夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』

2016年11月02日 | 映画(は行)
『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(原題:Genius)
監督:マイケル・グランデージ
出演:コリン・ファース,ジュード・ロウ,ニコール・キッドマン,ローラ・リニー,
   ガイ・ピアース,ドミニク・ウェスト,ヴァネッサ・カービー他

火曜日は食パンを買いに行かねばならない日のため、
月曜日よりちとハードなスケジュール。

終業後に新御(しんみ)を北へ向かい、阪急箕面駅近くで食パンを購入。
今度は駅から南へ向かって国道171号線へ出ると、ひたすら西へ。
TOHOシネマズ西宮へ到着したのは18:25。
職場から必死のぱっちで劇場へ直行した前日が18:10着だったから、
寄り道してもそんなに変わらないのですね。

本作は19:10に上映開始。
終業後に映画三昧の数日間のせいで本をちっとも読めてないやんと思いつつ、
持参した本は読まずに西宮ガーデンズ内をうろうろ。
あっというまに時間になって、西宮ではいちばん好きなシアター12へ入場。

同じTOHOシネマズでも伊丹では上映していないから、
この日はこれを観るために西宮まで行ったようなもの。
ピューリッツァー賞作家のA・スコット・バーグによる全米図書賞受賞の評伝本、
『名編集者パーキンズ』を映画化した伝記ドラマ。
マイケル・グランデージ監督の情報がほとんどなく、これがデビュー作の模様。
1本目からこんな豪華キャストを起用できるなんて、すごい。

1929年のニューヨーク。
老舗の出版社チャールズ・スクリブナーズ・サンズに勤めるマックス・パーキンズは、
アーネスト・ヘミングウェイF・スコット・フィッツジェラルドを発掘した名物編集者。
郊外の屋敷に妻ルイーズと愛らしい娘たちに囲まれて暮らすが、
寝ても覚めてもそのほとんどの時間を原稿の編集に費やしている。

ある日、彼のもとへ無名の作家トマス・ウルフの原稿が持ち込まれる。
アリーン・バーンスタインという著名な衣装デザイナーの愛人で、
彼女は家庭を捨ててトマスのもとへ走り、面倒をみているらしい。
アリーンの口添えでニューヨーク中の出版社に持ち込まれたが、
全社から駄目出しを喰らったとのこと。

たらい回しにされたその原稿を読み、マックスはトマスに才能を見出す。
またしても断られると観念していたトマスに、マックスは「ウチから出版する」。
興奮を隠せないトマスに、マックスは条件を付ける。
膨大な枚数の原稿を大幅に削減すること、タイトルも変更すること。
以後、マックスとトマスは激論を重ねながら編集作業に取り組む。
こうして完成したトマスの処女作『天使よ故郷を見よ』は瞬く間にベストセラーに。

トマスの人気が高まっていくなかで、アリーンと過ごす時間は激減。
マックスにトマスをとられたと感じるアリーンは殺気立ち、
また、マックスのほうもルイーズとの関係がぎくしゃくしはじめるのだが……。

地味ながら名優ぞろい。
マックス役のコリン・ファースは、渋く丁寧な演技が光ります。
ジュード・ロウはちょっと変人のトマスを快演。
それにしてもジュードはハゲへの道まっしぐらだったはずが、どうやって増毛したのかしらん。
ホラーばりの怖さを見せつけるのがアリーン役のニコール・キッドマン
慈愛に満ちたルイーズ役にはローラ・リニー
フィッツジェラルド役にはガイ・ピアース、ヘミングウェイ役にはドミニク・ウェストと、
みんながみんな味ある芝居で、眠気に襲われることいっさいなし(笑)。

『グレート・ギャツビー』のタイトルにまつわる話や、
その『ギャツビー』で売れたあと、まったく書けなくなったフィッツジェラルドの苦悩、
ヘミングウェイのウルフ評なども小ネタ的なおもしろさ。
堅物のマックスをトマスが連れ出し、ジャズの即興演奏を聴くシーンも心が躍ります。

現在放映中のTVドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の原作、
宮木あや子の『校閲ガール』がおもしろかったのですが(読了時のレビューはこちら)、
重厚感の点ではまるで異なるそれと本作、編集者の仕事はやはり同じなのだと感じます。

傑作を読者に届けること、それだけが編集者の望み。

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