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『台湾萬歳』

2017年10月16日 | 映画(た行)
『台湾萬歳』
監督:酒井充子

映画→落語→映画→晩ごはんというハシゴをした翌日。
この日も晩は外食で、神戸三宮へ行く予定。
だったら神戸で映画を3本観ようと、久々にシネ・リーブル神戸へ行くつもりが挫折。
かろうじて昼前に家を出て、十三・第七藝術劇場で2本観ることに。

そういえば、会わない人には会わないけれど(当たり前か)、会う人にはよく会うもの。
『ベイビー・ドライバー』を観た帰りに、梅田で偶然会った高校の同じクラブの友人。
今度は十三駅からナナゲイに向かう途中にバッタリでビックリ。
私はいつもボーッと歩いているから、毎度気づいてくれるのは向こう。笑った。

1895(明治28)年から1945(昭和20)年まで、日本の統治下にあった台湾。
台湾で日本語による教育を受けてきた人々を追ったドキュメンタリー。
『台湾人生』(2008)、『台湾アイデンティティー』(2013)の酒井充子監督は、
これを台湾三部作の最終章として撮ったそうです。

スポットを当てられているのは、台湾南東部の台東縣にある小さな港町。
成功鎮というその町に暮らす人々の毎日。
少数民族の高砂族―アミ族、ブヌン族など―の夫婦や家族が伝統を重んじながら、
当時に思いを馳せて語ります。

親日家が多いといわれる台湾。過去に観た作品の中にもそれは強く感じます。
『海角七号 君想う、国境の南』(2008)はそんな想いも感じる、大好きな1本。
だからと言って、皆がみな日本人を好きなわけではないのでしょうが、
フィルムに映る成功鎮の人たちはとにかく明るい。
当時の日本に対する愚痴をこぼすときも、恨みがましくありません。

こちらまで微笑んでしまうような笑顔をカメラに向け、
歌い、踊り、毎日を楽しむ。
夫婦の罵り合いまで笑ってしまうようなもの。

漁師のおじさんの服装のシュールすぎる柄も愛らしい。
子どもや孫たちがひとりずつ全員、
おじいちゃんおばあちゃんにお年玉を渡す様子にほっこりしました。
お年玉は赤い封筒に入れるのですね。

どこの統治下であろうとも、時代が変わろうとも、
自分たちは地にしっかりと足をつけて、身の丈に合った生活を送るだけ。
たくましさが伝わってくる作品です。

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