夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『きっと、いい日が待っている』

2017年09月13日 | 映画(か行)
『きっと、いい日が待っている』(原題:Der Kommer en Dag)
監督:イェスパ・W・ネルスン
出演:ラース・ミケルセン,ソフィー・グローベール,ハーラル・カイサー・ヘアマン,
   アルバト・ルズベク・リンハート,ラウリツ・スコフゴー・アナスン他

TOHOシネマズ梅田で『トリガール!』を観た後、テアトル梅田へ移動して。

ロケットに憧れたり宇宙飛行士を夢見たりする話が好きです。
予告編を観てこれもそういう話だと思ったら、ち、ちがった。
親と離れることを余儀なくされた子どもたちの奮闘。
『少女ファニーと運命の旅』のように戦争のせいではないけれど、
これはもうある種の戦いでしょう。そして本作も実話が基。つらい。

1967年、デンマーク・コペンハーゲン
13歳の兄・エリックと10歳の弟・エルマーは母親と3人暮らし。
貧しいながらも仲良く過ごしてきたが、あるとき母親が末期癌を宣告されて入院する。
兄弟が懐いている叔父はとてもいい人だが、現在無職。
致し方なくふたりは児童養護施設に預けられる。

施設に入ってすぐ、校長から何になりたいかと問われたエルマーは、
宇宙飛行士になりたいと答えて殴られる。
この施設ではそんな答えは御法度で、叶うはずのない夢なんて持たず、
秩序を乱すことなく過酷な労働に耐えて、将来は職人になれという。

内反足のエルマーはすばやく動くことができない。
そのせいで上級生からはイジメの標的にされ、弟を守ろうとエリックは必死。
教師たちからは躾と称して容赦ない体罰が下される毎日。
それでも、母親の病気が治ると信じている兄弟は、
クリスマスまでの辛抱だと自分たちに言い聞かせる。

そんなある日、新任の女性教師・ハマーショイ先生が施設にやってくる。
なんとか兄弟の味方になろうとする彼女のことを
エルマーは天使のように思いはじめるのだが……。

愛らしいエルマーが宇宙飛行士になりたいと公言し、
いつしかその夢に施設の子どもたちが乗せられる話を想定していたので、
この展開はきつすぎて凹みました。

鬼校長にラース・ミケルセン。
弟のマッツ・ミケルセンも売れっ子俳優ですが、弟は基本的に善人役が多い。
この兄ちゃんの顔はどう見ても悪人風で、怖すぎる。オニよオニ!(笑)

性的虐待まではびこる施設で、けなげに生きる子どもたち。
読み書きができない子どもがほとんどのなか、
貧しいとはいえ学校にもちゃんとかよって勉強も好きだったエルマーは、
ほかの子どもたちに来た手紙を読んでみせます。
みんなが勇気づけられるように、手紙に空想を盛り込みながら。

叶いもしない夢を見るなんてと笑われてもへこたれない。
そんなエルマーの強い気持ちが、いつしかみんなを突き動かすのでした。

『ワンダーウーマン』の名言、「僕は今日を救う、君は世界を救え」。
目の前にいる誰かを救いたいという気持ちから、すべてが始まる。

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