6月7日、0900時、
護衛艦「いせ」と護衛艦「きりしま」が、リムパックに向けて呉を出航しました。
お見送りに行って参りましたので、
その様子をお届けいたします。
この日は、いろんな手違いがあり、前泊ではなく、
始発の新幹線で向かいました。
出航のお見送りは、基本的に乗員の御身内の方に限られていますが、
日ごろ何かとお世話になっている、
「いせの海江田艦長(笑)」に、さらに我儘を言い、
彼女さんの代わりに
ずうずうしくお見送りさせて頂きました。
ちょっとお渡ししたいものがあり、出航前になんとしてもお目にかからねば、
と思っていたのですが、
出航 ⇒ 0900時
面会 ⇒ 0830時まで
なので、始発で行ったため、けっこうギリギリ…。
門について受付をしたのが、もう15分前で、
しかも、いせの舷門まではけっこう距離があるので、
とにかく走りました。(別に自分の彼氏に会うとかでもないのにね(笑))
そして、ようやく、桟橋に入ったくらいの時に、
メールが…
「もう桟橋にいますか?」
副長さんだぁぁぁぁ~~~~~
そして、海江田さんからも、同じメールが。
猛ダッシュで走り、
お二人に、「桟橋なう」をメールしました。
いせの方を見ると、いせの格納庫からご家族と思しき人々が上陸している…
やっばい!!!!
なんとかギリ間に合って、舷門で海江田さんを呼んでもらおうとしたら、
ドンピシャのタイミングで海江田さんがご登場
よかったよ~、間に合って
いろいろなお礼を兼ねて、ささやかな贈り物を、と思っていたら…
海江田さんもお土産を用意してくださっていて、
なんか、プレゼント交換みたいになりました(笑)
それがコチラ↓↓↓
キューピーが一人増えました(笑)
そんなこんなで、お話していると…
今度は副長さんが来てくださいました
海江田さん、入れ替わりで舷門へ。
腕章をつけていたので、当直士官だったみたいですね。
「今朝来たの???」
と副長さん
「はい、さっき来ました(笑)」
「よく来たねぇ(笑)」
「…だって、いせの出航は見た事なかったんですよ~」
「あれ?そうなの?」
「はい、入港は見た事あったんですけど、出航はまだなんです」
「そうなんだ。今日は家族が来ているから、『帽振れ』もするからね」
「ヤバいですちょっと、私、絶対泣きますよ」
「もうすぐ、隊司令と、隣のきりしまの艦長が出て来られたら、もう閉めるから」
と副長が仰ってほどなく、
海江田さんが
「まもなく、隊司令が出られます」
と呼びに来られたので、ここで副長さんは艦内に戻って行かれました。
ほどなく、きりしまの艦長さん、
しばらくして、隊司令が出てこられました。
舷門で敬礼して見送る乗員さんたち。
海江田さんの敬礼は、ひときわ美しい敬礼に見えました。
この姿を、彼女さんにお見せしたかったなぁ…。
そう、この日はいせときりしまの出航でしたので、
岸壁の様子はこんな感じでした。
イージス艦きりしまと、いせのツーショットは、
海上自衛隊ファンにとっては、なかなかたまらない画ではないでしょうか?
しかし、この二隻に挟まれていると、すっごいインパクトがありました(笑)
ちなみに、きりしまは、4月のカレーフェスティバルに参加予定でしたが、
例のやんごとなき事情で欠場となり、
かわりに
この子がいたんです(笑)
個人的に、この「1.74」の艦番号が好きですね
今回、きりしまが先に出航するようでした。
徐々にきりしまの舫いが解かれていき、最後の舫いが離れた瞬間…
ラッパが鳴り響き、「出航用意」の掛け声が。
すると…
きりしまの後ろに停泊していた二隻からも、ラッパが響きました。
そしてさらに格納庫には、大きな自衛艦旗が掲げられているではありませんか
私はこの光景に、涙があふれてきました。
海外へ旅立つ僚艦の航海の無事を祈ると共に、
「頑張って行って来いよ!」と励ましているようではありませんか。
よく見ると、その奥の岸壁にいる艦上にも乗員が並び、
各艦からラッパが聞こえてきて、僚艦を見送っているのが分かります。
なんという美しい光景かと思わずにはいられません。
こういう部分が、まさしく海上自衛隊を大好きな所以です。
もちろん、帽振れ!が行われたのですが…
感動のあまり、その瞬間を写真撮っていないんです
というか、手を振ることすら忘れて、ただただ、見送ってしまいました。
それくらい感動してしまいました…。
きりしまは、静かに出航していきます。
続いて、いせも出航準備が行われています…が、
舫い作業などは、上甲板の下で行われていますので、
全く見えません。
舷門にももう人影もありません。
この時点で、出航に関わる仕事をしている人が見えるとするなら、
艦橋ウイングにいる方たちなのですが、
この方たちは、建物でいうと7階くらいの高いところにいます。
下にいる、お見送りのご家族は、首が痛くなるくらい、見上げていらしたのではないでしょうか。
この時には、甲板上に作業服を来た乗員の方々が並んでいらっしゃいました。
「パパぁ~~~」
と言って手を振る子供たちや、
かわいらしい敬礼をする子供たちがいます。
寂しいようなうれしいような表情で、ご家族を見下ろす乗員さんもいれば、
無表情に直立している乗員さんもいます。
そういう方たちは、恐らく独身なのでしょう。
彼らを見て、ふと思いました。
こんな時に、お見送りをしてくれる家族や恋人がいると、
置いて行く寂しさはあるかもしれないけど、
やっぱり、張り合いといいますか、
がんばろう、無事に帰ってこよう、という気持ちは、一層強くなるのではないかと思います。
「必ずここに帰ってくると、手を振る人に笑顔で応え…」
この日は、音楽隊の演奏はありませんでしたが、
海賊対処やインド洋などへ長期出航する仲間を見送る時に、必ず演奏するという、
宇宙戦艦ヤマト。
この一節を思い起こさずにはいられません。
そして、笑顔で応える相手が、いないよりはいた方が、
きっと彼らにとっても、幸せには違いないはずなので、
一人でも多くの人に、
素敵なパートナーができたらなぁと願わずにはいられませんでしたし、
同時に、改めて、自分が今行っている
「ゆるやかな会」という活動の意味の大きさを実感しました。
一人でも多くの自衛官に、
笑顔で手を振り見送ってくれる、
素敵なパートナーが現れますように、と願わずにはいられません。
ゆっくりと、いせが岸壁を離れます。
最後の舫いが解かれ…
ラッパがなり、「出航用意!!」を告げるWAVEの声が聞こえました。
一斉に、帽振れが行われ、さらにいせが岸壁から離れていきます。
この時…
ボーッ…ボーッ…ボーッ…
初めて聞いた、いせの出航の汽笛に、涙があふれて…。
あの何とも言えない、物悲しい重い汽笛の音は、一層離れていく寂しさを増長させます。
もちろん、いせの時も、各僚艦から、
ラッパの音が聞こえてきました。
見ると、さきほどきりしまの出航も見送っていた、
護衛艦「とね」と掃海母艦「ぶんご」です。
さきほども思いましたが、あんなに離れたところからでも、
ちゃんと飛行甲板に出てお見送りするということに、本当に感動します。
また、女王いせをエスコートしているタグボートにも、
UW「ご安航を祈る」の旗が揚げてあることに気づきました。
こうして、みんなで出航していく仲間の航海の無事を祈る様子に、
海軍の美しい伝統と、船乗りとしての仲間意識を強く感じるのです。
洋上慰霊式とはまた違った、美しい儀式を見たような気持ちになりました。
桟橋に残っていた家族が、
桟橋の一番奥まで移動して見送られます。
やがていせは方向を変えました。
見送る方の中に、
そっと涙をぬぐう、子供連れの奥様の姿が目に入りました。
小学校高学年くらい?のお子様を二人お連れだったので、
結婚してそれなりに年数も経っていらっしゃると思うのですが、
それでも、ご主人の出航に際し、お子様の前で、
ご主人がいなくなる寂しさに耐えかねて涙を流されるというのは、
ご主人に対する、深い愛情を感じずにはいられません。
この方は、一体何度、こうしてご主人を見送って来られたのでしょうか…。
清楚な佇まいの中に、寂しさを懸命にこらえながら、
多くの時間をお一人で、お子様を育ててこられたしなやかな強さを感じました。
お子様にせかされるように、手を引かれ、
何度も何度も、いせを振り返りながら、
文字通り後ろ髪を引かれるように、桟橋を後にされて行きました。
そのあとは、一人減り、二人減り、
いせが風景と同化しているようになった時には、
もう、桟橋には私しかいませんでした。
最後、岬に完全に隠れたいせを見とどけて、私はようやく、踵を返しました。
いってらっしゃい。
いせの皆さま、きりしまの皆さま、ご安航を心からお祈りしています。