろぼろの屋敷になってました。

たづねても われこそとはめ 道もなく 深き蓬の もとの心を      光源氏
 深い蓬にうもれていたあなたの深い心のもとに、これからは訪れます。

道もなき 蓬(よもぎ)をわけて君ぞこし 誰(たれ)にもまさる 身のここちする
  与謝野晶子が、現代訳「源氏物語」に付けた歌です。

百人一首 には「さしもぐさ・させもぐさ」として、詠われています。下野(栃木県)の伊吹山はその産地として有名。

かくとだ にえやはいぶきのさしも草 さしもしらじな 燃ゆるおもひを    実方
  こんなにしたっているのです。燃えるようなような私の想いご存じないでしょうね。 

契りおきし させもが露を命にて あはれ今年の 秋もいぬめり    藤原基俊
  あれほど約束して下さったのに、それを頼みにしていましたのに……今年の秋も空しく過ぎます。