ねこやま

徒然備忘録

遠回りする雛 / 米澤穂信

2010-11-08 20:00:41 | 米澤穂信
抜粋

神山高校で噂される怪談話。
放課後の教室に流れる奇妙な校内放送。
摩耶花が作ったチョコの消失事件−。
「省エネ少年」折木奉太郎たち古典部のメンバーが遭遇する数々の謎。
入部直後から春休みまでの1年間を描いた短編集。


















このシリーズ、図書館にあったのがシリーズ三巻からしかなく、
シリーズとしらず手に取るなどいつものわたしらしくないけれど、
途中から読むハメになったのに、わりと気に入ってる。
今回は短編集なわけだけど、短編集の方が好き!
古典部シリーズの4人のキャラがいつもより(3巻読んだだけだけども)
書き込まれている感じがして、ラブコメ的展開が多かった。
今まではそういうニュアンスを“あえて”無視していたような
傾向がある(ような気がする)のだけれど、今回は例のペアに動きが。
こういう展開、嫌いじゃないよ。
やっぱりわたしは有川浩ほど甘くない方が好みみたいだ。
アレはアレですきはすきだし、いいんだけど・・・。
このちょっとビターな感じがとても好き。



















●やるべきことなら手短に
神山高校で噂される怪談話。

“省エネ”をモットーとする奉太郎らしいお話だった。
しかし、この件がのちのちの短編に再び登場しようとは・・・。
かりはつくらないにこしたことはない。


●大罪を犯す
日常ミステリ。

授業中に隣のクラスから激しい打撃音。
その後に、鋭く響く声。
静まり返る隣のクラス・・・。
放課後の部室でまたしても、千反田の“気になります”が飛び出す。
数学教師が間違ってまだやっていない範囲の授業を進め始める。
当然ついてこれない生徒は戸惑いを隠せない。
しかし数学教師は自分の間違いに気づいていない。
それはなぜだったのか。

それを指摘したのは千反田だったのだが。
几帳面なハズの数学教師はなぜ間違えたのか、の謎。

怒りは大罪。正確には激怒。とか憤怒。
七つの大罪。
傲慢、大食、強欲、嫉妬、色欲、怠惰
キリストの概念だそうだ。
世の中これで溢れてるなぁ。。。

鋭く響いた声は千反田さんだったのだが。
どんな言葉を教師にぶつけたのかは伏せられていた。残念。


●正体みたり
枯れ尾花の正体はいかに?

古典部の合宿が何を目的とするのかは不明だが、
温泉旅館に合宿にいくことになった。
旅先での怪談ミステリー。

この短編で今まで感じられなかった奉太郎の内面が微妙に書いてある。
いつもより繊細に。
この微妙な描写によって、もしかして・・・?
と思わせる感じがとてもよかった。
ああぁ~、青春だな~。


●心あたりのある者は
放課後の教室に流れる奇妙な校内放送。

校内放送を巡って奉太郎と千反田の謎解き勝負?安楽椅子探偵。
こういう設定はすごくすき。
少ないとっかかりから謎を解いていく感じがいい。
でも、オチはちょっと無理やり感があったなぁ。


●あきましておめでとう
納屋と倉を間違えて入り、閉じ込められる。
叫んで助けを呼べる状況ではないところから
二人はどうやって脱出するのか?

これもふわふわしてて奉太郎の気持ちの変化が読んでて楽しい。
試行錯誤しながら脱出を試みる二人がおかしい。
安心して読んでいられた。


●手作りチョコレート事件
麻耶花のバレンタインチョコが盗まれた!?奮闘する千反田

これはもう・・・・ビターどころじゃないね。
カカオ78%ぐらいのチョコレートだったよ。
うん、ほんと。
切なかったなー。
もう頑張ってる千反田が読んでて痛々しくて切ないし。
結末もどうしようもないぐらいせつなかった。
素直になろうよ!
これで音楽室の借りは返した!頑張った、奉太郎!!!


●遠まわりする雛
神社のイベント、生き雛が遠まわりしなければならなくなった理由とは?

お雛様の扮装で村を練り歩く行事に、
あの省エネがモットーのはずの奉太郎が手伝いをすることに!
もちろんお雛様は千反田。
その姿にみとれる奉太郎・・・・。
ラストに垣間見られる奉太郎の本音がすごくあったかい。
ああぁぁ~あ、青春だな~。


2008.01.30


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