花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

アザミ(薊)・トゲクサ(棘草)・名前の由来

2009年12月05日 | 草花・植物
ノアザミ(野薊)・アザミ(薊)・トゲクサ(棘草)  キク科アザミ属  

誰でも一度や二度は見たことがある花。名前と実物が結びつくなくても、よく知られている花「アザミ」だが、棘に触ったことのある人は、意外と少ないかもしれない。 「きれいな花には棘がある」と言えば「バラ」のことだろうが、花にも風情があり、山菜としてもおいしく、薬草にもなる「アザミ」も「トゲ」が特徴。花の種類も多く、250種類もあるといわれていて、私のようなものには種類の同定が難しい。よく見られる色は、赤紫、他に白からピンク、紅色まで。「ノアザミ」のみが、春に咲く。

名前の由来》・沖縄八重山地方の方言で、「アザ」は「棘」を意味。これに接尾語の「ミ」、または食べられる実の意味で「ミ」が付いた。・きれいな花を見て摘もうとしたら棘があって、驚きあざむかれた。「アザム」が転訛して、「アザミ」に。

 《別名》 トゲクサ :葉の「棘」の鋭さと多さから。

≪園芸種≫ 江戸時代の書物にも紹介されているくらい、古くから園芸化が試みられて、花色・花の大きさなど数種の品種があるようです。現在「ドイツアザミ」と総称して売られているものも、、日本の野生種を園芸種にしたもの。新種を売り出す際、新しさを強調する目的で「ドイツ」を称号をつけたのではないかといわれています。

《アザミの種類と、高原のアザミ≫
★ノアザミ(野薊) 春から夏に咲き、総苞が粘る。他の「アザミ」と区別するため「野」がついた。「ノハラアザミ」との違いは、花の時期と、根元の葉が花の時期まで残っていないこと。
★オニアザミ(鬼薊) 夏の花。高さが1メートルほどに育つ。大きくなるもの、棘があるものに「オニ」とつくものが多い。葉先に数個固まって、うつむいて咲く花の総苞に毛がある。
★ノハラアザミ(野原薊) 秋の花。「ノアザミ」によく似ているが、花の時期が異なる。また、枝分かれが少なく、根元の葉が花の時期にもしっかりと残っている。
★フジアザミ(富士薊) 秋の花。富士山麓が主分布であることと、日本で一番大きいアザミであることから「フジザザミ」。「富士牛蒡」「須走り牛蒡」と呼び根を漬物にしていた。これを「山牛蒡」の名前で販売。
★タイアザミ(東北ではナンブアザミ、九州ではツクシアザミと呼ぶ))・ヨシノアザミ(発見者の名前から付いた吉野薊)・モリアザミ(別名牛蒡薊)・海岸に自生するハマアザミなど。
★高原に自生するアザミは、キソアザミ・タテヤマアザミ・センジョウアザミ・ヤツタカネアザミ・ダイニチアザミ・ザオウアザミ・チョウカイアザミ・ガンジュアザミ・ミネアザミ・オニアザミ・ジョウシュウーオニアザミの15種とあります。http://research.kahaku.go.jp/botany/azami/

≪薬草≫ 利尿、解毒、止血、強壮薬,月経不順、子宮筋腫、鼻血、尿血、下血、血圧降下など。  http://www.e-yakusou.com/sou/sou125.htm

《山菜》 どの種類も山菜として食べることができる。
春先に出た新芽は「天ぷら」にするとおいしい。芽や茎は、あえ物・炒め物・煮物に。根を食べようとして掘ってみたら、牛蒡のように深く、途中であきらめた。「やま牛蒡」として漬物で売られているのは、栽培された「モリアザミ」の根。

《アザミの名前の付いた「アザミ」でない「アザミ」》
★キク科キツネアザミ属  キツネアザミ(狐薊)  春の花。 「キツネ」の由来は「胡散臭い・まがい物」の意味。アザミのまがい物。あるいは「アザミ」と思ったら「アザミ」ではなく、化かされた気分から。葉裏に白い毛が密着。秋に芽が出て、ロゼット状の葉で冬を越す。棘はない。 ★キク科ヒレアザミ属  ヒレアザミ(鰭薊)  春の花。茎に波状の鰭がある。茎にも葉にも鋭い棘がある。全体の感じは「アザミ」によく似ているが、冠毛の違いから別の属に分類されている。

 《花が似ているもの》 ★キク科タムラソウ属 「タムラソウ」 秋の花。 花だけ見れば「アザミ」に見えるが、棘がない。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  《スコットランドとアザミ》  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
13世紀、スコットランドとデンマークが戦争をしていた時の話。城壁を飛び越えようとして、裸足になったデンマークの斥候がアザミの棘で足を刺され、その場で倒れているのをスコットランド兵が発見。この兵士を尋問し、敵の作戦計画を知ったことにより、スコットランドが戦争に勝利。この時から、スコットランドは、アザミを国花にした。 
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1・ 山には山の 憂)いあり        海には海の 悲しみや   まして心の 花園に  咲きしあざみの    花ならば
2・ 高嶺の百合の それよりも      秘めたる夢を 一筋に    くれない燃ゆる その姿  あざみに深き  わが思い
3・ いとしき花よ 汝(ナ)はあざみ     心の花よ 汝はあざみ   さだめの道は 果てなくも  香れよせめて  わが胸に
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口をもて 霧吹くよりも こまかなる     雨に薊の 花はぬれけり             長塚節