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熊本電気鉄道 200系電車

2011-11-10 22:37:31 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
車体や機器の老朽化が著しく進んだモハ500形電車(元静岡鉄道クモハ100形。
同社長沼工場製の軽量車体に旧型車の機器を組み合わせた車両。昭和36年~41年製造。
昭和51年・昭和54年譲受)の置き換えのため、南海電気鉄道の22000形「角ズーム」を
譲り受けたものである。
平成10年に2両編成×1本=2両が入線した。
編成の組み方は御代志側から順に以下の通り。

モハ201+モハ202

南海時代の旧車号は以下の通り。

モハ201号←南海モハ22003号 モハ202号←南海モハ22004号

南海時代の概要は以下の通りである。

◇南海22000形電車の概要◇
南海高野線で運用されていた大運転(難波~極楽橋間直通列車のこと)用高性能車の
21001形「ズームカー」の増結用車両として昭和44年~昭和47年にかけて
2両編成×16本=32両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛である。
編成の組み方は高野山側から以下の通り。

モハ22000(奇数)+モハ22000(偶数)

車体は普通鋼鉄製で南海本線向けの7100系電車を17m・2ドアに縮めたような
スタイルとなっている。
全体に角ばったデザインになったため、丸みを帯びたスタイルの21001形「丸ズーム」に
対して「角ズーム」と呼ばれることもある。
車内はロングシートで側面窓は一段下降式である。
冷房は昭和47年導入車から新造時より装備し、それ以前の車両も1980年代に冷房化
改造を済ませている。
扉は既述の通り、片側2箇所で乗降時間短縮のため、両引き戸となった。
主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速・発電ブレーキ併用電磁直通式空気ブレーキ
である。
台車は軸箱支持をウイングバネとした下揺れ枕式コイルバネ台車でモーターの
駆動方式は中空軸平行カルダン方式である。
21001形の老朽化に伴い、1990年代以降2000系が登場し、同形式への連結対応改造と
車体更新も一部の車両で行われたが、性能上の相性が悪く、旧型車が多く残る支線へ
改造の上で転用されることになった。
この改造から漏れた4本が平成9年~平成10年に廃車となり、この中のうち22003編成が
熊本電鉄に譲渡された。

以下は熊本電鉄譲渡後の状況である

◇熊本電鉄200系の概要◇
熊電に入線するにあたって、西日本鉄道筑紫工場内にある西鉄産業にて各種改造が
行われた。
主な内容は客用ドアの3ドア化と運転室側ドア移設(全て両引き戸)、側面見付け
変更(d2D6D2→d1D3D2D2。※d=乗務員扉/D=客用扉/数字=窓の枚数)、
ヘッドライト移設(正面中央上部→左右窓下)、方向幕のワンマン表示化、
方向幕移設(正面向かって左窓上→正面中央上部ヘッドライト跡)、
塗装変更(ブルーの濃淡に赤帯、境目に白線)、内装・座席の全面張り替え、
ワンマン機器取り付け(整理券発券機・運賃箱・電光式料金表・自動放送装置・
バックミラーなど取り付け、ドアスイッチ移設)などである。
後年にはATSを装備し、車号を201A及び202Aに改め、同時に正面下部にスカートを
設置している。
かなり大掛かりな改造を受け、ほぼ原型は失っている状態であるが、元の雰囲気は
どことなく感じることが出来る。
運行開始当初は藤崎宮前~御代志間で運用されることが多かったが、平成11年~
平成13年にかけて6000系が追加されると予備車に回ることが多くなった。
平成21年以降は5000系の老朽化が進んできていることから、輸送力過剰ではあるが、
上熊本~北熊本間の列車に投入される機会が増えている。