375's MUSIC BOX/魅惑のひとときを求めて

想い出の歌謡曲と国内・海外のPOPS、そしてJAZZ・クラシックに至るまで、未来へ伝えたい名盤を紹介していきます。

気になる新譜(6) デビュー30周年 石川ひとみのベスト盤2種。

2008年02月10日 | 気になる新譜情報
今回はクラシック音楽の名曲夜話をお休みして、久々に歌謡曲・Jポップ系の気になる新譜をご紹介してみたい。実は、今月11日より1週間ばかり帰国するので、どのCDを仕入れようかとリストアップしているうち、この歌手の新譜をぜひ入手したい、というものが出てきた。今年でデビュー30周年を迎える石川ひとみである。

石川ひとみがデビューしたのは1978年。当初は、いわゆるビッグアイドルではなかったが、キュートな笑顔が印象的な美少女という感じだった。何よりも歌唱力が安定しており、レコードの売り上げも着実に中ヒットを続けていた。

メジャーな存在になったのは、1981年に荒井由実作詞・作曲のまちぶせが大ヒットした時。その年末、念願のNHK紅白歌合戦に初出場する。歌唱中に、感極まって歌えなくなってしまったのは有名なエピソードだが、この様子は自分もリアルタイムで観ていた。まともに歌えたのは、最初の数フレーズだけだったように憶えている。最後のほうで、ようやく立ち直ったかに思えたが、時すでに遅く、本人はすっかりパニックになっていた。この失敗を見てから、なぜか不思議に親近感が沸いてきたものである。

まちぶせの後も佳曲は続いたが、1987年に思わぬ挫折を味わう。なんとB型肝炎を発症し、入院生活を余儀なくされてしまうのだ。これが彼女にとって大きな方向転換となり、以後、アイドル歌手としての活動は卒業。1993年に結婚した後は、NHKの母と子のテレビタイムに出演するなど、ファミリー向けの活動に重きを置くようになった。

歌う曲も、アイドルから脱皮し、みなしごハッチを始めとするアニメ主題歌がメインになった。2004年からは一五一会という新開発のアコースティック楽器を用いて、新趣向のアルバムをリリース。ちょうど、本田美奈子がネオ・クラシックのアルバムを創り始めた時期と重なる。2人に共通する、ノスタルジックで、優しく心に訴えかける新たな歌世界は、心の癒しを求める現代人が最も必要としているものかもしれない。

石川ひとみは1959年9月20日生まれなので、現在48歳だが、とてもそんな歳には見えない。おそらく闘病生活を契機に、悟ったものがあるのだろう。心を常に健全に保ち、何事にも前向きにとらえていく姿勢が、外見にも滲み出ているように思う。

2008年度はデビュー30周年に当たるが、それに先立って、2種類のベスト盤が昨年相次いでリリースされた。

Singles コンプリート (2007年8月17日発売) PCCA02501
1978年のデビュー・シングル右向け右から、2003年のキミらしいまままでのシングル27曲を収録した2枚組ベスト盤。2006年のだいすき!ラスカルは未収録だが、アイドル時代からの代表曲は、ほぼ完璧に網羅している。

With-The Best Of 一五一会 (2007年12月19日発売) TECI1165
新開発のアコースティック楽器「一五一会」を用いてリリースされた3枚のアルバムフォークソング編唱歌童謡編Radio daysからのセレクションと、オリジナル曲の一五一会セルフカバー・ヴァージョンから成る2枚組ベスト盤。

この2点のCDが、歌手・石川ひとみの代表曲と最新の活動を知るには、ちょうどいいだろう。できれば、オリジナル・アルバムも少しづつ揃えていきたいところだ。

★参考サイト★
石川ひとみオフィシャルサイト「ただいま」

気になる新譜(5) 伝説の女性デュオ・あみん、24年ぶり復活。

2007年04月23日 | 気になる新譜情報
1982年にデビューシングル「待つわ」が100万枚を越える大ヒット。一躍スターダムに駆け上がり、1年半の間、美しいハーモニーを聴かせていた、伝説の女性デュオ・あみんが復活する。6月20日に24年ぶりのシングル「待つわ'07」を発売。7月には新アルバム、8月には全国ツアーをスタートさせるという。

待つわ」は、リアルタイムで聴いていたので、もちろん懐かしい曲の一つではあるが、個人的には、シンガーソングライターとしての岡村孝子に、かなり熱を上げていた時期があった。特に、1990年12月12日の発売日当日に購入したAfter Tone Ⅱ(ファンハウス FHCF-1086)は、当時としては、最もよく聴いていたCDの一つだったと思う。これは岡村孝子のカラー写真集と全曲楽譜付きの「初回限定盤」だったので、今となっては、大変貴重である。

ただ、その後は、自分自身が長期間、日本を離れたこともあって、いつしか彼女の音楽から遠ざかってしまった。彼女が某野球選手と結婚したというニュースも、気持ちが離れてしまう一因になったかもしれない。

そんな中で、突然ネット上に飛び込んできた、「あみん」復活のニュース。

実は昨年12月、岡村孝子のクリスマスコンサートで、かつての相棒・加藤晴子が飛び入り参加し、「あみん」復活を宣言したという話は聞いていたのだが、いよいよそれが実現するということになると、なんとなく、あの頃の思い出がよみがえってくる。いつのまにかAfter Tone Ⅴ(BVCR 18085)までリリースしている岡村孝子のベスト盤シリーズも、改めて聴いてみようかな…という気持ちになってきた。

参考サイト

「あみん」復活のニュースを伝えるサンスポの記事
岡村孝子の公式ホームページ

気になる新譜(4) 久保田早紀 7枚のアルバムが紙ジャケ復刻。

2007年03月23日 | 気になる新譜情報
1979年10月、あの「異邦人」で衝撃のデビューを飾り、1984年11月のフェアウェルコンサートを最後に引退するまで、数々の名曲を発表した、ニューミュージック界の歌姫・久保田早紀。現在では、クリスチャン・シンガー「久米小百合」として、独自の伝道活動を行なっている。

ファンの方はすでにご存知と思うが、彼女が「久保田早紀」としての5年間の活動期間中に発表した、7枚のオリジナル・アルバムが、このほどソニー・ミュージックより、紙ジャケ仕様で復刻されることになった。発売は5月9日。彼女は1958年5月11日生まれなので、ちょうど49歳の誕生日に合わせて発売される形になる。

7枚のアルバムのタイトルは以下の通り。

夢がたり(オリジナル発売日 1979年12月8日) MHCL 1063
天界(オリジナル発売日 1980年6月21日) MHCL 1064
サウダーデ(オリジナル発売日 1980年11月21日)  MHCL 1065
エアメール・スペシャル(オリジナル発売日 1981年5月21日)  MHCL 1066
見知らぬ人でなく(オリジナル発売日 1982年7月21日)  MHCL 1067
ネフェルティティ(オリジナル発売日 1983年4月21日)  MHCL 1068
夜の底は柔らかな幻(オリジナル発売日 1984年10月1日)  MHCL 1069

管理人にとって、久保田早紀が活躍した時代は、ちょうど大学時代から社会人の初期に相当していたが、現在では考えられないほどの貧乏学生(および、その延長の時期)だった為、LPのような高価なものには、なかなか手を出すことができなかった。実際、お店でジャケットを眺めるだけで終わることが多かったのである。もちろん、コンサートに行くことなど、夢のまた夢の話だった。

そんな当時に比べれば、多少は音楽を聴くゆとりもできた今、この機会に、あらためて、青春時代を飾る歌姫の1人である久保田早紀の音楽を、振り返ってみたいと思う。この「音楽玉手箱」でも、いずれ、彼女のアルバムを1枚づつ取り上げていくつもりであるが、特に後期の⑤⑥⑦は、入手困難な状況が長く続き、再発を待ち焦がれていた、幻のアルバムなのである。


参考サイト

久保田早紀非公式ホームページ 夢がたり
久保田早紀ファン・Soedaさん運営のホームページ。ディスコグラフィ、掲示板、昔の雑誌記事など。

気になる新譜(3) 宇多田ヒカル、新曲に込めた別離への想い。

2007年03月11日 | 気になる新譜情報
前回の記事で、「若い世代の歌手は、なかなか本気で聴いてみようという気持ちになれない」と書いたが、実は、何人かの例外が存在することも、付け加えておきたいと思う。その1人が、宇多田ヒカルである。

自分が初めて宇多田ヒカルの歌声を聴いたのは、1999年2月。たまたまNYCの紀伊国屋書店に立ち寄った時のこと、店内に流れていた音楽の数フレーズを聴いて、その独特の節回しに思わずハッとなった。「誰だ、これは?」 そう思って、“NOW PLAYING”の表示に飾られているジャケットを見ると、これが、宇多田ヒカルの第2作目のシングル『Movin' on without you』だった。その日から、彼女の音楽を追いかけるようになったのである。

その後、宇多田ヒカルが演歌歌手・藤圭子の娘であること、NYC生まれであることを知り、ますます親近感を持つようになった。『First Love』(1999年)、『Distance』(2001年)、『DEEP RIVER』(2002年)、と傑作が続くオリジナル・アルバムは、単なるJ-POPのカテゴリーを越えて、心理の綾を描く少女文学的要素を融合した、独特の歌世界を形作っており、何回聴いても飽きることがない。

その彼女が、今年2月28日に通算18作目のシングル『Flavor Of Life』(TOCT 40095)を発売した。はからずも、その歌詞は、このCDの発売直後に、4年半の結婚生活に終止符を打つことになる、彼女自身の心境を代弁しているように思えてならない。

  ありがとう、と君に言われると なんだかせつない
  さようならの後も解けぬ魔法 淡くほろ苦い


離婚の理由については、彼女自身がホームページで説明しているように、「思い描く未来図や夫婦像の方向性に、徐々にズレが生じたこと」と、「すれ違い生活の中でのコミュニケーション不足」にあることは確かだと思うが、その背景には、彼女が生まれ育った家庭環境も影響しているのではないだろうか。

宇多田ヒカルの両親、藤圭子と、音楽プロデューサー・宇多田照實氏は、実に6回も結婚・離婚を繰り返しており、つい先頃も恒例の(?)離婚をしたばかりである。そのような不安定な家庭状況の中で、彼女自身は、安定した幸せな家庭を夢見ていたことは容易に想像できるし、その憧れが強かったゆえに、19歳という若さで、結婚に踏み切ったのだろう。

しかしながら、理想の夫となるはずだった紀里谷和明氏は、あまりにも忙しすぎた。自分の夢を追っている最中だった。結婚一周年の時点で、すでに、日米で離れたままの生活になってしまい、「やっぱり寂しい」と、周囲に漏らしていたとも言われる。

しばらくの間、心に傷は残ると思うが、まだ24歳。人生にはよくある挫折の一つ、と捉えて、再出発してほしい。芸術的には、これからが成長期に入ってくるはずである。

宇多田ヒカルの多くの作品に見られる、せつなさや寂しさの感情は、おそらく彼女自身の心象風景が反映されているものだろう。優れた芸術家の資質として、「寂しさ」は不可欠な要素であるし、それを磨くために、神様は才能ある芸術家に対して、大きな試練を与えているようにも思えるのだが、やはり、1人の女性としては、幸せを犠牲にしてほしくない、と思ってしまう。

天才であるゆえの苦悩から、彼女も逃れられないのであろうか。

気になる新譜(2) デビュー35周年 アグネス・チャンの新曲発売。

2007年03月09日 | 気になる新譜情報
本田美奈子.がこの世を去り、ちあきなおみが表舞台から姿を消した今、これからの日本の歌謡界は、誰に期待したらいいのか…と、思うことがある。

もちろん、この2人の歌手が残した遺産は大きいし、今後も、廃盤になったアルバムが復刻されたり、未発表音源や映像が登場する余地はあるだろう。そういう意味では、まだまだ楽しみもあるのだが、やはり、それと同時に、現在活躍中の歌姫たちに、もっと頑張ってもらいたい、という気持ちがある。

とは言っても、若い世代の歌姫たちは、人気はあっても、歌に感動するところまではいかない人が多く、なかなか本気で聴いてみようという気持ちになれない。聴くとすれば、ある程度長い期間、歌手としてのキャリアがあり、豊富な人生経験を積んでいる人、ということになってしまう。

そんな中で、自分が注目している歌姫の1人が、アグネス・チャンである。

多くの人にとって、アグネス・チャンといえば、「ひなげしの花」を歌っていた当時の、たどたどしい日本語を話す香港娘、というイメージを思い浮かべるかもしれない。それは、本田美奈子.に、いつまでも「マリリン」のイメージがつきまとうのと同じで、歌手本人のその後の成長ぶりから見れば、ほんの出発点に過ぎないのだ。ちあきなおみもそうだが、テレビの歌番組に出なくなってからのほうが、歌手としての成長ぶりが著しいのである。

アグネス・チャンのすごさは、言うまでもなく、その多方面にわたる才能と行動力だ。歌手としての顔だけではなく、教育学博士号を持つ大学教授としての顔があり、日本ユニセフ協会大使としての平和運動家の顔があり、エッセイスト・小説家としての顔があり、さらには、3児の母としての顔がある。しかも、今年の8月20日で52歳になるはずなのに、とてもそのようには見えないほど美しい。

何よりも素晴らしいのは、ベテラン歌手にありがちなマンネリ感がなく、いつまでも若い頃の初々しさを残しているところだろう。才能もさることながら、よほど初心を大切にして、日々努力しないと、こうは行かない。

そのアグネスの新譜であるが、今年に入って、すでに2点がリリースされている。

① 「35周年記念コンサート~世界へとどけ平和の歌声
2月21日発売(日本クラウン CRBN22) →昨年12月10日、中野サンプラザにて行なわれた、日本デビュー35周年記念コンサートの模様を収録したDVD。

② 「そこには 幸せが もう生まれているから」(C/W 「みんな地球に生きるひと」)
3月7日発売(日本クラウン CRCP564) →アグネス自身の作曲によるマキシ・シングルの新曲。

これ以外に、新アルバムの発売、さらにはコンサート・ツアーも予定されている。日本歌謡曲史上屈指の「万能の歌姫」アグネス・チャンの歩みに、今後も注目していきたいと思う。


参考サイト


アグネス・チャン 公式ホームページ
日記はアグネス自身がほぼ毎日更新。ファンレターも出せます。

気になる新譜(1) ちあきなおみ ビクター時代のアルバムが復刻。

2007年03月04日 | 気になる新譜情報
昭和歌謡曲史に燦然と輝く歌姫・ちあきなおみ。1992年に活動を休止して以来、今もなお、復帰を望む声は根強い。やはり、これだけ「心に響く歌」を聴かせてくれる歌手はなかなか出てこない、という現実を反映しているのだろう。

その彼女が、1980年代のビクター在籍時代にリリースした4枚のオリジナル・アルバムが、3月21日に復刻発売される。いずれも紙ジャケ仕様の限定版で、帯・歌詞カード等も発売当時のLP盤の仕様で再現されるようだ(VICL 62347~62350)。

それぞれのテーブル(1981年)→フランスのシャンソンをカバー。
THREE HUNDRED CLUB(1982年)→アメリカのジャズ・スタンダードをカバー。
待夢(1983年)→ポルトガル民謡ファドをカバー。
港が見える丘(1985年)→戦前から戦後にかけての日本の流行歌をカバー。

この4枚は、1978年の結婚を機に、人気歌手としての活動を一時休業した後、レコード会社を移籍してリリースした企画アルバムだった。ヒット曲を追うのではなく、日本の歌を見直すために、あえて、さまざまなジャンルの外国曲に取り組んで、歌唱力の幅を広げた時期。ちあきなおみにとっては、言わば「第2期」の遺産と言えるものである。本田美奈子で言えば、ミュージカル時代に相当するだろうか。

いずれも限定版ということなので、確実に入手するには、販売サイトもしくは最寄のレコード店で、予約しておいたほうがいいだろう。リリース後は、この「音楽玉手箱」でも、あらためて一枚づつ紹介していく予定である。