375's MUSIC BOX/魅惑のひとときを求めて

想い出の歌謡曲と国内・海外のPOPS、そしてJAZZ・クラシックに至るまで、未来へ伝えたい名盤を紹介していきます。

【NEWS】本田美奈子.38年間の軌跡を綴った本が発売!

2007年03月31日 | 本田美奈子
ワニブックスから、新刊本が発売されるらしい。
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天に響く歌~歌姫本田美奈子.の人生』(仮題)
定価 1470円
発売日 2007年4月20日?(販売サイトによってまちまちの情報)
ISBN  4847017234
JAN  9784847017230
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本田美奈子.の38年間の軌跡を綴ったドキュメンタリー本とのことである。

詳しい内容は不明。昨年の同時期に発売された2冊の『天国からのアンコール』のように、メッセージ付き写真集のようなものか、それとも本格的な伝記に近いものか、現時点では想像するしかない。が、ともかく、今年も貴重なコレクションが加わるのは、嬉しいかぎりだ。

4月はイースターの季節であるが、ファンにとっては「美奈子復活祭」の季節でもある。新譜CD『エンジェル・ヴォイス』(TOCT-26255-56)、『クラシカル・ベスト~天に響く歌』(COZQ-255)と合わせて、3点セットで予約しておこう。

名曲夜話(20) グリエール バレエ組曲『赤いけしの花』

2007年03月28日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編

グリエール 交響曲第2番+バレエ組曲『赤いけしの花』
交響曲第2番ハ短調(作品25)
バレエ組曲『赤いけしの花』(作品70)
1.苦力(クーリー)の英雄的な踊り
2.情景と金の指の踊り
3.中国人の踊り
4.不死鳥
5.ワルツ
6.ソヴィエト水夫の踊り
ズデニェク・マーツァル指揮 ニュージャージー交響楽団
録音: 1995年 (DELOS DE 3178)
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20世紀初頭に勃発したロシア革命の嵐は、同時期の多くの音楽家を亡命に追いやったが、グリエールは例外的に、革命後の「ソ連」に残る道を選び、政府お気に入りの作曲家としてサヴァイヴァルを遂げた。社会主義リアリズムの模範的作曲家としての評価を得ながらも、19世紀の伝統に基づく自己のアイデンティティを失わなかった彼の作風は、真に稀有のものであり、現在のマイナーな位置よりも、もっと高い評価をされてしかるべき大作曲家である。

そのグリエールのソ連時代の作品で、最も広く知られているものは、1927年に初演された、バレエ音楽『赤いけしの花』であろう。華麗なオーケストレーションで奏される異国情緒満点の音楽は、理屈抜きの愉しさがあり、一度聴いただけで虜になってしまう。時おり、フィギュアスケートの伴奏音楽として用いられることもあり、近い将来、スタンダード曲としての名声を得る可能性は十分にあるだろう。

バレエのストーリーは、中国の港を舞台に、ソ連船の船長と酒場で働く少女との恋物語を中心として、ソ連の船員と中国の労働者の連帯が描かれるという、体制賛美の内容である。革命後のグリエールは、以前のような国民学派的要素は希薄になったが、その代わりにウズベク、アゼルバイジャンなどの中央アジアの民俗音楽を活用し、オリエンタリズムの味付けが強くなった。この『赤いけしの花』では、中国風の旋律が多く用いられている。

バレエは、全曲演奏すると3幕8場の長大なものになるが、通常のコンサートピースとしては、全曲から抜粋した6曲の組曲で演奏される。

第1曲 苦力(クーリー)の英雄的な踊り
ハチャトゥリアンを先取りするような、野性味あふれるリズムが炸裂する舞曲。2分50秒すぎにちょこっと登場する中国風のモチーフが可愛らしい。
第2曲 情景と金の指の踊り
グラズノフ「四季」風の幻想的なオープニングから、大河のようなアダージョへの展開は感動的。個人的には、この部分が全曲中の白眉。
第3曲 中国人の踊り
中国風オリエンタリズムの魅力がいっぱいの、華麗な舞曲。
第4曲 不死鳥
ヴァイオリンのソロを中心とした、郷愁に満ちたロマンの歌。
第5曲 ワルツ
チャイコフスキー、グラズノフの伝統を受け継ぐ、優美なロシアン・ワルツ。
第6曲 ソヴィエト水夫の踊り(ロシア水兵の踊り)
力強いブラスのサウンドを背景に、革命歌「ヤーブロチコ(小さなリンゴ)」が何度も変奏される。全曲中最も有名な部分で、ここだけが独立して演奏されることも多い。

CDは、現在のところ唯一所有しているチェコの名指揮者ズデニェク・マーツァルの演奏が素晴らしく、色彩豊かな民族的旋律美を十二分に堪能できる。

このCDの前半には、革命以前の1907年に完成した交響曲第2番も収録されているが、こちらも民族色にあふれた佳作。第1楽章冒頭の勇壮な主題から、すでに広大なロシアの大地が眼前に開けてくる。第3楽章の深々としたロシアン・アダージョも、なかなか味が濃い。
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名曲夜話(19) グリエール 交響曲第3番『イリヤ・ムロメッツ』

2007年03月25日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編


グリエール 交響曲第3番『イリヤ・ムロメッツ』+チェロ協奏曲
交響曲第3番『イリヤ・ムロメッツ』(作品42)
1.さまよえる巡礼者たち~イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール
2.山賊ソロヴェイ
3.ヴラディミール公の宮殿での祝宴
4.武勇伝とイリヤ・ムロメッツの石化
チェロ協奏曲(作品87)
ハロルド・ファーバーマン指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 1978年[イリヤ・ムロメッツ]、1986年[チェロ協奏曲] (Regis RRC 2068)
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レインゴリト・モリツォーヴィッチ・グリエール(1875.1.11-1956.6.23)。「グリエール」というのは、ロシア人らしからぬ姓だが、父親はドイツ出身の楽器職人で、もともとは、ドイツ語の「Glier(グリーア)」に由来するとのこと。グリエール本人はウクライナのキエフ生まれで、ラフマニノフ(1873年生まれ)、スクリャービン(1872年生まれ)と同世代になる。

グリエールらの世代は、本来ならば、ロシア国民学派第3世代に相当するが、すでに彼らが成人する1890年代には、ドイツ後期ロマン派やドビュッシーの印象派音楽の影響が、ロシアにも波及し始めており、民族主義的な方向性は、もはや主流ではなくなっていた。グリエールの作品にも、ロマン派や印象派の影響は見られるが、同世代の作曲家の中では、最も民族色の濃い作風を維持しており、帝政ロシアの伝統を伝える最後の大作曲家として、革命後のソ連においても、引き続き独自の個性を発展させていくのである。

そのグリエールの、帝政ロシア時代での最後を飾る大作が、12世紀から伝わるロシアの伝説的英雄譚を題材にした、交響曲第3番『イリヤ・ムロメッツ』である。標題のついた4つの楽章から成る一大叙事詩で、演奏時間は、1978年にデジタル録音初のノーカット全曲演奏を行なったハロルド・ファーバーマン指揮の演奏で聴くと、なんと1時間33分。マーラーの交響曲にも匹敵する、ギネスブック級の大シンフォニーだ。

第1楽章 さまよえる巡礼者たち~イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール
農家で生まれたイリヤ・ムロメッツは、生まれつき手足が動かず、30歳まで家から出ることがなかった。音楽は、不動のイリヤを表わすかのような、荘重なオープニングで始まる。

ある日、2人の巡礼者がイリヤの家を訪れる。巡礼者たちは、イリヤを立ち上がらせ、これからの人生をロシア正教のため、国を乱す者と戦うため、弱者を助けるために生きることを約束させた。旅立ちの決意に満ちた、勇壮なイリヤのテーマがホルンで奏される。

イリヤは馬に乗り、キエフの都を目指して旅立つ。このあたりの描写は、典型的なロシア国民学派の手法。その途中、巨人スヴャトゴールと出会うエピソードがあり、2人は兄弟の契りを交わして、旅を続ける。しかし、スヴャトゴールは、巨大な棺に捕らえられて、最期を遂げる。この時、スヴャトゴールの身体から命の泡があふれ出し、この泡を身にまとったイリヤは、スヴャトゴールの力と勇気をも受け継いでいく

第2楽章 山賊ソロヴェイ
人々に恐れられていた山賊ソロヴェイの潜む森。不気味な雰囲気が、印象派風の手法によって描かれる。3人の魔女を使って、人間たちを誘惑し、彼らを殺して金品を奪うのが、ソロヴェイの手口であるが、イリヤ・ムロメッツが近づいてくるのを知ったソロヴェイは、さっそく魔女たちをイリヤに差し向ける。金銀の財宝を餌に、イリヤを誘惑する魔女たち。ワーグナー風の官能的な音楽に、思わず陶酔しそうになる。

しかし、誘惑に打ち克ったイリヤは、ソロヴェイの目を射抜き、彼を捕らえたままキエフの都へ連行する

第3楽章 ヴラディミール公の宮殿での祝宴
キエフに着くと、イリヤは「太陽公」ヴラディミールに迎えられる。交響曲のスケルツォ楽章に相当するが、ここだけは、わずか8分の演奏時間でまとめられている。祝宴の華やかさにあふれた、陽気な音楽。途中、一度不気味な雰囲気になるが、ここは、連行してきた山賊ソロヴェイが最後の抵抗を試みる部分。しかし、イリヤはソロヴェイの首を斬り、ヴラディミール公と一緒のテーブルにつく栄誉を与えられる。

第4楽章 武勇伝とイリヤ・ムロメッツの石化
ある日、タタール人の大軍がキエフを襲う。イリヤと勇士たちは、激戦の末、見事タタール人を打ち破るが、味方のひとりが、「たとえ天軍が押し寄せようとも我らには敵うまい」と、慢心の言葉を吐いた。すると敵軍の死者たちが起き上がり、5倍の数になって襲いかかってきた。敵は、斬られれば斬られるほど、さらに数を増していく。イリヤはこれこそ天軍だと悟り、悔い改めの祈りを捧げると、天軍は地に倒れ伏し、イリヤと勇者たちは、石像と化していった

タタール人との戦いを描く、激烈な音楽は、全曲中でも屈指の聴きどころの一つ。しかしフィナーレの後半は、次第に悲劇的な色合いを深めていく。最後は、石化してゆく英雄たちへの鎮魂歌のように、ロシア聖歌風のテーマが厳かに奏され、終焉を迎えるのである。


気になる新譜(4) 久保田早紀 7枚のアルバムが紙ジャケ復刻。

2007年03月23日 | 気になる新譜情報
1979年10月、あの「異邦人」で衝撃のデビューを飾り、1984年11月のフェアウェルコンサートを最後に引退するまで、数々の名曲を発表した、ニューミュージック界の歌姫・久保田早紀。現在では、クリスチャン・シンガー「久米小百合」として、独自の伝道活動を行なっている。

ファンの方はすでにご存知と思うが、彼女が「久保田早紀」としての5年間の活動期間中に発表した、7枚のオリジナル・アルバムが、このほどソニー・ミュージックより、紙ジャケ仕様で復刻されることになった。発売は5月9日。彼女は1958年5月11日生まれなので、ちょうど49歳の誕生日に合わせて発売される形になる。

7枚のアルバムのタイトルは以下の通り。

夢がたり(オリジナル発売日 1979年12月8日) MHCL 1063
天界(オリジナル発売日 1980年6月21日) MHCL 1064
サウダーデ(オリジナル発売日 1980年11月21日)  MHCL 1065
エアメール・スペシャル(オリジナル発売日 1981年5月21日)  MHCL 1066
見知らぬ人でなく(オリジナル発売日 1982年7月21日)  MHCL 1067
ネフェルティティ(オリジナル発売日 1983年4月21日)  MHCL 1068
夜の底は柔らかな幻(オリジナル発売日 1984年10月1日)  MHCL 1069

管理人にとって、久保田早紀が活躍した時代は、ちょうど大学時代から社会人の初期に相当していたが、現在では考えられないほどの貧乏学生(および、その延長の時期)だった為、LPのような高価なものには、なかなか手を出すことができなかった。実際、お店でジャケットを眺めるだけで終わることが多かったのである。もちろん、コンサートに行くことなど、夢のまた夢の話だった。

そんな当時に比べれば、多少は音楽を聴くゆとりもできた今、この機会に、あらためて、青春時代を飾る歌姫の1人である久保田早紀の音楽を、振り返ってみたいと思う。この「音楽玉手箱」でも、いずれ、彼女のアルバムを1枚づつ取り上げていくつもりであるが、特に後期の⑤⑥⑦は、入手困難な状況が長く続き、再発を待ち焦がれていた、幻のアルバムなのである。


参考サイト

久保田早紀非公式ホームページ 夢がたり
久保田早紀ファン・Soedaさん運営のホームページ。ディスコグラフィ、掲示板、昔の雑誌記事など。

名曲夜話(18) リャードフ作品集 『8つのロシア民謡』ほか

2007年03月19日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編

リャードフ 管弦楽作品集
1.ファンファーレ第1番 2.ファンファーレ第2番 3.ファンファーレ第3番 
4.ポロネーズ
(作品49) 5.交響詩『魔法にかけられた湖』(作品62) 6.交響詩『ババ・ヤガー』(作品56) 7.交響詩『キキモラ』(作品63) 8.バラード『古き時代より』(作品21b) 9.音楽玉手箱(作品32)
10.管弦楽曲集『8つのロシア民謡』(作品58) 
宗教的な歌 ②クリスマス・キャロル ③のびのびと歌う歌 ④おどけた歌 ⑤鳥たちの伝説 ⑥子守唄 ⑦踊りの歌 村人の踊り
11.ポロネーズ
(作品50)
エンリケ・バティス指揮 メキシコ州立交響楽団
録音: 1998年 (ASV CD DCA 657)
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今回登場の作曲家は、アントーリ・コンスタンティノヴィッチ・リャードフ(1855.5.11-1914.8.28)。ロシア国民学派第2世代の作曲家の1人であるが、他の作曲家のように、交響曲や歌劇などの大規模な作品は残さず、ロシアの民話やおとぎ話を題材にした、オーケストラ小品や、ピアノ曲のみによって知られている。

作品の数は、極めて少ない。全曲録音してもCD1枚に収まってしまうほどである。作品が少ない原因として、一説には、生来の怠け癖があったと言われる。ペテルスブルク音楽院では、リムスキー=コルサコフの作曲科に籍を置いていたが、欠席が多く、一度除籍されたらしい。ただ、父親や叔父もプロの音楽家ということもあり、その血筋から、人並みはずれた才能を持っていたことは間違いがなく、ムソルグスキーに高い評価を受けたのをきっかけとして、「ロシア5人組」と関係を持つようになった。

のちには、自らペテルスブルク音楽院で教えるようになり、その門下にはプロコフィエフ、ミャスコフスキーらがいる。また、リャードフは画才にも優れており、漫画や幻想的な絵を描いては、友人たちを驚嘆させたらしい。実際、彼の管弦楽作品を聴くと、恩師リムスキー=コルサコフを彷彿とさせる色彩的なオーケストレーションと共に、その絵画的なイメージの豊かさに驚かされるのである。

リャードフのCDは、以前スヴェトラーノフの演奏が出ていたはずだが、見かけなくなってしまった(それとも、あれはLPだったか。ちょっと記憶があやしい)。その代わり、別の指揮者で、手頃なCDが出ている。メキシコの熱血指揮者エンリケ・バティス率いる、メキシコ州立交響楽団による演奏である。

このリャードフの作品集は、演奏時間が1分にも満たない3つのファンファーレで幕を明ける。3つとも、何かの祝典の際に作曲されたらしい。その後に、リムスキー=コルサコフの作品によく似たポロネーズ(作品49)が続く。これは、1899年に行なわれた、詩人プーシキンの追悼演奏会で披露されたものだという。

ここからが、リャードフの代表作として名高い、3大交響詩の登場となる。『魔法にかけられた湖』は、印象派風に刻々と変化する、神秘的な情景描写が魅力。『ババ・ヤガー』は、ムソルグスキーの『展覧会の絵』にも出てくる、魔法使いの妖婆。森の中を気ぜわしく活動する様子が、色彩豊かなオーケストレーションで、ダイナミックに描かれる。『キキモラ』も、ロシアの民話に出てくる魔女で、一日中、口笛を吹きながら邪悪な考えにふけっているという。曲は不気味な雰囲気のアダージョに始まり、徐々に劇的で変化に富んだ展開を見せる。この『キキモラ』が、リャードフの最大規模の作品になるが、それでも、演奏時間は8分30秒程度である。

これらの交響詩に続く、『古き時代より』というタイトルのついたバラードと、『音楽玉手箱』(!)は、どちらも、ピアノ曲のオリジナルを、管弦楽曲に編曲したヴァージョン。特に、当ブログのタイトル名にもなった『音楽玉手箱』は、わずか1分30秒のオルゴール風小品であるが、フルートで奏される軽快なメロディを聴いているだけで幸せな気分になってくる。可愛い女の子へのプレゼントにしたくなるような、チャーミングな名作だ。

CDの後半は、管弦楽曲集『8つのロシア民謡』。リャードフは、ロシア各地の民謡を200曲以上収集していたが、その編曲の成果として生み出された集大成である。短いもので1分。長くても3分に満たない小品集で、親しみやすいメロディに聴きほれているうちに、あっという間に終わってしまう。クラシック音楽を敬遠している人で、演奏時間の「長さ」を問題にしている人がいるとしたら、そういう人には、このリャードフの作品集を聴かせてみたらいいかもしれない。きっと、考えが変わるだろう。

CDの最後は、1902年に、ピアニストだったアントン・ルビンシュタインの彫像の除幕式に演奏された、もうひとつのポロネーズ(作品50)で、幕を閉じる。

メキシコ州立交響楽団の演奏は、開放的で明るい響きが、リャードフの色彩感豊かなオーケストレーションと相性がよく、愉しさ満点だ。ドイツ・オーストリア系の「王道クラシック」とは対極の世界であるが、このような音のファンタジーに徹した世界も、クラシック音楽を聴く醍醐味の一つなのである。

名曲夜話(17) アレンスキー ピアノ三重奏曲第1番、第2番 

2007年03月17日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編

アレンスキー ピアノ三重奏曲第1番ニ短調(作品32)、第2番ヘ短調(作品73)
ボロディン・トリオ
録音: 1986年[第1番]、1990年[第2番] (CHANDOS CHAN 10184X)
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今回紹介する作品は、アレンスキーのピアノ三重奏曲第1番と第2番。特に第1番は、ロシアの室内楽曲の中でも屈指の名作として知られている。

アントン・ステパノヴィッチ・アレンスキー(1861.7.12-1906.2.25)。世代的には、リャードフ(1855年生まれ)、タネーエフ(1856年生まれ)、イッポリトフ=イヴァノフ(1859年生まれ)、グラズノフ(1865年生まれ)、カリンニコフ(1866年生まれ)などに近く、いわば、「国民学派第2世代」を形成している作曲家の1人である。

アレンスキーは、最初ペテルスブルグ音楽院で、リムスキー=コルサコフに作曲を学んだが、卒業後は、モスクワ音楽院の教授となり、音楽理論と作曲を教えるようになった。その門下からは、ラフマニノフ(1873年生まれ)、グリエール(1875年生まれ)などの、「国民学派第3世代」の作曲家を輩出している。

アレンスキーの作風を一言でいえば、チャイコフスキーロシア5人組の持つ叙情性を、極限まで推し進めたもの、ということになろう。まるで、自分自身の音楽に酔いしれるかのように、メランコリックな旋律が、いつ果てるともなく続いていく。同世代のタネーエフが、構築性を重んじる「硬派」の代表とすれば、アレンスキーは、あくまで陶酔的なメロディに重きを置く「軟派」(と言っては失礼かもしれないが)の代表と言えようか。

アレンスキーの全作品中、最も有名な、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのためのピアノ三重奏曲第1番ニ短調(作品32)は、1894年、作曲者33歳の年に出版された。

第1楽章アレグロ・モデラート。冒頭、ヴァイオリンで奏される憂いを帯びた旋律が、ピアノに受け渡される部分から、まるで魔法にかかったような気分になる。室内楽でありながら、交響曲に匹敵する充実感を味わえる、味の濃い楽章だ。

第2楽章は、テンポの速い、飛び跳ねるようなワルツ風スケルツォ。第3楽章は、一転して、物思いに沈むようなエレジー(悲歌)となり、どこかで聴いたことのある、心のこもった名旋律が登場する。第4楽章フィナーレでは、冒頭の憂いを帯びた旋律が再現され、起伏に富んだドラマを聴かせつつ、感動的に幕を閉じる。

もうひとつの、ピアノ三重奏曲第2番ヘ短調(作品73)は、1905年、作曲者の死の前年に完成された。アレンスキーは、ムソルグスキーやグラズノフと同様、晩年は酒に溺れた生活に傾斜したこともあって、わずか44歳で世を去っているが、この第2番は、迫り来る死をどこかで予期しているような、厭世的な気分に彩られている。特に、第1楽章アレグロ・モデラートの中で、時おり聴こえるチェロのつぶやきは、あたかも死神の呼び声のようでもある。その一方では、旋律は相変わらず美しく、まるで「酔いながら書いている」かのようだ。

第2楽章ロマンツェは、ショパンの夜想曲を思わせる、ピアノのソロが印象的。この世への別れを惜しむような、しみじみと心に訴える名品だ。第3楽章スケルツォは、子供と戯れるような陽気な音楽だが、トリオの部分はテンポが遅くなり、後ろ髪を引かれるような、寂しい感情が影を落とす。第4楽章は、ピアノのソロで始まる変奏曲。アレンスキー自身の人生を振り返るような、なつかしさにあふれた名旋律が連続する。

CDは、第1番第2番をカップリングにしたボロディン・トリオの演奏が、現在唯一所有しているもので、今のところは、これで満足している。そのうち、機会があれば、他の演奏とも聴き比べてみたいと思う。

名曲夜話(16) タネーエフ 『オレステイア』序曲、交響曲第4番

2007年03月13日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編

タネーエフ 歌劇『オレステイア』より「序曲」、交響曲第4番ハ短調(作品12)
ネーメ・ヤルヴィ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
録音: 1990年 (Chandos CHAN 8953)
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ラフマニノフが、自作の交響曲第2番を、モスクワ音楽院時代の恩師タネーエフに献呈したことは、よく知られている。しかし、タネーエフがどのような音楽を書いていたかは、一般的には、あまり知られていないかもしれない。今回は、その「ラフマニノフの恩師」にスポットを当ててみたいと思う。

セルゲイ・イヴァノヴィッチ・タネーエフ(1856.11.25-1915.6.19)。モスクワ音楽院で、ピアノをニコライ・ルビンシュタイン、作曲をチャイコフスキーに学ぶ。当初はピアニストとして活躍し、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番のモスクワ初演時には、ソロを担当した。1878年にモスクワ音楽院の和声・楽器法教授に就任、1881年からはピアノ科も受け持ち、ラフマニノフグラズノフなどを教える。1885年から4年間は院長を務め、作曲家としても数々の名曲を残した…、というのが、大雑把な経歴である。

このタネーエフの傑作を2つあげるとすれば、12年という長い歳月をかけて完成した、歌劇『オレステイア』と、1896年に完成した交響曲第4番になるだろう。

オレステイア』は、アイスキュロス作の古代ギリシャ悲劇『オレステイア三部作』に基づく歌劇であるが、現在は、歌劇そのものが上演されることはほとんどなく、「序曲」だけが、単独で演奏される。

序曲」の音楽は、悲劇的な歌劇のドラマを凝縮するように、重々しい展開を見せる。このオペラは、肉親同士の憎しみを背景とした復讐劇であり、血なまぐさい場面も多い。映画で言えば、間違いなく「R指定」である。そんな生き地獄さながらのストーリーの中で、救いとなるのが、最終場面に現われる無上に美しい音楽。まるで、戦乱のギリシャ世界に平和と調和が戻っていくかのように、別世界のハーモニーが繰り広げられる。これぞ、古今東西のオペラ序曲の中でも、最も感動的なエンディングの一つ…と、言いたくなってくる。

もう一つの代表作、交響曲第4番は、タネーエフの円熟期に書かれた最高傑作。ロシアの作曲家には珍しく、叙情性よりも、対位法的な構築性を重んじているので、最初のうちは、辛口に聴こえるが、何度も聴いているうちに、奥の深い美しさが、胸に迫ってくるようになる。

第1楽章アレグロ・モルトの歌謡性豊かな主題旋律。第2楽章アダージョの息を呑むような美しさ。第3楽章スケルツォの生き生きとしたリズム。いずれも、挽きたてのエスプレッソのような味の濃さが光る。そして、第1楽章からの主題旋律が回帰する、壮大なフィナーレ。圧倒的な盛り上がりとともに大円団を迎えるクライマックス・シーンの感動は、数あるロシア音楽の中でも屈指の素晴らしさと言えるだろう。

CDは、この2大傑作をカップリングにした、ネーメ・ヤルヴィ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏があれば、まずは十分だろう。1980年代の後半から1990年頃にかけて、ヤルヴィは、カリンニコフをはじめとする知られざる名曲を積極的に録音していたが、中でも、このタネーエフは、快心の成果と言える一枚ではないだろうか。毅然とした気迫と、叙情的な美しさを兼ね備え、何度でも繰り返して聴きたい名盤である。


名曲夜話~ネーメ・ヤルヴィのDISC紹介

カリンニコフ 交響曲第1番
グラズノフ バレエ音楽『四季』
リムスキー=コルサコフ <7大歌劇>序曲・組曲集

気になる新譜(3) 宇多田ヒカル、新曲に込めた別離への想い。

2007年03月11日 | 気になる新譜情報
前回の記事で、「若い世代の歌手は、なかなか本気で聴いてみようという気持ちになれない」と書いたが、実は、何人かの例外が存在することも、付け加えておきたいと思う。その1人が、宇多田ヒカルである。

自分が初めて宇多田ヒカルの歌声を聴いたのは、1999年2月。たまたまNYCの紀伊国屋書店に立ち寄った時のこと、店内に流れていた音楽の数フレーズを聴いて、その独特の節回しに思わずハッとなった。「誰だ、これは?」 そう思って、“NOW PLAYING”の表示に飾られているジャケットを見ると、これが、宇多田ヒカルの第2作目のシングル『Movin' on without you』だった。その日から、彼女の音楽を追いかけるようになったのである。

その後、宇多田ヒカルが演歌歌手・藤圭子の娘であること、NYC生まれであることを知り、ますます親近感を持つようになった。『First Love』(1999年)、『Distance』(2001年)、『DEEP RIVER』(2002年)、と傑作が続くオリジナル・アルバムは、単なるJ-POPのカテゴリーを越えて、心理の綾を描く少女文学的要素を融合した、独特の歌世界を形作っており、何回聴いても飽きることがない。

その彼女が、今年2月28日に通算18作目のシングル『Flavor Of Life』(TOCT 40095)を発売した。はからずも、その歌詞は、このCDの発売直後に、4年半の結婚生活に終止符を打つことになる、彼女自身の心境を代弁しているように思えてならない。

  ありがとう、と君に言われると なんだかせつない
  さようならの後も解けぬ魔法 淡くほろ苦い


離婚の理由については、彼女自身がホームページで説明しているように、「思い描く未来図や夫婦像の方向性に、徐々にズレが生じたこと」と、「すれ違い生活の中でのコミュニケーション不足」にあることは確かだと思うが、その背景には、彼女が生まれ育った家庭環境も影響しているのではないだろうか。

宇多田ヒカルの両親、藤圭子と、音楽プロデューサー・宇多田照實氏は、実に6回も結婚・離婚を繰り返しており、つい先頃も恒例の(?)離婚をしたばかりである。そのような不安定な家庭状況の中で、彼女自身は、安定した幸せな家庭を夢見ていたことは容易に想像できるし、その憧れが強かったゆえに、19歳という若さで、結婚に踏み切ったのだろう。

しかしながら、理想の夫となるはずだった紀里谷和明氏は、あまりにも忙しすぎた。自分の夢を追っている最中だった。結婚一周年の時点で、すでに、日米で離れたままの生活になってしまい、「やっぱり寂しい」と、周囲に漏らしていたとも言われる。

しばらくの間、心に傷は残ると思うが、まだ24歳。人生にはよくある挫折の一つ、と捉えて、再出発してほしい。芸術的には、これからが成長期に入ってくるはずである。

宇多田ヒカルの多くの作品に見られる、せつなさや寂しさの感情は、おそらく彼女自身の心象風景が反映されているものだろう。優れた芸術家の資質として、「寂しさ」は不可欠な要素であるし、それを磨くために、神様は才能ある芸術家に対して、大きな試練を与えているようにも思えるのだが、やはり、1人の女性としては、幸せを犠牲にしてほしくない、と思ってしまう。

天才であるゆえの苦悩から、彼女も逃れられないのであろうか。

気になる新譜(2) デビュー35周年 アグネス・チャンの新曲発売。

2007年03月09日 | 気になる新譜情報
本田美奈子.がこの世を去り、ちあきなおみが表舞台から姿を消した今、これからの日本の歌謡界は、誰に期待したらいいのか…と、思うことがある。

もちろん、この2人の歌手が残した遺産は大きいし、今後も、廃盤になったアルバムが復刻されたり、未発表音源や映像が登場する余地はあるだろう。そういう意味では、まだまだ楽しみもあるのだが、やはり、それと同時に、現在活躍中の歌姫たちに、もっと頑張ってもらいたい、という気持ちがある。

とは言っても、若い世代の歌姫たちは、人気はあっても、歌に感動するところまではいかない人が多く、なかなか本気で聴いてみようという気持ちになれない。聴くとすれば、ある程度長い期間、歌手としてのキャリアがあり、豊富な人生経験を積んでいる人、ということになってしまう。

そんな中で、自分が注目している歌姫の1人が、アグネス・チャンである。

多くの人にとって、アグネス・チャンといえば、「ひなげしの花」を歌っていた当時の、たどたどしい日本語を話す香港娘、というイメージを思い浮かべるかもしれない。それは、本田美奈子.に、いつまでも「マリリン」のイメージがつきまとうのと同じで、歌手本人のその後の成長ぶりから見れば、ほんの出発点に過ぎないのだ。ちあきなおみもそうだが、テレビの歌番組に出なくなってからのほうが、歌手としての成長ぶりが著しいのである。

アグネス・チャンのすごさは、言うまでもなく、その多方面にわたる才能と行動力だ。歌手としての顔だけではなく、教育学博士号を持つ大学教授としての顔があり、日本ユニセフ協会大使としての平和運動家の顔があり、エッセイスト・小説家としての顔があり、さらには、3児の母としての顔がある。しかも、今年の8月20日で52歳になるはずなのに、とてもそのようには見えないほど美しい。

何よりも素晴らしいのは、ベテラン歌手にありがちなマンネリ感がなく、いつまでも若い頃の初々しさを残しているところだろう。才能もさることながら、よほど初心を大切にして、日々努力しないと、こうは行かない。

そのアグネスの新譜であるが、今年に入って、すでに2点がリリースされている。

① 「35周年記念コンサート~世界へとどけ平和の歌声
2月21日発売(日本クラウン CRBN22) →昨年12月10日、中野サンプラザにて行なわれた、日本デビュー35周年記念コンサートの模様を収録したDVD。

② 「そこには 幸せが もう生まれているから」(C/W 「みんな地球に生きるひと」)
3月7日発売(日本クラウン CRCP564) →アグネス自身の作曲によるマキシ・シングルの新曲。

これ以外に、新アルバムの発売、さらにはコンサート・ツアーも予定されている。日本歌謡曲史上屈指の「万能の歌姫」アグネス・チャンの歩みに、今後も注目していきたいと思う。


参考サイト


アグネス・チャン 公式ホームページ
日記はアグネス自身がほぼ毎日更新。ファンレターも出せます。

名曲夜話(15) チャイコフスキー <3大バレエ>組曲集

2007年03月05日 | 名曲夜話① ロシア・旧ソ連編

チャイコフスキー <3大バレエ>組曲集
組曲「白鳥の湖」(作品20)
1.情景 2.ワルツ 3.白鳥たちの踊り 4.情景(第2幕のアダージョ) 5.ハンガリーの踊り 6.情景(終曲)
組曲「眠りの森の美女」(作品66)
1.序奏とリラの精 2.アダージョ:パ・ダクション 3.パ・ド・カラクテール:長靴をはいた猫と白い猫 4.パノラマ 5.ワルツ
組曲「くるみ割り人形」(作品71)
1.第1楽章「小序曲」 
2.第2楽章「特色ある舞曲」より ①行進曲 ②こんぺい糖の踊り ③ロシアの踊り:トレパック ④アラビアの踊り ⑤中国の踊り ⑥あし笛の踊り 
3.第3楽章「花のワルツ」
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 1978年 (GRAMMOPHON 449 726-2)
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チャイコフスキーの3大バレエ組曲。たとえクラシック音楽に興味がなくても、子供から年輩の方まで、あらゆる年齢層の人々が、どこかでその音楽を耳にしているだろう。一般的な浸透度から見れば、最も有名なロシア音楽であることは、間違いない。

白鳥の湖(1875-76年作曲)。
悪魔によって白鳥にされたオデット姫と、ジークフリート王子との数奇な物語。バレエ音楽史上、画期的な傑作とされる。当時のバレエにおける音楽の役割は、単に踊るための音楽に過ぎなかったが、チャイコフスキーのこの作品は、バレエ音楽を芸術の高みにまで引き上げるものだった。1877年の初演の失敗は、あまりにも密度の濃い音楽への、とまどいが引き起こしたものと言えるだろう。

「白鳥の湖」の作曲は、交響曲第4番(1877-78年)の作曲を始める前年。初期のチャイコフスキーは、ロシア民謡を題材に用いる「国民学派」寄りの作風だったが、この時期から、西欧の「絶対音楽」を指向する立場に傾き、国民学派の「5人組」からは遠ざかるようになった。

眠りの森の美女(1888-89年作曲)。
シャルル・ベローの童話をベースにした、絢爛豪華な大作。呪いをかけられたオーロラ姫が、デジーレ王子の愛の接吻によって目覚め、王子と結婚式を挙げるまでの物語が、プロローグ付きの全3幕で演じられる。最後の「ワルツ」が最も有名。こちらは、1890年のマリンスキー劇場での初演時から、大成功を収めた。

「眠りの森の美女」は交響曲第5番(1888年)と同時期の作品。そのせいか、部分的に似たところがある。特に第2曲アダージョの旋律は、交響曲第5番の第2楽章アンダンテを思い起こさせずにはおかない。

くるみ割り人形(1891-92年作曲)。
E.T.A.ホフマンの童話に基づく、2幕3場のクリスマス・バレエ。ドロッセルマイヤーおじさんからプレゼントされたくるみ割り人形が、少女クララを夢の中の冒険へと誘う。1892年にマリンスキー劇場で初演されたが、それに先立ち、演奏会用組曲にまとめられたものが発表され、今日この形で親しまれるようになった。最初の「小序曲」から最後の「花のワルツ」まで、どこかで聴いたことのある曲が目白押しだ。

翌年、最後の作品となった交響曲第6番「悲愴」(1893年)を完成。「くるみ割り人形」は、死の前年の作曲ということになるが、そう思って聴くと、やはりそこには、死を間近に控えた作曲者特有の、澄み切った彼岸の境地が感じられる。

上に見るように、3大バレエの作曲時期は、彼の後期3大交響曲とそれぞれ対応している。作品の経歴から見ても、重要な位置にあったことは、確かだろう。

現在の愛聴盤は、チェロの巨匠ロストロポーヴィッチが、ベルリン・フィルを指揮した1978年の録音。LP時代は2枚に分かれていたが、CD化に伴い、3大組曲が一枚にまとまった。ベルリン・フィルは、さすがによく鳴るオーケストラで、交響的充実感が素晴らしい。ロストロおじさんの指揮の元、ロシア風の重厚な音色がよく出ており、アナログ時代の名録音の一つと言っていいだろう。