花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

カラマツソウ・ミヤマカラマツソウ

2010年07月31日 | 草花・植物
☆:*+:*+:*+:*:*+:*+:*+:*+:*+:*   唐松草・落葉松草 キンポウゲ科カラマツソウ属    ☆:*+:*+:*+*+:*+:*+:*+:*+:*+:*


「からまつの林を過ぎて からまつを見き からまつはさびしかりけり たびゆくはさびしかりけり」
白秋の詩「落葉松」がなければ「カラマツソウ」を庭に植えたいとは思わなかったかもしれない。
花弁はなく、蕚がすぐ落ち、落葉松の葉状に見える雄しべが残る。
花の様子が、「唐松」に似ていることから付いた名前と言われているが、葉の様子もまた、「からまつにからまつのかぜ」を想わせる様に思う。

名前の由来:花の様子が「カラマツ」の葉に似ていることから。
★樹木の「カラマツ」は、松の種類では珍しく「落葉する」。日本特産種であるが、落葉する松は珍しいので「唐の国から来たのだろう」ということで、「唐松」となった。
★その後落葉することから「落葉松」と表記するようにもなった。

  高さ 開花期 分布
カラマツソウ 1メートル 雄しべの花糸が棹棒状に膨れて見える・白 7月から9月 北海道・本州
山地・草原、林
ミヤマカラマツソウ 60センチ 雄しべの花糸が花弁状・白まれに紫 6月から8月 北海道・本州・四国・九州
深山・亜高山
シキンカラマツ 1~2メートル 紫の蕚と黄色の雄しべ 7から8月 福島・群馬・長野

※「シキンカラマツ(紫錦唐松)」:「キンポウゲ科カラマツソウ属」   紫の蕚と黄色の雄しべからなるので「「シキン」の名前がついた。
※「モミジカラマツ(紅葉唐松)」:「キンポウゲ科モミジカラマツ属」  花は「カラマツソウ」葉がモミジの形。
                    花後は金平糖のような緑の果実がつく。




     





 落葉松     北原白秋
     一
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりかり。
     二
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
      三
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
      四
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通う道なり。
     五
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。  
からまつはさびしかりけり。     
からまつとささやきにけり。
     六
からまつの林を出でて、
浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。  
浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。 
からまつのまたそのうへに。
     七
からまつの林の雨は
さびしけどいよいよしづけし。  
かんこど鳥鳴けるのみなる。    
からまつの濡るるのみなる。
     八
世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川(やまがは)に山がはの音、 
からまつにからまつのかぜ。