花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

シクラメン・ブタノマンジュウ・カガリビバナ

2008年12月23日 | 草花・植物

 

☆・:*:.☆.:* シクラメン・ブタノマンジュウ(豚の饅頭)・カガリビバナ(篝火花) サクラソウ科☆.:*:・''・:*:.☆. 

和名は、相反するような二つの名前を持つ。何ともユーモラスというか、無粋というか、ユニークな名前の「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」。片や、美しくも艶やかな名前の「カガリビバナ(篝火花)」

≪名前の由来≫
CYCLAMEN(サイクラメン):原種の、花後茎がクルクル回ることからつけられたが、園芸種では見られない。

ブタノマンジュ:イノシシが球根を食べていたからという説と、球根の形からの英名SOW BREAD(豚のパン)を和訳したという説。
カガリビバナ:花を見た貴婦人が、「これはかがり火の様な花ですね」という言葉から、牧野富三郎が名付けた。

 

  

◆日本で栽培が始まってからは100年くらいだが、鉢花としては日本でもっとも出荷が多く、年間3000万鉢が流通している。早春の季語になっているが、秋から冬の花であり、クリスマスや正月を中心に出回っている。
◆歌の中では「すがしい・まぶしい・さびしい」と哀調をこめてうたわれているが、花の雰囲気は派手で、豪華。歌詞と実際の花はミスマッチだと思う。

◆◇◆真綿色した シクラメンほど 清(すが)しいものはない
うす紅色(べにいろ)の シクラメンほど まぶしいものはない
うす紫の シクラメンほど 淋しいものはない◆◇◆小椋桂作詞◆◇◆
              

 


カタバミ(傍食・酢奨)・ムラサキカタバミ・ミヤマカタバミ・イモカタバミ

2008年12月04日 | 草花・植物

:.☆.: カタバミ・スイモグサ・ムラサキカタバミ・ミヤマカタバミ・イモカタバミ  カタバミ科カタバミ属:.☆.:*:・:.☆ 

 夕方になると葉を閉じる "就眠運動" をし、葉が一方だけ欠けたように見えることから「カタバミ」と呼ばれるが、種類は多い。
別名「スイモグサ(酢漿)」は、葉や茎を噛むと、酸っぱいことに由来する。

「カタバミ」といえばすぐに「アカカタバミ」を連想し、手ごわい雑草の類のように思っていたが、花はなかなかきれいである。清楚にひっそりと咲く「ミヤマカタバミ」は、山野草の風情がある。
鮮やかな紫で、「四季咲き」のように長く咲いてくれる「イモカタバミ」は、花の少ない時期も、庭を賑わしてくれる。
                                      

「ムラサキカタバミ」と「イモカタバミ」はよく似ているが、後者の方が花の色が薄い(中心部はさらに濃い)ことと、根が「塊茎」であることから区別できる。
「ムラサキカタバミ」は、「江戸時代」に観賞用に持ち込まれたが、麟茎で爆発的に繁殖し、畑などでは、駆除が難しいとされている。

いずれの「カタバミ」も繁殖力は旺盛である。

「オキザリス」  :園芸用に栽培されているのは、カタバミ科カタバミ属のうち、球根性のもの。

「ミヤマカタバミ」2008/4/7仙台

≪別名≫ スイモグサ

≪名前の由来≫

 カタバミ :夕方になると葉を閉じる "就眠運動" をし、葉が一方だけ欠けたように見えることから
スイモグサ :葉や茎にシュウサンを含み、噛むと、酸っぱいことに由来する。
ムササキカタバミ:花の色
イモカタバミ:根が芋の形をしている
ミヤマカタバミ:山地の樹林に生える。花色は白。小さめの「コミタマカタバミ」もある。こちらは葉の形がハート形が3枚。
アカカタバミ:葉も茎も赤茶。日が良く当たる砂利や石垣に生育する。花色は黄色
オッタチカタバミ:背が高く伸びあがったもの。花色は黄色。

「イモカタバミ」2008/6/19仙台

逢ふことのかたばみ草の摘まなくになどわが袖のここら露けき  よみ人知らず 古今和歌集

       


サザンカとツバキ

2008年12月02日 | 草花・植物

 サザンカ(山茶花)・ツバキ(椿)ツバキ科 

≪名前の由来≫
サザンカ 
中国名の「山茶花」は「椿」のことであるが、日本人が「山茶花」と「椿」を   勘違いして、漢読「サンサカ」を「サザンカ」にあてた。サンサカ→ササンカ→サザンカと変化した説。
②「茶に代へて飲と作すべし。故に茶の名を得た」という記述があり、このことから、山に生える茶から、山茶花(さざんか)の名になった という説。

ツバキ 
葉の艶から、「艶葉木(つやばき)」。転訛して「ツバキ」という説。
葉が厚いことから、厚葉木(あつばき)。転訛して、「ツバキ」の説。  
光る葉の木から、津葉木(つばき)になったという説。
朝鮮語の、ツンパク(冬柑)が転訛して、ツバキのの説。
漢字の「椿」は、ちん(椿)であって、センダン科のチャンチンのこととある。が、「春に咲く花」からの方が、納得できる。
     漢和辞典によると、「椿」は長寿のたとえや、父の意味を持つ

山茶花とは・‥…━━━★::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::★━━━…‥・椿とは

◆サザンカ(山茶花) ツバキ科サザンカ属。常緑・小高木。 実から油をとるためにと、植えられた。若枝や葉柄に毛がある。実の表面にも毛がある。自生のものは、ほとんどが白花。たくさんの園芸種があり、桃色・赤も多い。日本原産(sasanqua)。一般的には「サザンカ群・カンツバキ群・ハルサザンカ群」に分類する
◆ツバキ(椿)   常緑・高木。世界で最も早く園芸化され、「ヤブツバキ」グループと、「ユキツバキ」グループが代表。
◆カンツバキ(寒椿)  サザンカを母種とする交雑種(冬の間中ピンクの花を咲かせる八重咲きの種類)
◆ヤブツバキ(藪椿) ツバキ科ヤブツバキ属。別名「ヤマツバキ」。ツバキの原種。たくさんの品種の元。種子から油を採る。実の中をくり抜き、笛を作って遊ぶ。
 
                 ・‥…━━━★::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::★━━━…‥

2008/11/16仙台市2008/1/12仙台市

2008/11/16仙台市「ヒオトメ」2008/11/30

椿は花が首ごと落ちて散るので、縁起が悪いとされ、武家の垣根には山茶花が植えられたそうです
山茶花に比べて、はるかに立派と思える椿も、武家にとっては、敬遠されたが、好まれなかったわけではなかったと思います。
10000種類以上といわれる交配種があるのは、この美しくも凛とした風情が、茶花としても、庭木としても好まれた証拠。名前の由来になった「葉」も鑑賞の対象になりました。。白系と桃系、赤系のほか黄色もあるくらい豊富な花色と、咲き方があり、門外漢には名前を一つ一つ覚えることなどできません。

この椿と山茶花は、交配しやすく、どちらとも思えないような種類が出てきても不思議ではありません
「椿と山茶花」の違いに悩んだ人も多いはず。我が家に山茶花の生垣があり、70本以上が、種類もよく分からないまま植えられています。
私は、花の落ち方と、葉の艶から区別していましたが、交配種が多くなかなか一筋縄ではいかず、園芸店でも、名札が間違っていることも多いとか。
「タチカンツバキ(立寒椿)」や、二段生垣の低垣に使われる「ハイカンツバキ(這寒椿)」も、椿の名を使っていても、「サザンカ」の「カンツバキ群」といえます。

中国から入り、日本茶として飲まれている「チャノキ」は、ツバキ科ですが、花と実は「サザンカ」によく似ています。花も10月から咲き始め、サザンカの特徴を持っています。「山茶花」の漢字に「茶」の字が入っているのも、自然な気がします。実際、古くは山茶花の新芽を、お茶として飲んでいた地方も、あったようです。


一般的に言われている区別は、次のようになってます。

  椿 山茶花
花の散り方   花弁が崩れず、首から落ちる  花弁が一枚ずつ散る
花のつき方 花弁がつながっている 花弁がつながっていいない
 葉  小さく照りが少ない  大きく、照りがある
季語 春(春に咲く)4~5月 冬(冬に咲く)10月~12月
自生地 青森が北限 山口が北限・日本が原産
雄蕊 筒状 広がっている

☆.★.:・*.・.:☆.   薬用、食用、機械油、軟膏など  ☆.★.:・*.・.:☆.

葉・花は乾燥させ、お茶として飲むことができる。実は油として食用や、化粧品、軟膏の材料として用いられる。
ツバキ  http://www.e-yakusou.com/sou/soum038.htm
サザンカ   http://www.e-yakusou.com/sou02/soumm048.htm

 

☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''  山茶花と椿と私・☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・

◆椿と山茶花。どちらが好きかと問われれば、「山茶花」である。
まず椿は立派すぎる。花も葉も幹も。
そして、おどろおどろしいシーンに合うイメージ。子供のころ、墓地の地面に真っ赤な椿がポトリポトリ落ちていいて、気持ちが悪い思いがした記憶からだろうか。
◆「山茶花」を良しとするのは、「サザンカの垣根」の歌。たき火を囲んで焼き芋を食べるイメージ。そんなイメージから我家の垣根も山茶花が多い。他の木を植えたところも、はずして、山茶花に仕立て変えた。北側に植えていた山茶花が、花もきれいで、根も張らず、剪定も楽。垣根は「山茶花に限る」と今では思っている。今年は南側も「緋乙女とタチカン」に変えた。

◆椿は北国の花、山茶花はどこにでも花。このイメージはどこからだろう。
「椿……北国……寒さに耐えて咲く」にくらべて、「サザンカサザンカ咲いた道」は、明るい。


  .。o○○o。.  .。o○○o。種田山頭火「草木塔」.。o○○o。.  .。o○○o。

・雨の山茶花の散るでもなく          ・笠へぽっとり椿だった
・椿ひらいて墓がある              ・椿のおちる水のながれる
・おのれにこもる藪椿咲いては落ち 

 

  .。o○○o。.  .。o○○o。和歌。o○○o。.  .。o○○o。


巨勢山の つらつら椿つらつらに 見つつ思(しの)はな巨勢の春野を  万葉集
    巨勢山(こせやま)椿の美しさを褒め称えたうた。


わが門の片山椿まこと汝(なれ)、わが手触れなな土に落ちもかも    万葉集
   門の椿よ、私が触れないのに土に落ちてしまうのか。

和歌には「真椿・白椿・八峰の椿・つらつら椿・片山椿・山椿・八重の椿・八重らの椿・玉椿・白玉・青椿・片山椿・浜椿・深山椿・八千年椿」のようにうたわれていたが、どれがどの品種かは、不明。万葉集には八首あるが、その他にもそれほど多くうたわれているわけではない。

「山茶花梅雨」 季節の言葉では、立冬過ぎの雨を、「山茶花梅雨」という。