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『ウォルター少年と、夏の休日』

2005年01月17日 | 映画(あ行)
『ウォルター少年と、夏の休日』(原題:Secondhand Lions)
監督:ティム・マッキャンリーズ
出演:マイケル・ケイン,ロバート・デュヴァル,ハーレイ・ジョエル・オスメント他

とても珍しいことですが、可も不可もない作品のはずが、
その素晴らしいオチゆえに観た甲斐があると思える一作になることがあります。
米国の人気映画雑誌『MOVIELINE』で
「スクリーンで観たい良質な脚本No.1」に選ばれたのも納得。

14歳のウォルター少年は母親メイとふたり暮らし。
身持ちの悪いメイは、ろくでもない男に引っかかってばかり。
そんなメイには頼れる親戚もいなかったが、
長らく行方不明だった大叔父のハブとガースがテキサスに帰ってきたことを知る。

数十年もの間、放浪を続けていた大叔父たちは
どうやら大金を隠し持っているらしい。
メイはウォルターを大叔父たちのもとへ送り込むと、金の在処をつきとめるよう、
ウォルターに耳打ちして、自分はさっさと立ち去ってしまう。

途方に暮れるウォルターに、大叔父たちは「子どもの扱い方はわからんから、
必要なものは自分でなんとかするか、我慢しろ」と言い放つ。

ボロ家に住み、世間とはつきあいを断ち、
金目当てにやってくるセールスマンたちを銃で追い払うハブとガース。
テレビも電話もないこの田舎で、ウォルターと大叔父たちの夏休みが始まる……。

原題は“Secondhand Lions”で、作品中にも登場する、
動物園をお払い箱になった老齢のライオンのこと。
大人から愛情を注がれたことのないウォルターが頑固者のハブとガースに出会い、
嘘とも本当ともつかないふたりの冒険談を聞かされて、
こんな大人になりたいと思うようになります。
ハブとガースのほうも、ウォルターと出会う前はまさに原題どおり、中古のライオン。
それがウォルターと関わるうちに毎日が輝きを放ち始めるのです。

それが真実かどうかは関係ない。
人生には信じなければいけないことがある。
名優ロバート・デュヴァル演じるハブの台詞に唸り、
そして迎えるラストは、人生ってやっぱりいいもの、そう思えます。
好きだなぁ、このオチ。

『シックス・センス』(1999)の後、悲しいかな、
巧すぎる演技が鼻についてしまうハーレイ・ジョエル・オスメント。
声変わりはしたけど、あの垂れさがった眉は健在。
彼がもうちょっと中年だったら、ハリソン・フォード、ブルース・ウィリスとともに
「いつでも困ってるみたいな顔」の御三家と呼びたいかも。

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