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南英世の 「くろねこ日記」

野宿

生田(いくた)武志氏(野宿者支援ネットワーク)の講演を聴く機会があった。「貧困――野宿者と『襲撃』から考える――」というテーマである。現在、大阪の釜ヶ崎には約2万人の日雇い労働者がいる。今は不景気で1日1万円の「おいしい仕事」はほとんどない。野宿している人に声をかけると、「自分で働いているから人の世話になりたくない」と答える人も多いという。

アルミ缶1個1.5円。段ボールは1キロ9円である。1年前までは1円と6円であったから、少しは値上がりしている。それでも1日働いてアルミ缶だと1000個、段ボールだと200キロはなかなか集まらない。最近は女性の野宿者も多い。女性が野宿するきっかけは、失業(派遣切りなど)とDVである。若い女性の野宿者も増えている。

日本では野宿者は「年輩者」というイメージがあるが、ヨーロッパでは若者が多い。日本の場合、若者の半分は非正規雇用だが、親と同居することによって貧困が表面化していない。野宿者に対する襲撃事件は10代の少年グループによって夏休みに起きることが多い。生卵を投げられた、殴る蹴るの暴行を受けた、エアガンで撃たれた、ガソリンをかけられて火をつけられた、なかには、いきなりナイフで目をえぐられた事件まである。

野宿者を襲うのは「ハウス」があっても、家に自分の居場所である「ホーム」がない少年たちではないか。家に帰っても親がいない、いてもケンカばかりしている。お金もない。そんな家庭の子どもたちが襲撃しているのではないか。そうした子どもたちに対して、われわれ大人に何ができるか。今、それが問われている。
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