夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジョバンニの島』

2014年03月02日 | 映画(さ行)
『ジョバンニの島』
監督:西久保瑞穂
声の出演:市村正親,仲間由紀恵,柳原可奈子,ユースケ・サンタマリア,
     北島三郎,八千草薫,仲代達矢,横山幸汰,谷合純矢他

劇場の上映スケジュールが更新されるタイミングについて。
ほとんどの劇場が毎週木曜日で、
その翌々日に当たる土曜日から翌週金曜日までのスケジュールが告知されます。
さまざまな事情からこれがいちばん良いと判断されているのでしょうが、
このタイミングのせいで前売り券を買いあぐねてしまうことがしょっちゅう。

なぜならば、平日はダンナの出張や突然の飲み会がないかぎり観に行けないし、
土曜日は土曜日でよそへ出かけていることが多く、
確実に観に行けることがわかっているのは日曜日しかないからです。
スケジュールが木曜日に発表されて、日曜日になら観に行けるとわかっても、
金曜日か土曜日から公開の作品が多いから、
前売り券を買いに行くならば木曜日の晩、土曜日公開作品ならば金曜日中。
これだけの時間に限られていると、買いそびれてしまい。
そんな事情は知らんがなと言われそう。そうですね、すみません。(^^;

本作は、わりと好きそうな絵だったので、時間が合えば観に行くつもりでした。
しかし、大阪でわずか3館の上映館に前売り券を買いに行く時間はなく、
土曜日の晩、食事に行く前になんばの金券ショップにダメもとで立ち寄ったら、あった~。

というわけで、先週、日曜日の朝から大阪ステーションシティシネマへ。
その前週は、「飲みすぎた土曜日の翌日でも大丈夫そうだったから映画へ行った」と書きましたが、
最近、日曜日に家でDVDを4本観るのがツラくなってきているのでした。
ならば劇場で2本観て、帰宅してからDVDを2本観ることにしようかと。

大ヒットドラマ『北の国から』の演出を担当した杉田成道が、
実話を基に原作と脚本を手がけたアニメーション。
日本音楽事業者協会の創立50周年記念作品として製作されたのだそうです。
どうして音楽事業なのかと訝っていましたが、観終わってなんとなく納得。

1945年の色丹島。
10歳と7歳の兄弟、純平と寛太は、父親の辰夫と祖父の源三の4人暮らし。
戦時中とは思えないぐらい穏やかな毎日を送っていたが、
終戦を迎えると同時に島の状況が一変してしまう。

海岸にソ連の船艦が姿を現すと、ソ連兵が次々と上陸。
島民らは、住居に踏み込んできたソ連兵に金目のものをすべて没収され、
住居自体もソ連兵の家族のために明け渡すことになる。
さすがに外へ放り出されることはなかったが、一家は住居隣の厩舎へと追いやられる。

純平と寛太がかよう学校にもソ連兵の子どもたちがやってきて、
教室の使用はその子どもたちが優先。
オルガンのある教室を譲らねばならなかったため、
担任のみっちゃん先生のオルガンに合わせて歌うことはもうできない。
みっちゃん先生のギターに合わせて歌う“赤とんぼ”。

食糧が底をつきはじめた頃、島民たちは収容所へと送られるのだが……。

教室の壁の向こうとこちら側で、
最初は負けまいと声を張り上げるように双方が歌っていた“カチューシャ”と“赤とんぼ”。
いつしか覚えて、オルガンの音が聞こえてくると壁を挟んで一緒に“カチューシャ”を。
“カチューシャ”を歌い終われば、今度はギターに合わせて一緒に“赤とんぼ”を。
もともと「映画×音楽」が泣きのツボである私はやっぱり泣かされて。

厳しいシーンはありながらも、子どもたちの様子に癒やされて、
のほほんとした空気が漂う前半とは異なり、後半は過酷。
ヒステリックな叫び声が次第に辛くなってくるなか、
純平と寛太の叔父役ユースケ・サンタマリアの能天気とも言える口調は、
そうした空気を和らげてくれます。

テーマ曲はさだまさしの作詞作曲によるもの。
この人は、やはりストーリー性のある楽曲づくりに長けているんだなぁと思うと同時に、
宮沢賢治の偉大さをあらためて想う。

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