歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

マイナス2C゜の痛みを知っていれば猫の微笑みを見ることができる。

2020-02-07 | 映画
確かに異常な気候なのだと思う。
暖かい日差しと鉛の重さを感じる曇り空を切り返す日々。
太陽のやさしさを思い知るには格好な気候だというしかない。
朝からBLUSのレコードなんか聴いてどうするのだ。落ち込む気分な時には心底落ち込むに限る。
でないと明るい気分の良さを感じなくなってしまうからだ。
「アイリッシュマン」を昨日、観た。
ここの所、2週間ばかりは3日にあげづ映画館へ通っている。
朝、目覚めて映画COMにアクセスして、観る映画を物色。解説は読まない。読むとろくでもない感性が働き下らない映画を観てしまう。
ろくでもない感性は僕の自由を不自由さに変えてしまう。
それは、何処にも行けそうにないと感じてしまう渡り鳥みたいだ。
アメリカという国の歴史を知りたいわけでもないし、特にダークサイドのアメリカの成り立ちを知りたいわけでもない。
マーチン・スコセッシとデ・ニーロの組み合わせが気に入っている訳でもない。
ただ、基本はアメリカが好きなんだ。
シンプルな思考は男らしく見えてしまう。が、大胆な行動をしたあとで気分の高揚と裏腹に自分の行動を悔やみ嘆いてしまう。
この世にこれほど哀しい男はいない。これほど悔やんでいる奴はいない・・・・。
そんな映画ばかりを作っている。しかし、そんな映画を作るアメリカが好きなのだ。

この映画もご多分に漏れず、第二次世界大戦を戦い抜いた者の残りの人生を描いている。
戦争は人間の善良な部分を押し殺し邪悪さを優先させる。
戦いが終わったあとの人生などまるでないかのようだ。しかし、余生はあり続ける。
人を殺したあとの人生がどれだけ悲惨で孤独であり続けるのかを教えてくれる映画だった。
表の社会も裏の社会も同じ。
生き延びるため方法は殺してしまうこと。
銃器は簡単に手に入る社会だから、問題を解決するには単純すぎる方法を誰しもが選択してしまうのだろう。
そして、殺すことの理由は?聞かれれば・・・「家族のため・・・」と即答する。
しかし、この映画は少し違っていた。
「何から守ろうとしたの・・・」
娘から切り返されたフランクは答えが見つからない・・・・。

いつもの常套手段で主人公の死ぬ間際の回想で始まる映画。
年寄りの戯言に耳を貸す勇気すらないアメリカに明日はないのかもしれない。

それは、被害者意識の塊となっている大統領を見れば判る。

建国以来、大いなる勘違いのトンネルを抜ければ、暖かい日差しが待っていることを知っているのだろうか。