夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

テレサ・テンを偲ぶ。

2007年06月07日 | 映画(番外編:映画と音楽)
経済大国化する中国。
偽造品がまかり通り、なんでも有りに映るこの国を、
良くないイメージで捉える日本人は多いと思います。

私の中国人に対するイメージも決して良いとは言えません。
だって、なんとなく中国人ってけたたましい。
海外のどこへ行こうが、近くに中国人がいればすぐにわかる。
数人寄れば喋りっぱなし、しかも喋る声、デカすぎよ。

しかし、私はなぜか中国に縁があります。
そもそも大学での専攻は中国文学でした。
第一外国語も中国語でした。
イメージが良くないと言いながら、中国の映画が大好きです。
私の定義では、その国の映画が好きならその国に住めるんですから、
中国にも住めると思っています。

大陸中国で育った人間は、ただひたすらたくましく、
あつかましく(失礼)、どんな国でも生きていける、
そんな私の中のイメージを揺り動かした作品が『ラヴソング』(1996)でした。

本作中、大陸中国の象徴となっているのがテレサ・テンです。
先週末、木村佳乃主演で『テレサ・テン物語』が放映されたので、
今の私と同い年で亡くなった彼女のことを偲んで。

大陸中国出身の男女、シウクワンとレイキウが香港で出会います。
マクドナルド(=都会の象徴)で働くレイキウ。
大陸から出稼ぎにやってきたシウクワンは、
初めて入るマクドナルドで、注文するのにも一苦労。
すでに都会に馴染んでいるように見えるレイキウは
大陸出身であることに劣等感を抱きながらも、
どことなく同じ匂いを感じ、シウクワンに興味を持ちます。
そして、お互いに惹かれながらも友だちの壁を崩せず、
すれちがったまま十年の月日が過ぎてゆきます。

私が観てから十年以上が経っているのに
なぜかしょっちゅう思い出して切ない気持ちになるのは、
本作で初めて、大陸中国人の心のすき間を見たような気がするからです。

原題はテレサ・テンの曲にならい、『甜蜜蜜』。
彼女の曲がいたるところで使われています。
大陸中国から都会へ渡った者たちの夢であり、
心の支えであるテレサ・テン。
くじけそうになったとき、彼女の曲が流れてくると、
彼らはここで生きて行こうと再び決意します。
テレサ・テンが強く愛されていた理由を、私は本作で知りました。

別れざるを得なくなったふたりは、お互い別の人と結婚。
偶然再会したときに燃えあがる想い。
「もう一度、二人であの歌を聴けたら」。

これぞ、純愛。

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