「差し入れ」への思い出から連想されるのは、職場や学校ではたいがいの場合、食べ物や飲み物を連想されるのが
多いのではないか。
確かにその中で、美味しかった物が記憶に残っているものがあるといいものだ。
実は差し入れで、とても印象に残った出来事があった。
それは大学時代の友人の結婚式に呼ばれた席での話だ。彼が学生時代からお世話になっているある技工士の方が
スピーチで語ってくれた。当時彼は卒業後も大学に残って研究を続けていた。
当然夜遅くまでかかって、忙しくしていた時でも、同じように残業で仕事を頑張っていたその技工士の方に
ハンバーガーやポテトの差し入れをよくしていたらしい。
そのことをスピーチで話始めたとたんに、泣きながらその時のハンバーガーが美味しかったことを語ってくれた。
もう昔の出来事の様に過ぎ去っていてもいい様な話題を敢えて語ってくれたのだった。
それは彼の心からの感謝の気持ちと優しさが伝わったからこそ、感極まって泣き出してしまわれたのだろう。
あれから35年以上経って、残念ながら同級生の彼は先に逝ってしまった。
もう彼の口から、当時どんな気持ちで差し入れをしていたのか聞き出すことが出来なくなってしまったけど
彼の優しさを、今もこうして語り次いでいることに不思議な縁を感じている。
いま生きている自分が、
これかも一つでも多くの「差し入れ」を続けられたいいと思う。