法隆寺などの重要文化財の建物の解体修理を果たし、最後の宮大工棟梁と言われた西岡常一さん(1908~1995)が書き残された名著です。そのなかでこんな
一説があります。
だいたい職人というのは頑固ですわ。人のいうことを簡単には聞きません。自分
に自身がありますさかいな。またいい職人はその自信が大事なんです。職人と
いうのはそういう腕自慢のところがありますし、まったくなかったらやっていけまん
けど、性根のまがったのもおりますわ。それでも辞めさせたりはしませんな。また
学校の先生のように、性根が曲がっているから直してやろうということもありませんな。その人はそれでちゃんとした職人ですし、性根というのは直せるもんやないですわ。やっぱり包容して、その人なりの場所に入れて働いてもらうんですな。
曲がったものは曲がったなりに、曲がったところに合うところにはめ込んでやらな、いかんですな。
癖というのもなにも悪いもんやない、使い方なんです。癖のあるものを使うのは
厄介なもんですけど、うまく使ったらそのほうがいいということもありますのや。
人間と同じですわ。癖の強いやつほど命も強いという感じですな。癖のない素直
な木は弱い。力も弱いし耐用年数も短いですな。
ここで言われている曲がった性根や癖は、まさに個性のことだと思う。
また、この著書の中でこんなことも語っておられます。
大工は木の性質、癖を生かして耐用年数一杯は持たせな自然の命の無駄使いですわ。まして癖があるからというて、その木をはじいて使わんというのは、
もってのほかでんな。人間と同じです。癖は生かして使こうてやるのが務めですわ。
いったい今まで自分はどれくらい『個性』を大切に考えてきたか、改めて見直す
よいきっかけを与えてくれた名著だと思う。個の尊重=組織力の源になる教えの
例えだと感じた。
一説があります。
だいたい職人というのは頑固ですわ。人のいうことを簡単には聞きません。自分
に自身がありますさかいな。またいい職人はその自信が大事なんです。職人と
いうのはそういう腕自慢のところがありますし、まったくなかったらやっていけまん
けど、性根のまがったのもおりますわ。それでも辞めさせたりはしませんな。また
学校の先生のように、性根が曲がっているから直してやろうということもありませんな。その人はそれでちゃんとした職人ですし、性根というのは直せるもんやないですわ。やっぱり包容して、その人なりの場所に入れて働いてもらうんですな。
曲がったものは曲がったなりに、曲がったところに合うところにはめ込んでやらな、いかんですな。
癖というのもなにも悪いもんやない、使い方なんです。癖のあるものを使うのは
厄介なもんですけど、うまく使ったらそのほうがいいということもありますのや。
人間と同じですわ。癖の強いやつほど命も強いという感じですな。癖のない素直
な木は弱い。力も弱いし耐用年数も短いですな。
ここで言われている曲がった性根や癖は、まさに個性のことだと思う。
また、この著書の中でこんなことも語っておられます。
大工は木の性質、癖を生かして耐用年数一杯は持たせな自然の命の無駄使いですわ。まして癖があるからというて、その木をはじいて使わんというのは、
もってのほかでんな。人間と同じです。癖は生かして使こうてやるのが務めですわ。
いったい今まで自分はどれくらい『個性』を大切に考えてきたか、改めて見直す
よいきっかけを与えてくれた名著だと思う。個の尊重=組織力の源になる教えの
例えだと感じた。