宮川歯科医院 院長ブログ

堺市西区の宮川歯科医院 院長の宮川和人がブログで色々なことを語ります。

タンポンチーニ

2008年01月27日 | 気まぐれ日記
 もうかれこれ25年以上になるが、大学卒業旅行で同級生とイタリアを中心にヨーロッパを周った時の話だ。まだお互いに学生気分で、気の向くままの気軽な旅だった。当時ヨーロッパ行きの航空券ではインド航空の便が一番安かったのだが、トランジット(乗り継ぎ)で時間が掛かるので、次に安かったシンガポール航空で行く事に
なった。こちらも南回りで途中シンガポールで一泊してから、翌日ローマに向けて
出発した。ローマに到着してから、以前から文通していたイタリア人の家族にさっそく
会いにいった。同級生の彼はイタリア語を話せたのと彼らとは2年ぶりの再会だったので、結構楽しく過ごせた。自分は全く彼らの会話の内容が理解出来ないところもあったが、片言の英語でなんとなくコミュニケーションを取っていたような記憶がある。到着したその日夕食をご馳走になり、さっそくホテルを探すことと
なった。そんな折いいホテルが近所にあるから紹介してあげると親切に教えてくれたので、お言葉に甘えて2人でそこで1泊することとなった。あまり宿泊代に予算がとれなかったので、結構古びた建物のホテルだった。ツインのベットとシャワーのみの部屋を紹介してくれた。ところがこの部屋、窓を閉めても結構外の騒音
が入ってきて、うるさくてなかなか落ち着けなかった。高級なホテルなら部屋を
代えてもらえることも可能だったかもしれないが、このような安いホテルでは苦情
を言っても取り上げてもらえそうもなかった。そこでイタリヤ語の堪能な彼が
このような騒音ではなかなか眠れそうもないとフロントのおばさんに文句を言いに
行ったところ、「タンポンチーニ、タンポンチーニ」の言葉を繰り返した。彼も最初
この言葉の意味が解らないので、何度も聞き返してみたが返答はいっしょだった。後で「耳栓」だと解った時には、お互いに大笑いした覚えがある。
最近『鈍感力』というタイトルの本がベストセラーになったが、この体験からあの時
のフロントのおばさんは、自然に『鈍感力』を身に付ける大切さを教えてくれたのかもしれない。いまでも彼と会うたびに『タンポンチーニ』の言葉の掛け合いで、
お互いが笑顔になってしまう。旅の思い出はつくずく人との出会いと別れにあるのだと思う。