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『世界の果ての通学路』

2014年04月27日 | 映画(さ行)
『世界の果ての通学路』(原題:Sur le Chemin de l'Ecole)
監督:パスカル・プリッソン

シネ・リーブル梅田で3本ハシゴの2本目。

“アンパンマン”の上映中でもないかぎり、
シネ・リーブルではあまり見かけない親子連れが多く、なんでかなと思ったら、
子どもに大人気の番組で取り上げられたそうで。

2012年のフランス作品。
英語タイトルは“On the Way to School”で、仏語タイトルと同じ意味。
タイトルロールに表示されていたのは英語のほうでした。
そのタイトルどおりのドキュメンタリー。
“学校に通える幸せに気づいてほしい”、そんな一文ではじまります。

登場するのは4組の少年少女。

ケニアのサムブル族の少年ジャクソンは、妹サロメとともにサバンナを抜けて学校へ。
野生動物が出没するこの地区では、学校に行くのは命がけ。
象に襲われて犠牲となる子どもが毎年何人かいて、「命がけ」とは決して大げさではありません。
象に会いませんようにと念じるよりほかなく、
不運にも遭遇してしまったら、目を合わさずに息を凝らし、通り過ぎるのを待ちます。

アンデス山脈の牧場に暮らす少年カルロスは、妹ミカイラと一緒に馬に乗って学校へ。
この馬がいつも冷静沈着。どんな荒れた道も落ち着いて走ります。
しばしばミカイラは「前に乗りたい」とカルロスにお願い。
「お母さんに怒られるから」と断るカルロスもたまに根負け、嬉しそうなミカイラ。

モロッコのベルベル人の少女ザヒラは、友だち2人と毎週月曜日に全寮制の学校へ。
金曜日の夕方になると、同じ道を通って帰宅します。
1人が足を傷めて歩けなくなった日、ヒッチハイクを試みるも立て続けに失敗。
ようやく乗せてくれる車を見つけたはいいけれど、
今にも学校に遅れそうだというのに、運転手が祈祷タイムに入ってしまい。

インドの漁村に生まれたサミュエルは、足に障害があります。
そのため、弟2人がサミュエルの乗った車椅子を押して学校へ。
川に突っ込んでなかなか進めなかったり、タイヤが壊れそうになったり。
兄弟喧嘩をしながら(喧嘩している場合じゃないのに)進む多難な道のり。

距離にちがいはありますが、いずれの道も平坦ではありません。
これを1時間半から2時間かけて。

教育を受けることが義務であり権利であることが当たり前ではない国で、
こうして学校に通いながら将来の夢を語る子どもたちの顔がキラキラ輝いています。
お金持ちであっても学校を辞めさせられる家庭もあるのに、
貧乏にもかかわらず学校へ通わせてくれる親に感謝し、
医者や獣医になって、自分の住む地域の人たちを助けたいという子どもたち。
パイロットになって世界中の空を飛びたいんだという子どもも。

サミュエルの弟がタイヤ修理できるようになったというテロップには笑いました。
タイヤ修理のみにとどまらず、あれもこれも直せるようになってね。

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