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ねこやま

徒然備忘録

向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介

2011-05-05 08:29:12 | ま行作家

抜粋

夏休みを迎える終業式の日。
先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。
きい、きい。妙な音が聞こえる。
S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。
僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

読み逃がすな! 新たな神話が、ここにある。
最注目作家が描く、もう一つの夏休み。


















さて。
道尾氏をもう一冊。
様子見で手に取ったけど、しばらく手がでなそうだ。
すごくつまらないわけじゃないけど、どうもなぁ~。
読んでて気持ちのいい内容じゃないだけに
いったいどこに魅力を感じればいいのか・・・
というと、やっぱりこのお話の仕掛けにあるのだと思うのだけれど。

その仕掛けも、はっきりいってシャドウよりも微妙。
読み終わってそういうわけかーって思うんだけど
シャドウの時より曖昧に終わるから
よくわからなかった、という印象になるのだと思う。

でも、そこここにちりばめられたミスリードや一言に答えはあったりした。
そこを読み取れなかっただけで。
はっきりいって、難しいよ。
内容もグロいし。
叙述が好きな人はいいでしょう。
ただ、話題の本ということで手に取るとあれ?
な感じで終わってしまう可能性が高いと思う。












以下ネタバレ












そもそも3歳の妹が流暢にしゃべるのが変だった。
でもそこは最初の場面を思い出してみる。
教室の机に妹の絵を描いた僕へのクラスメイトの発言に
僕はトカゲじゃない!と発言している。
ここが最初のヒントだった。
トカゲがしゃべるわけはないので、僕がひとりで会話をしていたということ。

そして、ミカのごはんはハエだからそれを捕まえているという描写は
そんなに気にはならなかったけど、実はハエはミカのためだったのね!
と人のネタバレブログ読んで今更ながら気づいた。

そして、S君生まれ変わり説。
この説を読者に刷り込むために、父親との会話が繰り広げられる。
S君も結局は僕の頭の中の存在だったということなのだけど
見事にその発想を受け入れて、S君は生まれ変わって蜘蛛になったんだ。
と読者が思うのにはそう時間はかからない。

この生まれ変わりの説は、近所のトコばぁさんも
生まれ変わって猫になっていたわけなのだけど
実は僕だけではなくて、麺のおじさんもそう考えていたってところが
また人間だと読者に印象付けることになる。

でもって、この叙述もさることながら
S君の死体が消えたという謎は本人もわからないので
さらに謎が深まり誰が犯人なのか?というもう一つの仕掛けがあって
叙述だけじゃないところが話がこんがらがる所以だと思う。

S君との会話が僕の妄想なのだとしたら
S君は殺されのか自殺したのか、結局どっちかわかんないわけで。
おじいさんが変態教師に罪をなすりつけようとするあたりなんて
本当にそうなんだって思った。
家捜しした時に怖い映像とかもあったから。

そして結末。
これも調べてからわかった。
あまりにも巧みに会話をするので、気づかなかった!
アスファルトには長い影がひとつ・・・
あ!
そうか、これもまた僕の世界なんだ。
彼の中では父親や母親はまた生まれ変わって何者かになったんだろう。
あの火事のなか、一体どうやって逃げたのかわからないけど。
両親は助からなかったみたいだし。

そしてミカだけは生まれ変わらなかった。

精神が崩壊した人の話なので読んでて疲れる。

担任は変態だし、おじいさんも狂ってるし、お母さんも壊れてるし
S君もかわいそうだし、彼の書いた日記怖すぎる。
病んでる。




















ネタバレ終わり











彼の本はこれで2冊目。
文庫を手に取ったんだけど、折り返しに筆者の写真。
あら、さわやか~。
こんな爽やかな雰囲気でこんな怖いお話書くのね!
と勝手に意外に感じている。
叙述ってホント、あたま良くないと書けないよね。
すごいなぁーと思う。

でも、次のもまた暗いのかと思うと、もういいかな。
読むのがなくなったらまた読んでみようと思う。
他のがどんなのかわからないけど
精神的に落ちてない時に読もうと思う。


2011.04.28


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