夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『全然大丈夫』

2008年09月16日 | 映画(さ行)
『全然大丈夫』
監督:藤田容介
出演:荒川良々,木村佳乃,岡田義徳,田中直樹,蟹江敬三他

「味のある顔」のメンバーばかりで、
いつのまにか人気者で溢れる劇団となった『大人計画』。
そのうちのひとり、荒川良々の初主演作。

古本屋の長男、照男は、大のホラー好き。
超適当な男だが、人を怖がらせることには余念がない。
通りすがりの女の子を怖がらせようとするが、
「変な顔」と冷たく言われる始末。

照男の幼なじみ、久信は、清掃会社に勤めるサラリーマン。
清掃員のおばちゃんにはやたらウケがいいが、
実は八方美人で、嫌われることをしたくないだけ。

好物のちくわ片手に、
河原でホームレスを観察してスケッチする、あかり。
美人で、面白い絵を描くが、社会に適応できない。
しかも、不運を呼び込むオーラに包まれていて、
とんでもないことばかりが身の上に起こる。

ある日、久信の会社の求人に、あかりが応募してくる。
面接に向かう途中、またもや不運に見舞われたあかりは、
遅刻したうえに服はボロボロ、泥だらけ。
それでも断れない久信は、あかりを採用する。

こんな3人を囲んで、ひたすらユルユルと話が進みます。
ただ、可笑しくて幸せ。

照男の制作するホラーなおもちゃは半端じゃありません。
自分(=荒川良々)をモチーフにしているため、
あの顔から醸し出される笑える怖さ。

照男が久信にナンパを提案する場面で、
「内面が綺麗そうな女性じゃないからパス」と言う久信に、
照男は「見た目でどうして内面がわかるんだよ。
それこそ、見た目で判断してるんじゃないのか?」と言います。
でも、結局断られて、「内面が綺麗じゃなかった」。
これって、どっちが正しいのかとしばし考え込みました。

あかりが、恋する相手が作ってくれたちくわを食べ、
「今までに食べた世界中のどんな食べ物より、美味しい」と言うときの至福の顔。
こんなホワンとするシーンがいっぱい。

古本屋は基本的に立ち読みも長居もOKだけど、
エロ本を買いに来た客にだけは「早く帰れ」をアピールし、
しかも目は合わせないようにするという掟にも興味が湧きました。

ところで、「全然大丈夫」という日本語。
「全然」の後は否定形でなければならないというのが一般的。
これって、根拠のない話だって、ご存知でした?
森鴎外の小説にも、全然+肯定形が出て来ます。
ということを雑誌で読んで以来、
私はバンバン使ってます。「全然大丈夫」って。

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