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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゼブラーマン』

2004年09月13日 | 映画(さ行)
『ゼブラーマン』
監督:三池崇史
出演:哀川翔,鈴木京香,渡部篤郎,大杉漣他

2010年の横浜・八千代区。
ここには昔、UFOが着陸したと言われる。
この地区のどこかに異次元の生物が棲息しているとの情報を得て、
防衛庁は極秘調査に乗りだす。

さて、八千代区内の某小学校。
市川新市は周囲からコケにされる冴えない教師。
妻は浮気、娘は援交。
イケてない父親のせいで、息子はイジメに遭っている。

そんな市川には密やかな楽しみがある。
彼は34年前に放送された“ゼブラーマン”の大ファン。
視聴率低迷のせいで、7話であっけなく打ち切られたが、
市川にとっては永遠のヒーロー。
毎晩自室でゼブラーマンの衣裳作りに励んでいた。

ある日、車椅子に乗った晋平が転校してくる。
学年主任である市川が晋平の面倒をみることになるが、
驚いたことに晋平も“ゼブラーマン”のファンだった。

市川はその夜、自作の衣裳を晋平に見せるため、
“ゼブラーマン”の恰好をしたまま、こっそり住宅街の中を駆け抜ける。
ところが途中、カニのヅラをかぶった男が女性を襲うのを目撃する。
カニ男に向かって、「ゼ、ゼブラーマンだ」と弱々しく名乗る市川。
しかし、いざ闘ってみると、自分でも思わぬ力が備わっていた。

翌朝、道で倒れていたカニ男は、
宇宙人に体を侵されて、緑の液体を発していた。
住民の不安を煽らぬよう、事件を隠そうとする防衛庁。
が、八千代区は次第に宇宙人に侵略されつつあった。

『カタクリ家の幸福』(2001)の三池監督の作品。
1年にいったい何本撮るねん?と思うほど多作な監督で、
その内容はバラエティーに飛びまくり。
ファンタジーの『中国の鳥人』(1998)、『漂流街』(2000)などのバイオレンス。
SPEED主演の『アンドロメディア』(1998)や、『着信アリ』(2004)といったホラーに、
『ミナミの帝王』スペシャル版の製作も。
どの作品にもグロいシーンがありながら、なんか温かみを感じるのです。

同監督の『極道恐怖大劇場 牛頭』(2003)にも出演している哀川翔、
こちらは「吉野きみ佳が翔兄貴を出産する」という、
すんげぇシーンがあります。コワすぎ。
しかし、翔兄貴って、なんであんなに声が高い?
力、抜けそう。

防衛庁の偉いさんのひと言。
「ブッシュさんにお伝えください。
 日本に核兵器は必要ありません」。
この監督、マイケル・ムーアの向こうを張れると、私は常々思ってます。

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『殺人の追憶』

2004年09月10日 | 映画(さ行)
『殺人の追憶』(英題:Memories of Murder)
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ,キム・サンギョン,パク・ヘイル他

韓国では『マトリックス』以上の観客を動員して大ヒット。
これまた「実話に基づく」
1986年から1991年にかけて起こった連続猟奇殺人事件で、
犯人はいまだに捕まっていません。

1986年10月、ソウル南部の農村の用水路で、
若い女性の変死体が発見される。
手足を縛られ、頭にはガードルを被せられていた。
地元警察のベテラン刑事パクは容疑者を片っ端から連行し、取り調べを始める。

数日後、同様の事件が起こる。
最初の事件当日、焼肉屋の店主の息子クァンホが
被害者を追い回していたという噂を聞いたパク刑事は、
相棒ヨングとともにクァンホを尋問する。
しかし、知的障害のあるペクの話は的を射ず、
世間からは不当逮捕だと罵られる始末。

そんな折、ソウルの警察から捜査の応援要員としてソ刑事がやってくる。
証拠を捏造してでも、とにかく犯人を挙げて
事件を解決したことにしたいパク刑事に対し、
ソ刑事は冷静に事件を分析する。

殺人がおこなわれるのは必ず雨の夜。
被害者は赤い服を着用。そして独身の美女。

そして、さらに女性警官ギオクが、
事件前にはいつも、あるラジオ番組で
“憂鬱な手紙”という歌謡曲が流れていることに気づく。
リクエスト者が犯人なのか。

ハリウッドの刑事ドラマはもちろん、
“踊る大捜査線”シリーズなんかとも(←好きやけど)趣をまったく異にする作品。
農村、雨の日、猟奇殺人と暗い要素ばかりだけど、
随所に笑える箇所も盛り込まれています。
韓国の友人に聞いたところによれば、
パク刑事役のソン・ガンホの喋り方は独特で、
韓国人が聞けば誰でも笑うほどおもしろいそうです。
それがわからんのはとても残念。

冒頭、会話に登場する「アクション映画“ボディ・ヒート”」とは
カルト的人気を誇る『白いドレスの女』(1981)のこと。
アメリカにはこの作品のファンクラブまであります。

ソン・ガンホの主な出演作は、
『クワイエット・ファミリー』(1998)、『シュリ』(1999)など。
前者は沢田研二主演で三池崇史監督によりリメイクされています。
『カタクリ家の幸福』(2001)というタイトルで。
オリジナルもリメイクもめちゃオモロイのでぜひどうぞ。

骨太いという表現がピッタリの刑事ドラマ。
なお、本作品の上映後、
事件の再捜査を求めて市民運動も起きたそうです。
映画の力は侮れない。

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『ドラムライン』

2004年09月06日 | 映画(た行)
『ドラムライン』(原題:Drumline)
監督:チャールズ・ストーン三世
出演:ニック・キャノン,オーランド・ジョーンズ,ゾーイ・サルダナ他

スポーツ競技のハーフタイムに登場する
マーチングバンドをテーマにした青春映画。
ボーイズIIメンのプロデューサー、
ダラス・オースティンの実体験を映画化したそうな。
「実話に基づく」をウリにした映画とどないちゃうねん?と思わんこともないですが、
これは適度に熱くて好きかも。

ニューヨークの某高校の卒業式。
ブラスバンド部員だったデヴォンら卒業生が
下級生とともに最後の演奏を始める。
厳かな演奏をするはずだった教師の指揮を無視、
デヴォンたちのノリノリの演奏に生徒たちは大喜び。

ハーレムで生まれたデヴォンは、
母親に女手ひとつで育てられた。
スネアドラム(小太鼓)の天才的なテクニックを持つ彼は、
アトランタのA&T大学のマーチングバンド部にスカウトされ、
奨学金で進学できることが決まっていた。

ドラムの腕はピカイチのデヴォンだが、自信過剰で超自己チュー。
運動部顔負けのマーチングバンド部でデヴォンは上級生に楯突いてばかり。
「チームはひとつ、音楽もひとつ」を唱えるマーチングバンド部で、
チームの調和を乱す彼に、ドラムラインのリーダー、ショーンは手を焼く。

今年もバンドの最優秀校を決める大会の日が迫ってきていた。
最大のライバルはモーリス・ブラウン大学。
流行のヒップホップで聴衆を盛りあげようとする
モーリス・ブラウン大学のウェイド監督に対し、
これぞマーチングバンドという王道を行くのがA&T大学のリー監督。

腕を認められたデヴォンは新入生でただひとり、
最前列で演奏することになるが……。

これは立派なスポ根ですね。でも熱すぎない。
デヴォンがちょっとニヤケすぎなのが気になるものの、
放っておけないタイプがハマってます。

きれい事になりすぎない程度にいろんな問題も絡められています。
ハーレム育ちのデヴォンは実は譜面が読めない。
マーチングバンド部員はほとんどが黒人で、
そこにあえて入部した白人のバス・ドラム奏者。
OBにお金を出してもらうためには、
監督の信条に反して聴衆が好む流行の音楽を演奏しなければならない。

でもやはり見どころはドラムライン。
銃や刀で決闘するよりも、ドラムで決闘するほうがドキドキハラハラするなんて。
マーチングバンドの醍醐味をぜひ!

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『ダイノトピア』

2004年09月02日 | 映画(た行)
『ダイノトピア』(原題:Dinotopia)
監督:マルコ・ブランビヤ
出演:タイロン・レイツォ,ウェイントワース・ミラー,ケイティ・カー,
   デヴィッド・シューリス,ジム・カーター,アリス・クリーグ他

イタリア出身監督の2002年のTV映画。
CM監督として有名な人で、
コカ・コーラ、ペプシ、ナイキ、ソニーなど、有名企業の多くが顧客だそうです。

次の3巻から構成。
第1章 地図にない島、
第2章 太陽の石、
第3章 地下世界への扉。

カールとデビッド兄弟は父親とともに
小型飛行機で遊覧を楽しむ途中、嵐に遭って海に墜落。
兄弟だけはなんとか機内から逃げ出し、海岸へたどり着く。

と、この出だしとタイトルから想像すると、
「ここは無人島で、若き兄弟が恐竜と遭遇、
闘いまくって見事生還」っちゅう話だと思うでしょ?
そしたらちがった。嬉しいぐらい。

たどり着いた島は、人間と恐竜が共存する楽園。
生まれながらのダイノトピア人に混じって、
遭難事故から生き延びた人びとが暮らしている。
悪役恐竜に襲われたときは空軍が駆けつける。
彼らは翼のある恐竜に乗って、空中から敵を撃退してくれる。
なんじゃこりゃ~?と驚く兄弟。

ダイノトピア人の女性マリオンと知り合った兄弟は
楽園の都であるウォーターフォール市へ向かう。
ここにはサンストーンと呼ばれる石があり、
楽園を聖なる力で照らし続けている。
しかし、どうやら石の力が衰え始めたらしい。
このままでは闇の勢力に包まれてしまう。
さて、どうする?

ベストセラー絵本を映画化したというだけあり、
子どもと一緒に楽しむにはもってこい。
恐竜映画としてだけではなく、
家族愛、勇気、信頼、慣習を守ることと打ち破ること、
いろんな要素がてんこ盛り。
でも、ツッコミどころが多くて大人も楽しめます。

ヒロインはちょっとオカメ風、カールはひと昔前の二枚目。
二重映しみたいなCGも笑ける。
図書館司書の恐竜ジッポのキャラはC3POみたいでお茶目。
人間が恐竜の保護者になるシステムがあって、
ダイナトピアを去ろうとするカールに向かって
赤ちゃん恐竜が「パパ~!」と絶叫するところはワロて泣ける。

恐竜語や足跡文字を教育する学校、空軍学校、恐竜の卵孵化研究所の様子などは、
ハリポタの製作陣が関わっていることも感じさせます。
ひと味もふた味もちがう恐竜映画、
夏休み中にと思ったけれど、これからやってくる秋の夜長にいかがです?

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