夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『幸せになるためのイタリア語講座』

2004年09月22日 | 映画(さ行)
『幸せになるためのイタリア語講座』(英題:Italian for Beginners)
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:アンダース・W・ベアテルセン,ピーター・ガンツェラー,ラース・コールンド他

デンマークの女性監督の作品。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)や『ドッグヴィル』(2003)のラース・フォン・トリアー監督が提唱する、
‘ドグマ95’のメンバーの一員です。
この‘ドグマ95’については以前にも書きましたが、
「使用するのは手持ちカメラだけ、撮影はロケのみ。
セットや人工的な照明禁止、CGに頼らない」といった掟を守って
映画を製作することに賛同した監督集団を指します。

コペンハーゲン近郊の町。
妻を亡くしたばかりの新米牧師アンドレアスは、
この町の教会の代理牧師として赴任する。
教会から紹介されたホテルを訪れると、
人のいいフロント係のヨーゲンが温かく迎えてくれる。

そのヨーゲンの親友は元サッカー選手のハル。
ヨーゲンの勤めるホテルを親会社とする、
スタジアム内のレストランの雇われ店主だ。
しかし、気に入らない客を怒鳴りつけるため、上司はハルの解雇を決める。
親友にクビを言い渡す役目を上司から仰せつかり、
なかなか切り出せずに悩むヨーゲン。

ひそかにヨーゲンに想いを寄せるのが
レストランのウェイトレスでイタリア人のジュリア。
ハルがクビになれば、ハルの親友ヨーゲンは
来店してくれなくなるのではと心配する。

美容師のカーレンはアル中の母を抱え、店をひとりで切り盛りしている。
パン屋の売り子のオリンピアは不器用で、売り物のパンを落としてばかり。
家に帰れば偏屈な父親に振り回され、絶望的な気分で毎日を送る。

こんな町の人びとが集うのが
市役所で週1回おこなわれる初級イタリア語教室。
ヨーゲンの誘いを受けたアンドレアスもこの教室に通うようになる。

登場人物がみんな愛すべき人ばかり。
訪れる不幸も、人とのふれあいで緩和されていき、小さな幸せを感じられます。
聖夜、ジュリアが「ヨーゲンさんがマルサラ酒を
飲みに来てくれますように」という願いがカワイイ。
こんな小さな願いがいっぱい。
欲を言うなら、これで120分近くは長すぎる。

エンド・クレジットはドグマでよく用いられる方法ですが、
封筒にキャストやスタッフの名前を記して1枚ずつ放り投げながら撮影。
原始的で逆に新鮮かも。

トライフルとマルサラ酒で観るのはいかが。

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