南英世の 「くろねこ日記」

参議院選挙

第26回参議院選挙がきょう公示された。今回与野党が争う議席は、改選124(選挙区74、比例代表50)と欠員補充1の計125である。

 

今回の選挙の争点は何か?

新聞などでは物価上昇問題が大きく取り上げられている。しかし、この問題を正面から取り上げる立憲民主党の戦略は残念としか言いようがない。政策提案型の政党に転換すると言いながら、これまで何ら魅力的な政策を打ち出してこなかった。

物価上昇といってもたかだか数パーセントの上昇である。たとえコストプッシュ型の「悪い物価上昇」であったとしても、物価上昇はアベノミクス以来の「悲願」ではなかったのか。今この問題を持ち出すのは、政策の貧困さを自ら認めるようなものでしかない。票欲しさに国民にすり寄る姿勢が透けて見える。

それよりも大きな問題は、国の安全保障であり、財政赤字を含めた経済問題であり、格差問題であり、食料の安全保障である。さらに言えばそれらの根本にある憲法改正問題である。こうした長期的な問題こそ選挙の争点でなければならない。

現在、衆議院で改憲勢力は憲法改正発議に必要な総議席の3分の2を確保している。一方参議院では、前回の2019年の選挙における自公と維新を合わせた改憲勢力の合計は81議席と、2/3にあと5議席届かなかった。その後、国民民主党が改憲に前向きな姿勢を取り始めているとはいえ、やはり自公+維新で2/3を確保したいというのが与党の本音であろう。

 

 (資料 第一学習社 政治・経済資料集)

 

いまや憲法は瀕死の状態である。集団的自衛権は行使できるし、航空母艦も事実上保有できる。また最近では敵基地攻撃能力の保持の議論も活発になっている。さらにウクライナ問題を機に日本を軍事大国化しようとする動きが勢いを増している。また、コロナ問題を口実に憲法に緊急事態条項を設けて、私権の制限を可能にしようとする動きもある。

外交問題や憲法問題は票にはなりにくい。だから、自民党はこうした問題を選挙の争点には取り上げない。しかし、選挙が終わると「国民の信任を得た」として憲法改正の大合唱が起きる。いつものパターンである。

自民党の憲法改正を一言でいうならば「国民のための国家」から「国家のための国民」への大転換である。次の参議院選挙の争点は、こうした「国のかたち」をどうするかという問題であると筆者は考えている。野党が弱いと与党が暴走する。これまで政府の暴走を許してきたのは野党の責任でもある。権力者は油断も隙もない。

政治に無関心ではあり得ても、無関係ではあり得ない。ぜひ投票には出かけてほしい。投票に行かないと、組織票を持っている政党が圧倒的に有利になる。投票は7月10日である。

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