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『主戦場』

2019年05月12日 | 映画(さ行)
『主戦場』(原題:SHUSENJO: The Main Battleground of The Comfort Women Issue)
監督:ミキ・デザキ
 
なんですか、この混みっぷりは。
『誰がために憲法はある』を観て外に出たら、あふれんばかりの客。
すでに満席で、新たに入ってきたお客さんには立ち見、
あるいは1階下のシアターセブンでの追加上映の案内がされていました。
先にチケットを買っておいてよかった。
 
監督は日系アメリカ人のドキュメンタリー作家ミキ・デザキ。
これが長編デビュー作だそうです。
 
「従軍慰安婦をめぐる論争に真正面から切り込んだドキュメンタリー」との触れ込み。
知っておくべき話かと思って覚悟を決めて観に行ったものの、
日本人としてはなんともつらい。
 
どう書けばいいのかまったくわかりません。
どれが真実なのか、事実なのかもわからない。
 
日本、韓国、アメリカで巻き起こっている論争。
その中心人物たちに取材し、それぞれの主張を聞いているといえばそうなんですけれど、
結局「日本が悪い」というところへ持って行きたいのかなと思ったりします。
なんというのか、取材される日本人のほうが明らかに阿呆に見えるようにつくられている。
「フェミニストにはブスが多い」「国家というものは謝っちゃいけないんです」、
「自分以外の学者の本は読まないようにしている」、
こんなことを平然と言ってのける人ばっかり選んだのではと、ちょっと疑ってしまうんだなぁ。
 
これに限らず「対立」を描いた作品を観るときに思うこと。
本当に相手の言うことをちゃんと聞いているんだろうか。
聞いたうえで反論しているんだろうか。
本作でも、自分の書いたもの以外読まないと笑って話す学者は論外として、
対立する立場の人の書いたものを読んでいないと言い切る人がいます。
「読もうと思ったけどとても読めたものではない」と言って。
 
こんなところに東野圭吾を持ち出してもアカンかと思いますが、
相手を理解しようという気持ちは両者にあるのでしょうか。
敬意なんて払えるわけないということなのでしょうけれど、
相手の言い分もよく知ったうえで言いたいこと言おうよと思うのは
何もわかっちゃいない私のような者の甘さなんだろうなぁ。
 
とりあえず、誰が何を主張しているのか今までわからなかった慰安婦問題。
どの立場のどういう人たちがどう言っているのかはわかりました。
安倍さんが危険だということには完全に同意します。

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