【熱中症の分類。】
*熱射病。
:体温の異常上昇がみられ、温度上昇が脳内にも到達した時に重篤な事態を起こす。
症状には、意識障害や昏睡状態もみられ、その場合は即座に救急車を呼ぶなど迅速な対応が必要。
*熱痙攣。
:塩分不足からおきるとされ、筋肉に痛みをともなった痙攣を起こす。
*熱疲労。
:水分不足からおきるとされ、倦怠感やめまいなどの症状を引き起こす。
*熱失神。
:血管の拡張から血流不足が起こり、一時的に失神症状を起こす。
確定はできないが、多量の塩分排出が原因と考えられる。
<熱中症の予防と対策。>
その1、~熱中症について。
熱中症は、なぜ起きるのでしょうか?
熱中症には、いくつかの異なった種類が存在します。
ただし、共通して言えることは、すべての熱中症には脱水症状がともないます。
さらに、体内の塩分不足が原因だとも言われています。
塩分摂取は、生物にとって必要なことです。
しかし、近年の健康ブームの中で、塩分摂取は血圧の上昇の原因とされ最近で敬遠されることが多いようです。
肉体労働者は塩分排出量が高いため濃い味付けが好みだと言う事は、広く知られています。
その逆に、
歳をとると健康に気を使い濃い食事を敬遠し、何より運動量が少ないため濃い食事を好まなくなります。
推測ですが、体内塩分量の少ない老人や障害のある方々が、熱中症にかかりやすいのは、これらの理由が原因かも知れません。
これも知られていることですが、高血圧の症状は、真夏は血管の拡張から安定した血圧になり、真冬は寒さから来る血管の収縮が血圧を上昇させます。
血圧の低下と熱中症との因果関係は不明ですが、体内の水分量と塩分量のバランスは、ケース・バイ・ケースなので、自分に合った熱中症対策が必要です。
《熱中症対策。》
*水分の摂取。(排尿時間の間隔の確認。)
水分摂取は飲料水だけではなく、野菜や果物などの食物からも摂取しましょう。
冷えたものばかりでなく、温かい飲み物も、身体への負担が少ないようです。
:ただし利尿作用のある水分は、水分としてカウントしない。
(ビール、コーヒー等)。
:また、高カロリー&高糖質の飲料水は、限度を超えないように。
(炭酸飲料、ジュース等。)
*適度な塩分の摂取。
できるだけ食生活で塩分を取るほうが、適量確認できて良いと思います。
乾燥麺(そうめんやうどん)は、塩分を多く含みますので適しています。
:ただし、高血圧症の人は医師と相談し、平均血圧との対比をチェック。
(最近、「飲料水200ccに、塩を2g加えると良い。」との意見を耳にしますが、
摂取量が適量を越える場合がありますので注意が必要です。)
*不必要な直射日光に当たらない。
30度を超える晴天での長時間の歩行時には、日陰を歩いてください。
自転車や歩行での買物は、日が陰る夕方以降が良いでしょう。
:ただし、日光浴は免疫を高め、骨を強くする効果が指摘されています。
真夏を除く気持ちの良い季節には、外に出ることも健康には重要です。
*発汗の円滑。
身体の清潔を保つために入浴は効果的。
体温上昇時には、適温の冷水でシャワーをするなどで身体を冷やす。
:ただし、心臓疾患などの方は厳禁。
通常の外出時にもタオルを常備。
常に汗を拭取り、汗線をふさがない。
*冷暗の確保。
涼しい室内の確保や通気性の確保。
できれば避暑地へのバカンス。
*通気性の良い衣料や、帽子の選択。
理想的な衣類は、メッシュ状の温度吸収の少ない淡色(白やベージュ)。
濃色は、紫外線対策には効果的ですが熱吸収が高いために高温日は避ける。
通常の外出での帽子は、ツバの長い麦藁帽子系が最適。
また、戸外の労働者は、帽子の中に濡れタオルを入れる事を推奨。
濡れタオルは首から肩を覆い、乾いたら直ちに濡らすことで熱射病の予防。
*当然のこととしてバランスの取れた生活。
睡眠時間の確保や、食生活の乱れをなくす。
夏季はダイエットせずに、できるだけ食べるほうが夏バテ対策に効果的。
<熱中症の予防と対策。>
その2、~体温調性の話。
人間の身体から汗をかく理由は、熱さに対する体温調整のためと言われています。
なぜ体温調整が必要なのでしょうか?
風邪をひいた時に人は熱を出します。
この熱が、身体のとって悪だと長く言われ続けてきました。
ですが、実はこの熱が免疫機能を助け、風邪のウィルスを退治する役割を果たしていることは、今では常識となっています。
しかし、風邪(インフルエンザ等)のウィルスが増殖すると、免疫機能はフル稼働しなければなりません。
免疫活動を向上させるために、体内作用として起きる体温上昇が著しく高くなると、自らの細胞までを破壊します。
(熱が脳に付くと重大な機能障害を引き起こす。)
このことから、体内温度の上昇を止めるための機能としての、汗の役割を否定することはできません。
汗は身体を冷やす役割を持っています。
その汗の成分は約99%が水であるとされています。
熱中症(熱射病)の問題は、体温の温度調節機能の低下が主な原因といわれています。
体温調節に必要なのは水である以上、暑い場所では汗が出る程度に絶えず水分補給をすることが大事なことは誰もが周知の事実です。
さらに汗の分泌は自律神経の働きにも、低体温症の治療にも良いとされています。
そのため、水分を摂取すると汗が出るからと敬遠せず、汗をかくために水分を摂取するくらいの気持ちの方が暑い夏には適していると感じます。
では、どのような水分摂取が適しているのでしょうか?
よくテレビなどでは、「水分摂取はこまめに少しずつ。」と言いますがこれは室内にいる人の話です。
肉体労働をする人や、極度の運動により大量の汗をかく場合は、汗をかいた分だけ必要量をそのつどに水分補給をするべきです。
運動した後に大量の水分を摂取すると汗で流れてしまい体内に水分が残らないと言いますが、本当に身体が熱っせられた場合は汗によって身体を冷やしその汗をふき取ってもう一度、改めて水分を取る。
身体から適度の汗が流れ続けている以上は体内水分が適量だと考えてよいと考えます。
(ただし、汗が過度に流れる場合は体力の低下がともないます。)
また、体内水分だけが熱中症の問題点ではなく、
脳を守る頭部に異常な熱をもたせないように注意し、帽子や濡れタオルなどで防御することも必要です。
なぜなら、
体内水分が満たされていても、脳が熱に侵されると失神したり重篤な事態を生じるからです。
そのため、身体に熱が帯びていると感じられる場合は、風邪の場合と同じように脳や首筋を冷やすことも効果的だと思いますし、睡眠不足対策にも水枕は効果的だと言われています。
<熱中症の予防と対策。>
その3、~熱失神と脱水症状。
強い日差しの下で、長時間の労働や運動などで起こりやすい症状です。
大量の発汗による脱水症状と血管の拡張によって体全体の血液の循環運動が低下し、心臓から脳に血液を送る力が弱まるために、一瞬に意識が飛ぶ症状が見られます。
(バタンと突然倒れる場合が多く、周囲は騒然となります。また、熱射病とは異なり体温変化は見られず脈拍は弱くて早い傾向にあるようです。)
意識がなくなっても多くの場合は、一時的な症状だと言われています。
ただし、失神時に脳を地面に打ちつけた場合や、失神の原因が別にあるかも知れませんので、専門医の問診をお薦めします。
また、
脱水症は夏の暑さによるものだけではなく、
*食中毒などによる激しい下痢や嘔吐。
*病原体と免疫との攻防による発熱と発汗。
*環境による必要量の食物摂取不足。
*気温に関係なく、長時間にわたる激しい運動や労働。
以上の場合が考えられ、この場合も失神する可能性があります。
特に夏の暑さと、冷えたものへの嗜好の関係から、下痢の症状は頻繁に見られると思われます。
下痢の症状=脱水症状と考え、外出するときは暖かめの水分補給をするなど細心の注意が必要です。
(別)日射病ー最近は余り耳にしない言葉ですが、分類としては熱射病に属するという意見と、別なものとする意見があるようです。
症状としては熱射病と同じなのですが、日射病は炎天下の下での作業に限定され、熱射病は高温状態の中での作業全般や、高温多湿な環境の中での体温バランスの崩壊など広範囲な体温の異常上昇をさすようです。
また、医学用語としてではなく、一般例としては、炎天下の中で起きる熱失神や血圧低下によるめまいなど、強い日差しが原因でおきる症状すべてを日射病で片付けてしまう風潮もあるようです。
症状としては、熱中症に分類されてもよいのですが、名称としては熱中症の中には含まれません。
これは上記で示したように、表現が曖昧なために最近では日射病と言う言葉を使わなくなったと考えられます。
<お願い>
以上の記事は、医学的な内容が多く含まれています。
細心の注意で情報を纏め記事にしたつもりですが、誤りの箇所があれば訂正箇所の指示をコメント等に表記してください。
よろしくお願いいたします。
*上記の記事は、2007年に当ブログで記事にしたものを今年の情報を元に再編集したものです。
下記に、昨年の記事へのリンク先を記入しますので、併せてお読みいただければ幸いです。
熱中症の予防。都心と地方の違い。+塩の話
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/d67585d760a570a2da810b67cf01cf90
熱中症の予防。その2ー水と汗の話。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/5ad366a8874ffd230b2b2c79a2a348f3
熱中症の予防。その3-突然の失神。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/4d4355bc25e8e72c4306ba627714b21e