夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

セ・リーグも開幕につき。鍵は高橋由伸。

2010年03月26日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
……って、巨人ネタを振るなんて、縁起でもない話ですが(笑)。

高橋由伸が鍵となって登場するのは、『ルート225』(2005)。
原作は、芥川賞作家、藤野千夜の同名小説です。

『チーム・バチスタの栄光』(2008)、
その続編の『ジェネラル・ルージュの凱旋』(2009)などで、
いまや押しも押されもせぬ人気者となった中村義洋監督の作品。
『フィッシュストーリー』(2009)と同じく、
たべちゃんこと、多部未華子が主演しています。

14歳の女子中学生エリ子は、
なかなか下校して来ない年子の弟ダイゴを探しに出かけます。
公園でブランコに乗るダイゴを見つけ、一緒に家路につきますが、
角を曲がるとそこには知らない海が広がっていました。

生まれてからずっと暮らしている町で道に迷うはずはなく、
見覚えのある建物もあるのに、何かが微妙にちがっています。
それは、現実と少しだけずれたパラレルワールドでした。

エリ子とダイゴは公園へ戻り、公衆電話ボックスへと駆け込みます。
家へ電話をかけると「早く帰って来なさい」と怒る母の声にひと安心。
さっきの角まで来てドキドキしますが、曲がれば見慣れた風景が。
エリ子とダイゴはほっとして家のドアを開けます。

ところが、母が作ったシチューはまだ温かいのに、
家の中には誰もいません。
母の姿は見えず、父も帰って来ないのです。

翌日登校すると、友だちとの会話もなんだかずれています。
そこにいるのは同じ顔ぶれなのに、別の毎日があったかのよう。
エリ子とダイゴは元の世界に戻るべく、
あれやこれやと試してみるのですが……。

元の世界と繋がるための唯一の手段が「高橋由伸」。
公衆電話から電話をかけるさい、テレホンカードを使用するのですが、
これが高橋由伸のテレカでなければ元の世界にかかりません。
度数はもちろん減っていく一方で、
同じテレカを求めてダイゴは金券ショップへと走りますが、
店員からそれはもうないと言われ、「阿部慎之助」を薦められます。
「高橋由伸」じゃないと駄目なんだってば。

可愛いけれど口の悪いエリ子と、ポッチャリ体型で気弱なダイゴ。
このコンビの掛け合いが絶妙です。
ダイゴがひそかに由伸ファンだったということを
テレカとキーホルダーを見たエリ子が知るシーンは、
たべちゃんの表情と一言にめちゃくちゃ笑わされます。

丸くおさまらないエンディングがちょっぴり切なく。
春に観たいファンタジーです。

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