前回からの続き。
「へぇ・・。」
眠い、かつ、だるいながらも、とりあえずちょっと興味を惹かれました。
箱を良く見てみます。それは直径10cm程、厚さ2cm程の円盤型の箱で、蓋は弁当箱状にカポッっと被さる形状。色はネイビーで、蓋の上面、中心あたりには非常に安っぽい上に胡散臭いこと極まりない、まあ奇術風と言える模様が描かれています。
もう一度蓋を閉めてみます。
サイコロの方も手にとって見ます。一辺が1.5cm程の大きさで、プラスチックの板を張り合わせた中空状。3色のフェイスマークは向かい合う面が同色になる様にシールでべたべたと貼ってあります。
これまた安っぽい作りで、指先でちょっと強く握ると「みしっ。みしっ。」と素敵な音を奏でます。
描かれている顔も良く見ると色ごとに表情が異なっており、赤は怒った顔、青は泣いた顔、黄色は笑った顔で、やっぱりどの顔もこの上無くふてぶてしいです。
ふむ。ちょっと判りません。
怪訝そうな表情をしている私を見て、ヒロは勝ち誇った様に嬉しそうです。
ちょっとむっときました。
再度良く見てみると蓋の上面には針の穴程度の大きさの穴ですが、15°程刻みで外周に沿って空いています。
「その箱はね、蓋の隙間に小さい隙間があったんですよ。
男はそこから中を覗いていたんです。」
どっかの貧乳マジシャンの言葉を思い出しました。
所詮は4歳児。この程度ですよ。
勝利を確信した私は、再度黄色を上にして蓋を閉めます。
彼と同じ様に目の高さまで持って行き、彼と同じ姿勢でその穴から中を見ようとしてみました。
まったく見えません。
今度は赤を上にして同じことをしてみました。
やっぱり見えません。
その穴を目の前まで持っていってみましたが、中は真っ暗です。
ヒロは満面の笑みです。
いや、ちょっと待て。
彼は目の高さに持っていった様に見えたが、あれは蛍光灯にかざしていたのかもしれない。
つまり、光源に近づける事により、蓋の穴から強く箱に差し込んだ光が「サイコロのこの上無くふてぶてしい顔の」シールの塗料に当たる。
その反射光の色により、サイコロの上面の色が判るに違いない。
上蓋の外周にそった穴から差し込む光は、サイコロの上面および底面には当たらず、4面の側面に当たる。
側面が赤と青であれば、当然、上面は残る黄色。
側面が黄色と青であれば、上面は赤。赤と黄色であれば上面は青である。
問題はどうすれば反射光を箱の外から見るかです。
光が差し込む穴からは見えないのは、先ほど試した通りです。
判った。
上蓋の「非常に安っぽい上に胡散臭いこと極まりないまあ奇術風と言える」模様のどこかに透過するのだ。
安っぽく粗末な作りに見えて実は現代科学の結晶。すげえ。
やってみました。
全然透過しません。
ちょっと落ち着きましょう。
相手はたかが4歳児です。
(続く)
「へぇ・・。」
眠い、かつ、だるいながらも、とりあえずちょっと興味を惹かれました。
箱を良く見てみます。それは直径10cm程、厚さ2cm程の円盤型の箱で、蓋は弁当箱状にカポッっと被さる形状。色はネイビーで、蓋の上面、中心あたりには非常に安っぽい上に胡散臭いこと極まりない、まあ奇術風と言える模様が描かれています。
もう一度蓋を閉めてみます。
サイコロの方も手にとって見ます。一辺が1.5cm程の大きさで、プラスチックの板を張り合わせた中空状。3色のフェイスマークは向かい合う面が同色になる様にシールでべたべたと貼ってあります。
これまた安っぽい作りで、指先でちょっと強く握ると「みしっ。みしっ。」と素敵な音を奏でます。
描かれている顔も良く見ると色ごとに表情が異なっており、赤は怒った顔、青は泣いた顔、黄色は笑った顔で、やっぱりどの顔もこの上無くふてぶてしいです。
ふむ。ちょっと判りません。
怪訝そうな表情をしている私を見て、ヒロは勝ち誇った様に嬉しそうです。
ちょっとむっときました。
再度良く見てみると蓋の上面には針の穴程度の大きさの穴ですが、15°程刻みで外周に沿って空いています。
「その箱はね、蓋の隙間に小さい隙間があったんですよ。
男はそこから中を覗いていたんです。」
どっかの貧乳マジシャンの言葉を思い出しました。
所詮は4歳児。この程度ですよ。
勝利を確信した私は、再度黄色を上にして蓋を閉めます。
彼と同じ様に目の高さまで持って行き、彼と同じ姿勢でその穴から中を見ようとしてみました。
まったく見えません。
今度は赤を上にして同じことをしてみました。
やっぱり見えません。
その穴を目の前まで持っていってみましたが、中は真っ暗です。
ヒロは満面の笑みです。
いや、ちょっと待て。
彼は目の高さに持っていった様に見えたが、あれは蛍光灯にかざしていたのかもしれない。
つまり、光源に近づける事により、蓋の穴から強く箱に差し込んだ光が「サイコロのこの上無くふてぶてしい顔の」シールの塗料に当たる。
その反射光の色により、サイコロの上面の色が判るに違いない。
上蓋の外周にそった穴から差し込む光は、サイコロの上面および底面には当たらず、4面の側面に当たる。
側面が赤と青であれば、当然、上面は残る黄色。
側面が黄色と青であれば、上面は赤。赤と黄色であれば上面は青である。
問題はどうすれば反射光を箱の外から見るかです。
光が差し込む穴からは見えないのは、先ほど試した通りです。
判った。
上蓋の「非常に安っぽい上に胡散臭いこと極まりないまあ奇術風と言える」模様のどこかに透過するのだ。
安っぽく粗末な作りに見えて実は現代科学の結晶。すげえ。
やってみました。
全然透過しません。
ちょっと落ち着きましょう。
相手はたかが4歳児です。
(続く)